検察が文在寅(ムン・ジェイン)元大統領を収賄容疑で在宅起訴した。文元大統領の娘のダヘさんの元夫のS氏が、野党「共に民主党」のイ・ソンジク議員が実質的に支配するタイ・イースター航空の専務として勤務して得た給与と住居費が、文前大統領に渡した賄賂に相当するというのだ。肝心の文元大統領の介入の状況は提示できなかった。大統領選を直前に控え、政権が変わる前に元大統領を裁判にかけるという意図が明白な政治的起訴だと規定せざるをえない。
全州(チョンジュ)地検は24日、文元大統領を特定犯罪加重処罰法違反(収賄)容疑で在宅起訴し、イ・サンジク元議員を贈賄および業務上背任疑惑で在宅起訴した。検察は、イ元議員が2018年3月に中小ベンチャー企業振興公団の理事長に任命された対価として、S氏が同年7月にタイ・イースター航空に就職したと主張している。したがって、S氏が給与名目で得た約1億5000万ウォン(約1500万円)とタイでの住居費名目の約6500万ウォン(約650万円)など2億1787万ウォン(約2170万円)が、文元大統領が受け取った賄賂だという。
元婿の給与が義父に与えた賄賂だとする検察の言い分は、幼い子どもがみても無理な主張だ。文元大統領が娘夫妻を支援した生活費がS氏の就職後に中断されたため、その金額分だけ文元大統領が経済的利益を得たと検察側は主張するが、文元大統領側は生活費ではなく、大統領選のためにソウルに来てS氏所有のマンションに住んでいた際に払った賃貸料だったと反論している。
結果として検察は、文元大統領がS氏の就職の経緯を知っていたことや、介入したという状況を提示できなかった。直観的により可能性が高い第三者贈収賄罪を適用できなかった理由も、「不正な請託」があったと立証できなかったためだろう。さらに検察は、3年以上にわたりS氏の就職優遇疑惑を捜査しておきながら、本来の当事者である夫妻は起訴できなかった。なんとかして元大統領を巻き込み、恥をさらそうとして、無理な起訴を強行したのではないか。
この件について、有罪か無罪や実体的な真実より国民の関心が集中するのは、検察の恣意性と不公正性だ。共に民主党出身の大統領と大統領候補には無理な起訴を乱発する検察が尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫妻に与えた特典と寛容を、国民たちは克明に記憶しているからだ。即時抗告を行わずに内乱首謀者を不拘束状態に放ち、夫人のキム・ゴンヒ女史の高級バッグ授受と株価操作疑惑は公然と見逃した。シム・ウジョン検察総長の娘の就職優遇疑惑は、最初から存在しない事件のように知らぬふりをしている。このようにして検察組織を維持できると考えているのか。