処罰2倍に強化、集示法改定を推進
大統領府から1~2キロの集会は全面禁止
「不法デモ1回当たり社会的費用は91億円」
参加者本人の生産損失まで合算し
6~8年前の資料で推進の背景を説明
朴槿恵(パク・クネ)政権が“労働改革”など4大構造改革を国政下半期の最優先課題として提示した中で、警察が「市民の低い法秩序意識が国家競争力を傷つけ、経済活性化に悪影響を及ぼしている」として、集会・示威での“現場検挙強化”を公言した。 政労使合意を“労働改悪”と規定した労働界の反発が激化している状況で、公権力を前面に押し出した先制的対応に乗り出したという指摘が出ている。
警察庁は、交通秩序確立▽基本秩序確保▽国民生活侵害犯罪の根絶を骨格とする「生活の中の法治秩序確立対策」を最近準備し、これを来年下半期まで段階的に施行すると29日明らかにした。
目につくのは「基本秩序確立」にある集会・示威処罰強化の動きだ。 警察庁は集会・示威現場の“ポリスライン”を“法秩序確立基準”とみなし、これを越えただけで現場検挙することにした。 現在、警察はデモ参加者がポリスラインを単純に越えただけの場合には、ひとまずっ罪証しておき事後調査をしてきた。 これと共に警察は「6カ月以下の懲役または50万ウォン以下の罰金」であるポリスライン侵犯行為処罰を2倍に強化する集会および示威に関する法律改定も推進することにした。
警察は今回の対策が4大改革のテコの役割であることを明確にした。 警察庁は関連報告書で、朴槿恵大統領の閣僚会議発言を引用した上で「対内外経済条件の不確実性が高まった中で、下半期4大構造改革の速度感ある推進にともなう多様な軋轢が表面化する展望だ。構造改革の完遂と経済再跳躍のために法秩序の確立が絶対に必要だ」と明らかにした。
警察は算出根拠が明確でないはるか昔の資料を利用した。「不法デモ1回当たりの社会的費用が平均910億ウォン(約91億円)になる」という警察庁治安政策研究所資料(2009年)の場合、集会参加者本人の生産損失まで費用に含めた。「経済協力開発機構の平均水準に法秩序が回復すれば、成長率が最大1%上昇する」という2007年韓国開発研究院(KDI)資料も引用された。 チン・ギョフン警察庁企画調整担当官は「警察庁長官就任1年を迎え、警察が進むべき方向を提示した」と話した。
これに対してパク・ソンシク民主労総スポークスマンは「現在のポリスラインは集会・デモの安全な保障ではなく、統制と鎮圧の用途に使われてきた」と話した。 参加人員が予想より多くなった場合にも、警察が既存のラインを強要し結局侵犯させた後にこれを不法と規定するケースが多いということだ。同スポークスマンは「今回の措置は政府が労働改悪政策などを押しつけるための手順だと思われる」と述べた。 これに先立って警察は「9・23民主労総一斉ストライキ集会」で道路ではなくソウル光化門(クァンファムン)の世宗(セジョン)文化会館階段上にいた人々まで無差別に連行した。
大統領府から半径1~2キロ以内では集会・デモを事実上全面禁止するということも、問題があると指摘されている。 パク・クンヨン参与連帯協同事務局長は「集会・デモも社会的規範の中で進行されなければならないが、それ以前に集会・デモの自由をどこまで保障しているかを警察自らが見て回らなければならない。現実的でないポリスラインを打っておき、これを越えれば処罰するということは不当な公権力執行」と話した。