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[社説]南北が会って金剛山観光問題の突破口見い出せ

登録:2019-10-27 21:46 修正:2019-10-28 06:21
金正恩・北朝鮮国務委員長が金剛山観光地区を現地指導し、金剛山に設置された南側施設の撤去を指示したと朝鮮中央通信が23日報道した//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が25日、南の当局に通知文を送り「金剛山(クムガンサン)の南側施設撤去」問題を協議しようと公式に要請した。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「施設撤去」の指示を出して二日目だ。北朝鮮の行動で何か急いでいるような態度が歴然としている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領がこの日、大統領府で「金剛山の施設撤去は国民感情に反し南北関係を傷つけかねない」と表明した通り、何の代案もなく実際に施設撤去が成されると南北関係は元に戻すことができない破局状態に陥りかねない。

 政府は北朝鮮の通知に対して「環境の変化を十分検討して創意的な解決策をとる」と明らかにした。北朝鮮が金剛山観光再開のために韓国政府はいっそう努力しろとの趣旨で「撤去通知」という強硬姿勢を見せてきた可能性があると判断し、この機会を観光再開の突破口にする考えだと見られる。しかし、重要なのは「解決策」でなく実行だ。これまで政府は、膠着した南北関係を改善するために創意的解決策を提示すると何度も表明したものの、実質的な効果を上げたことはあまりない。政府は突破口を探すためにすべての知恵をしぼり集めねばならない。

 対策を見出そうとするなら南北が会って話し合うのが当り前の手順だ。しかし北朝鮮は「文書交換方式」の協議を提案した。このような間接的な方式では深い議論がなされるのが難しく、南北両方に利益になる第3の案を見出すことも難しい。政府は直接対面方式の協議を貫徹すべきだ。

 南北は昨年9月の平壌共同宣言で、条件が整いしだい金剛山観光を再開することにし、金委員長は今年の新年の辞で「条件なき再開」を明らかにした。それでも観光再開が成されないのは、国際的な制裁が遮っているためだ。結局、金剛山観光が再開されるには制裁違反でない新しい方法を見つけ出すか、制裁自体を正面から突破して行くしかない。

 北朝鮮はキム・ゲグァン談話に続いて27日にはキム・ヨンチョル労働党副委員長の談話を発表し、米国の「北朝鮮敵対視政策」を非難した。金委員長の「撤去指示」は北朝鮮と米国の交渉が行き詰まった今の状況と関係がないとは言えない。このような局面で金剛山の観光再開がなされるならば、北朝鮮と米国の交渉進展の潤滑油になることは明らかだ。政府は既存の枠組みを跳び越える果敢な発想で「北朝鮮発・金剛山問題」を南北関係と朝米関係の大転換の契機にしなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/914737.html韓国語原文入力:2019/10/27 17:35
訳T.W

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