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北朝鮮、金剛山実務会談を拒否…南北関係に赤信号

登録:2019-10-29 21:50 修正:2019-10-30 07:46
北朝鮮、文書協議も「施設撤去」に限定 
金剛山観光議論に一線画す 
 
「別途の実務会談は必要ない」 
北朝鮮、金正恩の撤去指示に焦点 
通知文にアジア太平洋平和委員会は抜け落ち 
当局間対話を避ける算法 
 
施設をめぐる南北葛藤の可能性 
韓国政府「相互合意」原則で協議
金正恩・北朝鮮国務委員長が金剛山観光地区を現地指導し、そこに設置された南側の施設の撤去を指示したと朝鮮中央通信が2019年10月23日報道した。金正恩委員長が海金剛ホテルの前で話している//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が「金剛山(クムガンサン)当局実務会談」をひとまず拒否した。金剛山観光、特に南側施設の問題をめぐる南北の葛藤につながる可能性が高まった。活路を見出せない南北関係が、一層悪化する危険に直面した。

 北朝鮮は「別途の実務会談を持つ必要はなく、文書交換方式で合意することを主張してきた」と、29日韓国統一部が明らかにした。北側は、文書交換合意の対象に「施設撤去計画と日程」を指定した。

 統一部は「金剛山観光問題解決のための当局間実務会談の開催を提案する通知文を(28日に北側に)送ったことに対して、29日午前に北側が金剛山国際観光局の名義で、統一部と現代峨山(アサン)宛にそれぞれ返信通知文を送ってきた」と明らかにした。

 北側の返信は、南側の前日の実務会談提案には応じず、自らの当初の計画どおりにしたいとの意思を含んでいる。韓国政府は28日、北朝鮮側に当局実務会談を提案した際に、統一部-朝鮮アジア太平洋平和委員会(アジア太平洋平和委員会)、現代峨山-金剛山国際観光局の窓口からそれぞれ通知文を送った。ところが25日に「合意された日に訪朝し撤去+文書交換合意」を提案した金剛山国際観光局だけが再び出てきた。1998年11月に現代と金剛山観光協力事業に合意した北側の主体であり、キム・ヨンチョル労働党副委員長が委員長を受け持っている労働党の外郭機構であるアジア太平洋平和委員会は表に出なかった。当局間協議を避けるための算法と見られる。

 「文書合意」の対象も、北側は「施設撤去計画と日程」に限定した。政府が前日「北側が提案した(施設撤去)問題を含め、金剛山観光問題について協議」しようとし、事実上「金剛山観光再開・活性化」策の議論を実務会談の議題として提案したのと大きく異なる。「撤去」問題だけ合意すれば良いとして、他の議題を扱う当局実務会談は必要ないと一線を画した。

 北側のこうしたアプローチは、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が「金剛山国際観光文化地区構想」を明らかにして「南側の施設撤去」を直接指示した方針を貫徹することに焦点を合わせているようだ。統一部当局者は「もう少し見なければならないが、金正恩委員長が直接撤去を言及したという点に照らして、施設撤去問題に(南北協議の議題を)制限しようとする意図と推定される」と話した。

 北側の実務会談拒否により韓国政府の悩みはさらに深まっていると見られる。政府は具体的対応方針をすぐには明らかにせず、ひとまず「対話と協議を通した解決」という原則的方針だけを再確認した。統一部は「政府は南北関係のすべての懸案は、対話と協議を通じて解決していかなければならないという原則の下、金剛山観光問題と関連して事業者と緊密に協議し対応方向を用意していく」と明らかにした。

 統一部当局者は、政府が当局会談を繰り返し提案するのか、北側の提案どおり「文書協議・合意」に応じるのかに対して即答を避けた。統一部当局者は「文書交換方式の協議は、人員・日程などそれこそ実務的な問題に限定される」とし、金剛山観光問題のように複雑な事案を扱うには不適当な協議方式だと話した。この当局者はさらに「南北当局間の(対面の)会合が必要だという政府の方針は維持する」のを前提とした後、「文書交換で協議しようという北側の返信が来たので、事業者と協議して対応策を多角的に検討する」と明らかにした。これに照らして政府は「南北当局間の会合」を再度推進するものの、北側がひとまず拒否した「局長級実務会談」方式は再提案せずに、他の策を講じると見られる。

 政府は、金正恩委員長が施設撤去を指示しながら「南側関係部門との合意」を強調したことに伴い、金剛山国際観光局が25日に続き29日の通知文でも「合意」を強調した事実に注目している。統一部当局者は「北側も『合意』の下にすると言っている」として「相互合意の原則により対応すると話す方針」と指摘した。迂余曲折を経ても、北側の「合意撤去」方針を究極的には「南北対面協議」につながる糸口にするということだ。

 これに先立って金正恩委員長は、金剛山観光地区を訪れ「総合的な国際観光文化地区構想」を明らかにし「みすぼらしい南側の施設をすべて撤去して、私たちのやり方で新たに建設しなければならない」と指示(労働新聞23日付1面)し、これを土台に金剛山国際観光局は25日に南側に対し「訪朝撤去+文書合意」を提案する通知文を送ってきた。

イ・ジェフン、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/915055.html韓国語原文入力:2019-10-29 18:45
訳J.S

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