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[ニュース分析]安倍批判控える朴大統領、対日外交を方向転換か

登録:2015-08-17 00:34 修正:2015-08-17 06:39
光復70周年8・15祝辞
朴槿恵大統領が15日午前、ソウルの世宗文化会館で開かれた光復70周年中央慶祝式で祝辞を述べている=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が15日、光復(解放)70周年8・15光復節の祝辞で、日本政府に向かって「多くの困難が残されているが、正しい歴史認識を土台に新たな未来へと進まなければならない時」と述べた。歴史問題と経済・安全保障問題を分離する「ツートラック戦略」を再確認した発言だ。韓日関係を正常化しなければ、今秋から本格化する北東アジアの多国間外交戦から取り残されるかもしれない“焦り”と、執権後半期を迎えて具体的な外交成果を出すための戦略的布石によるものと分析される。しかし、安倍談話に対し、一般国民の強い反感にもかかわらず、朴大統領が安倍首相への批判を最大限抑えたり、「残念」という表現にとどまるなど、国民感情とはかけ離れた反応を見せた。

 「安倍談話、残念な部分はあるが
 歴代内閣の立場を継承したのに注目」
 国民感情とかけ離れた反応

 強硬論に傾いてから成果なく基調変化
 「未熟な外交」との指摘も
 野党「日本に免罪符与えるおそれも」

 朴大統領はこの日の祝辞で「(前日発表された)安倍首相の戦後70年談話は、私たち(韓国)としては残念な部分が少なくないのが事実」としながらも、「それでも、日本の侵略と植民地支配がアジア諸国の国民に多くの損害と苦痛を与えた点と、慰安婦被害者に苦痛を与えたことに対する謝罪と反省を根幹とした歴代内閣の立場が、今後も揺ぎないものであることを国際社会に明らかにした点に注目する」という評価を出した。朴大統領は、これまで安倍談話を控え、河野談話、村山談話など歴代内閣の歴史認識を確実に継承しなければならないという点を何度も強調してきた。歴代内閣の談話には及ばないものの、安倍談話が歴代内閣の歴史認識を継承する姿勢を示したことを評価したのだ。安倍談話の発表直後、国内で「植民支配に対する謝罪は言及されていない」、「過去形の謝罪にとどまった」などの批判の声が上がったにもかかわらず、朴大統領の対日基調は一層やわらいだ。これまで朴大統領は「加害者と被害者という歴史的立場は千年の歴史が流れても変わることはないだろう」(2013年3・1節記念辞)とするなど、日本軍慰安婦問題や教科書歪曲などを含む過去の歴史問題を直視することを日本に強く求めてきた。

 朴大統領は、特に日本との歴史問題の主要課題として提起した軍慰安婦問題についても「日本政府は、早急にしかるべき措置を取ってもらいたい」という言及に止まった。朴槿恵政権はこれまで慰安婦問題について、日本側に「誠意ある措置を求める」と要求しただけで、具体的な提案を行っていないという批判を受けてきた。今年6月、朴大統領は米紙ワシントンポストとのインタビューで、「慰安婦問題においてかなりの進展が見られた。交渉が最終段階に入った」と述べたが、日本側からは「具体的な進展はない。何を言っているのかわからない」という反応が帰ってきて、混乱する場面もあった。

 このため、朴大統領が当初から問題を解決しようとする真の意志もなく、政治的な目的で対日歴史問題を利用したのではないかという疑念の声もある。特に、任期の折り返し地点を迎えた現在まで首脳会談を拒否するなどの強硬策に出たが、「対話なしには解決もない」という批判の中、少しずつ態度を和らげていくのは未熟な対応という批判もある。当初から誠意ある態度で臨んだのなら、権威のある対話チャンネルを閉じることにはならなかったという意味だ。朴大統領の今回の祝辞が対日外交の方向性を窺える基準となると評価されるのも、このような背景からだ。朴大統領の“友好的”態度は、過去の歴史問題のため日本との外交関係が最悪の状況を迎えたことで、北東アジア外交関係で孤立しているという危機感から生まれたものと解釈される。

 朴槿恵政権が日本に対して取れる措置がもう残っていないとの分析もある。特に、浮上する中国と、これを牽制しようとする米国の韓米日「三角同盟」構想、そして、昨年末から可視化されている中日の接近に伴う外交的孤立への懸念などの外部構造的な要因のため、外交手段が政権発足直後よりもかなり限られている。イ・ウォンドク国民大学教授は「安倍談話の内容や基調は私たち(韓国)にとって非常に残念な内容であり、反論の余地も多いが、朴大統領の祝辞はかなり節制されたもの」とし「対日関係改善の意志が背景にあるようだ」と評価した。ヤン・ギホ聖公会大学教授も「朴大統領は任期後半に入ったが、南北関係は最悪の状況にあり、これといった外交成果も見られないなど、危機感があるようだ」とし「日本との首脳会談のための布石と思われる」と説明した。事実上公式化された朴大統領の9月の中国訪問で、朴大統領が韓中日首脳会談など、韓日関係の改善のきっかけとなる場を用意するという分析も出ている。

 一方、朴大統領はこの日の祝辞で、北朝鮮に向けて「北朝鮮は挑発と脅威で体制を維持しようとする迷夢から目を覚ますべきだ」と強く批判しながらも、「真の光復は、民族統一を通じて完成する」とし、年内の南北離散家族の名簿交換などを北朝鮮に提案した。

 朴大統領の祝辞をめぐり政界の評価は分かれた。ユ・ウンヒェ新政治民主連合報道官は、論評で「朝鮮半島の平和と大韓民国の繁栄のための大きな枠組みのビジョンを示せず、通常の祝辞にとどまったもので、非常に失望している」とし「(安倍談話について)日本国内でも批判の声が出ているのに、日本に免罪符を与える恐れがある」と批判した。一方、セヌリ党のイ・ジャンウ報道官は、「朴大統領の祝辞には、非常に適切な対国民、対日本、対北朝鮮のメッセージが盛り込まれた。控え目ながらも、強力なメッセージを伝えた非常に優れた祝辞だった」と評価した。

チェ・ヒェジョン、キム・ウェヒョン、イ・セヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-16 20:04

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/704640.html 訳H.J

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