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北朝鮮、金剛山施設撤去に向けて速度戦…韓国政府、観光再開の方法を模索し破局の防止図る

登録:2019-10-26 00:42 修正:2019-10-26 07:50
北朝鮮、全面撤去求める通知文送る 
統一部「財産権の保護」、「条件を検討」、 
「創意的解決策作り」の3原則を明らかに 
南北当局者が直接会って協議の扉開く 
金剛山観光の再開に向けた協力の道を模索する見込み
北朝鮮の金正恩国務委員長が完工を控えた平安南道陽徳郡温泉観光地区建設現場を現地指導したと、「朝鮮中央通信」が25日付で報じた//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が25日午前、「(南北で)合意される日に(南側が)金剛山(クムガンサン)地区に入り、当局と民間企業が設置した施設を撤去してほしい」という内容の通知文を送ってきた。北朝鮮が金剛山地域で韓国側の古い施設を撤去し、「総合的な国際観光文化地区」(「労働新聞」23日付)を建設する方針を明らかにしてから2日後に、施設の撤去問題の協議しようと南側当局に正式要請したのだ。政府は南北間協議を通じて「金剛山観光の再開や観光の活性化のため、対応策を模索していく」方針を明らかにした。

 統一部は同日午後、記者会見を開き、「北朝鮮側が25日午前、北朝鮮側の金剛山国際観光局の名前で、統一部と現代グループ宛にそれぞれ通知文を送ってきた」と発表した。通知文で北朝鮮は、「金剛山地区に国際観光文化地区を新たに建設する」としたうえで、「合意される日に金剛山地区に入り、当局と民間企業が設置した施設を撤去してほしい」とし、「実務的な問題は文書交換方式で合意すればいい」と述べた。政府は金剛山観光地区にある南側施設の所有主体である現代峨山や韓国観光公社など利害関係者及び関係機関との協議を経て、近日中に返答する予定だ。

 統一部が明らかにした韓国政府の立場は大きく分けて3つだ。第一に「韓国国民の財産権の保護を最優先する」、第二に「金剛山観光事業の意味を考慮しながら条件と環境を十分に検討する」、第三に「変化した環境を十分に検討したうえで、金剛山観光の創意的な解決策を講じる」ということだ。統一部のイ・サンミン報道官は、「ここで『条件』とは、国際情勢および南北協議など諸般の条件と環境、国内的共感形成などを指すものであり、これらを総合的に考慮する」と付け加えた。

 政府が明らかにした「創意的な解決策」の中心には「金剛山観光の再開」がある。北朝鮮が施設の撤去を求める通知文を送ったが、今回を機に金剛山観光を再開する方法を模索するということだ。イ報道官は、「当面の条件と環境を考慮し、金剛山観光を再開する創意的な解決策を講じる」と述べた。南北いずれも4・27板門店宣言と9・19平壌共同宣言を履行する意志があると見ているのだ。彼は「南北共同宣言に基づき、『条件が整い次第、開城(ケソン)工業団地と金剛山観光事業を優先的に正常化する』(平壌共同宣言第2条2項)というその合意精神は引き続き維持される」と説明した。

 政府は今年1月1日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が新年の辞で「金剛山観光を再開する用意」を明らかにするなど、北朝鮮も観光の再開に対する意志を持っていると見ている。北朝鮮が金剛山観光の終了を連想させる“最後通告”で圧力をかけたように見えるが、金剛山観光の再開に向け、韓国政府にさらなる努力を促す趣旨で「施設撤収」を通知した可能性があるというのだ。3度にわたる南北首脳会談と南北関係の改善の約束にもかかわらず、米国の顔色をうかがって金剛山観光の再開など南北でできる協力に対して決断を下せない韓国政府に、北朝鮮が痺れを切らしたという分析もある。イ報道官は「北朝鮮側の意図については、政府内でも関係機関の協議を通じて引き続き分析を進めている」としたうえで、「朝米実務交渉を担当しているチェ・ソンヒ外務省第1次官が金委員長の金剛山観光現地訪問に随行したことから、一種の対米メッセージを送っているのではないかと見ている」と述べた。

 統一部は同日、「撤去という言葉は北朝鮮側が使ったもの」だとし、韓国側の施設を全面撤去は考慮しないという政府の立場を明確にした。イ報道官は、金剛山観光が1998年に始まってから20年以上経過したため、施設を点検する必要があるとし、「かなり老朽化して使用できない施設もあるだろうし、若干の改修と補修を通じて使用できる施設もあるだろう」と述べた。

 一方、統一部は「個別観光自体は国連安全保障理事会の制裁対象ではない」と確認した。イ報道官は「安保理決議のいかなる条項にも抵触しない方向で検討していけるだろう。北朝鮮地域の個別観光は当局間合意などを通じた身辺安全保障と政府の訪朝承認があれば可能というのが、政府の立場だ」と述べた。

 北朝鮮は撤去問題を文書交換方式で合意することを求めたが、政府は南北当局が直接会うべきだとの立場だ。イ報道官は、「実務的な問題と言えば、通常、人数や日程などを指す」としたうえで、「合意が必要であり、また南北間に何らかの会合が必要だ」と強調した。

ノ・ジウォン、キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/914655.html韓国語原文入力:2019-10-25 19:57
訳H.J

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