本文に移動

[寄稿]2年ぶりに訪れた平壌で見た南北関係

登録:2019-11-04 07:14 修正:2019-11-04 08:13

 2年ぶりに再び訪れた平壌(ピョンヤン)は依然として活気に満ちていた。車両2部制を実施しているにもかかわらず、道路を走る車は2年前より多くなった気がした。バスや無軌道電車、軌道電車のような公共交通手段は、タクシーに比べてかなり増えたように見えた。商店やレストランも2年前よりはるかに多くなった印象だった。黎明通りだけでも80店を超える飲食店があるという。路地にまで立ち並ぶ飲食店は、質や価格を掲げ、激しい集客競争を繰り広げているという。夜8時が過ぎたのに大型スーパーや小さな店に客足が途絶えなかった。今年、大型台風による水災に見舞われたが、北朝鮮全人民が動員され、被害を最小限に抑えたという。農業の収穫量は昨年より大幅に好転したが、圃田担当制(家族単位の個人営農方式)が大きな役割を果たしたという。

 一昨年、2回にわたる平壌訪問で、筆者が執拗に投げかけた質問は、史上初の国連制裁局面でどれだけ持ち堪えられるということだった。今回訪れた平壌は、その質問が意味をなさないほど変化していた。至る所に新しく建てられた建築物が朝鮮民族特有の伝統色彩で秋の紅葉と調和を成していた。紅葉の茂った牡丹峰(モランボン)には、あちこちに韓服姿のお年寄りたちが楽しく踊っていた。平壌は確かに自信にあふれた姿で、あるメッセージを送っていた。

 昨年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15万人の平壌市民の前で演説を行った。文大統領が来るとも演説するとも知らずに競技場を訪れた平壌市民は、戦慄に近い感銘を受けたという。競技場は興奮のるつぼと化した。最高の決心を最高潮の感情で固く信じていたという。しかし、その期待は長続きしなかった。あれほど大きく希望を膨らませていたが、平壌市民の前で交わした約束は守られなかったということだ。期待していただけに失望も大きかったという。

 北朝鮮は昨年、平壌宣言後、少なくとも金剛山(クムガンサン)と開城(ケソン)工業団地のどちらかは必ず開かれると固く信じていた。その信頼は今年、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の新年の辞にも反映され、彼は「いかなる前提条件や見返りなしに、開城工団と金剛山観光を再開する用意がある」と述べた。しかし、設備点検のための開城工団参加企業関係者の訪朝さえも、韓国政府が8回連続で許可しないことを見て、北朝鮮は韓国に対する期待をあきらめたという。問題は、自らの決断であれ、やむを得ない事情であれ、今日の南北関係が破局に向かって突き進んでいるのは、文在寅大統領が約束を守らなかったためだと北朝鮮住民たちが思っていることにある。文大統領の演説を直接聞いた平壌市民は、「わが民族の運命は我々自ら決めるという民族自主の原則」を強調した文大統領の言葉を覚えていた。

 それでは、南北関係は再び「ジェットコースター」に乗るのだろうか。北朝鮮の学者たちは、今日の北朝鮮が建設の全盛期から建設の大繁栄期に入ったと述べた。北朝鮮は、葛麻(カルマ)観光地区、三池淵(サムジヨン)観光特区、陽徳(ヤンドク)温泉観光地区のような大型施設の建設を終え、自信が高まっているようだ。金正恩委員長が韓国の金剛山観光施設の撤去について言及した背景にも、金剛山地区の観光施設も同じ脈絡から、北朝鮮式に「革命的」に建設するという遠大な構想があるという。北朝鮮の学者たちは、韓国に頼らなくても、国内を含む多くの(金剛山)観光客を誘致できると確信していた。

金景一北京大学教授//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の変化で目を引く部分は、軍需工業の新しい役割だった。生活必需品の生産から温泉観光地区のスキー場のような大型プロジェクトに至るまで、多くの分野で軍需工業が多大な役割を果たしているという。結局、北朝鮮が経済建設に力を入れるほど、南北関係がジェットコースターに乗って再び緊張に向かう確率は、それだけ低くなるだろう。大型建設を次々と手がけている北朝鮮が、南北関係の枠組みを壊すことはないだろう。韓国に対する敵がい心も見当たらなかった。むしろ南北関係が改善するという確信が自信から湧き出ていた。彼らが望むのは、韓国が行動し、決断力で信義を守ることだった。もはやボールは韓国に渡ったのだろうか。

金景一北京大学教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/915605.html韓国語原文入力:2019-11-04 02:35
訳H.J

関連記事