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[ニュース分析]主語なき安倍談話の「侵略」「植民地支配」「おわび」

登録:2015-08-14 23:12 修正:2015-08-15 12:33
安倍晋三首相(最前列)が14日午前、明恵夫人(安倍首相の左後)と一緒に山口県長門市にある父の安倍晋太郎元外相の墓に参拝している。安倍首相は、父親の墓に参拝してから、同日午後「安倍談話」を発表した=山口/共同連合ニュース

 韓国の光復(解放)70周年、日本の敗戦70周年を翌日に控えた14日に発表された「安倍談話」は、歴史修正主義に傾倒した安倍晋三首相の個人的な信念と、周辺国との関係を考慮しなければならない外交現実との間の、きわどい妥協の産物と評価できる。

 安倍首相は、2012年8月、第二次安倍内閣の発足を目指して自民党総裁選に出馬した当時、産経新聞とのインタビューで、慰安婦動員の過程における強制性を認めた河野談話と、植民地支配と侵略について謝罪・反省した村山談話など 「日本の歴史関連の3つの談話をすべて見直す必要がある」と宣言した。彼は2013年4月の参議院予算委員会で「侵略には決まった定義はない」という発言で物議を醸し、2013年12月には靖国神社を電撃的に参拝して韓国や中国などの周辺国はもちろん、米国からも「失望した」という非難を受けた。その後も安倍首相は「歴代日本政府の談話を継承している」としながらも、自分の口では村山談話の主要内容である「植民地支配と侵略」などへの言及を控える態度を見せてきた。

 個人的な信念と外交の現実との間で妥協
 終戦の代わりに敗戦を認める
 韓国と関連しては従来の談話に及ばず
 植民地支配の行跡や強制動員に言及せず
 日本の市民団体「本心とは思えない」

過去の歴史問題に関連する日本政府の主要談話 //ハンギョレ新聞社

 しかし、この日の安倍談話では、これまで韓国と中国などが求めてきた村山談話の主要内容である「侵略、植民地時代、おわび、反省」の4つの表現を言及する変化を見せた。日本が1931年の満州事変以後行った行為で韓国や中国をはじめとするアジア諸国に被害をもたらしたことについておわびする姿も見られた。日本人が好んで使う「終戦」という表現の代わりに「70年前、日本は、敗戦した」という事実も明らかに認めた。しかし、談話は、日本が満州事変に至る過程を長く説明し、日本が戦争を繰り広げることになった理由を正当化しようとする態度を見せ、日本の当時の行為が「侵略」であることは最後まで明確に認めなかった。

 朝鮮半島の植民地支配に対する認識に焦点を合わせると、問題はさらに深刻だ。今回の談話は村山談話から始まり、菅談話(2010年)で頂点に達した植民地支配に対する歴代日本政府の歴史認識からはかなり後退した。まず、1995年に日本の敗戦50年を迎えて発表された村山談話は「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」ことを明らかにし、1998年の金大中(キム・デジュン)・小渕パートナーシップ宣言では、日本の謝罪対象として「韓国」を明記した。 2010年の菅談話では、「韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられた」と明確に言及した。 “植民地支配自体が違法”という認識にまで至らなかったが、植民支配が「韓国人の意に反して」行われたことを明らかにした。

 しかし、安倍談話では、朝鮮半島の植民地支配の具体的加害責任の言及を避けたまま、「植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」という抽象的な宣言にとどまった。植民地支配のもとでの皇民化教育、創氏改名など、様々な強圧的な措置と、現在の韓日間の主要な外交懸案である強制動員問題についても一切言及しなかった。

 日本の市民団体も否定的な反応を示した。「村山談話を継承し発展させる会」は談話発表直後、「村山談話の4つの主要な表現は盛り込まれたが、『先の戦争で日本が侵略した』とはどこにも言及されていない。苦し紛れの談話だ」と批判した。長崎原爆被災者協議会の山田拓民・事務局長も、「今回の談話は、今、国会で審議されている安全保障関連法案に関して安倍総理が言っていることと180度内容が違っていて、本心で言っていると思えない。非常に腹が立った」と述べた。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-14 20:42

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/704542.html  訳H.J

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