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韓国の「Z世代」の流行に沿って、外国人観光客の財布の紐が緩む

登録:2025-04-16 06:43 修正:2025-04-16 07:43
9日午後、ソウル城東区聖水洞の鍊武場キル付近が、買い物をする市民と外国人で賑わっている。この日、各種ブランドのポップアップストアが並ぶ鍊武場キルは日本や中国の観光客からヒジャブをかぶった中東の観光客まで多様な国から来た外国人で混雑していた=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 「1カ所で服と化粧品のショッピングをともに楽しめるので、ここに来ました」

 先月31日午後、ソウル城東区の聖水洞(ソンスドン)の鍊武場キル(ヨンムジャンキル)で会ったタイ人観光客、カンチャポンさん(Kanchaporn・30)とパッダさん(Patda・30)は、韓国のインフルエンサーがSNSに投稿した掲示物を見て聖水洞を訪れたと語った。2日前に釜山(プサン)に行ってきた彼らは、残りの旅行期間中、ソウル麻浦区の合井洞(ハプジョンドン)や弘大入口(ホンデイプク)などにも足を運ぶ予定だという。この日の鍊武場キルは日本と中国の観光客はもちろん、ヒジャブをかぶった中東の観光客でにぎわっていた。

3月31日午後、ソウル城東区のムシンサ・ストア「聖水@大林倉庫」の様子=パク・ジヨン記者//ハンギョレ新聞社

■団体旅行から個人旅行へ… 変わった外国人観光のトレンド

 外国人観光のトレンドが変わりつつある。旅行会社を通じて団体で韓国を訪問する形から、コロナ禍以降には「個人旅行」で韓国を訪れる観光客が増えた。観光名所も変わった。「韓国人の日常を体験できる場所」、「韓国人に人気の場所」に外国人が集まる。「ハナツアー」の関係者は「過去には中国の団体観光客対象の中低価のパッケージ旅行商品が多かった。日程も景福宮(キョンボックン)、西村(ソチョン)、明洞(ミョンドン)を中心に画一化されていた」とし、「今は韓国人と同じ経験をして、味わって、楽しむことが好まれる。特に韓国の若者に人気の場所を探したり、K-POPダンスの一日体験のような経験とテーマを中心に旅行日程を組む人が多い」と語った。

 聖水洞は外国人の間で人気の「ショッピングスポット」だ。ここには韓国にしかない国内ファッションデザイナーやインディーズのビューティーブランドの売場が立ち並んでいる。ソーシャルメディアで知ったK-ファッション、ビューティーブランドの売場とセレクトショップを通じて韓国のトレンドを体験しようとする外国人観光客をひきつけている。韓国観光公社の資料によると、昨年1年間に城東区を訪問した外国人の観光総消費支出額は約748億ウォン(約74億9千万円)で前年より1.8倍増えた。

9日午後、ソウル城東区聖水洞の演舞場道付近が、買い物をする市民と外国人で賑わっている。写真はオリーブヤングの売り場=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

■流通業界、ニッチ市場探しに総力戦

 流通業界は聖水洞を訪れる外国人観光客の財布の紐を緩ませるために総力戦を繰り広げている。オンライン・ファッション・プラットフォームの「MUSINSA(ムシンサ)」は昨年9月、「ムシンサ・ストア聖水@大林倉庫」をここに開いた。外国人に人気のある国内ファッションブランドを集めたセレクトショップ。店内には外国人のためのタックスリファンド(事後免税)の機器や、翻訳機を利用できるQRバーコードなどが随所に設置されている。これに先立ち、ムシンサは2023年に自社ブランド「ムシンサ・スタンダード」のオフラインの店舗も聖水洞に開いた。ムシンサの関係者は「昨年9月に大林倉庫をオープンして以来、第4四半期(10月~12月)基準で外国人顧客の購買比重は取引額の半分を上回った」とし、「スタンダード聖水店の今年3月基準売上の約40%が外国人観光客から出た」と語った。

 「K-ビューティーの聖地」と呼ばれるコスメショップの「オリーブヤング」も聖水洞を含む主要支店を「グローバル観光商圏」に指定し、売場に外国語が上手な店員を配置した。昨年11月、ソウル地下鉄2号線の聖水駅近くにオープンした大型売場「オリーブヤングN聖水」の全体購入額のうち約70%は外国人観光客によるものだった。オリーブヤングの関係者は「『現地人の暮らしを体験する』(live like local)を目指す外国人観光トレンドとあいまって、3月末基準で累積訪問者は100万人を超えた」と話した。特に「日本、中国、東南アジアだけでなく、米国、ヨーロッパ、オーストラリアなど英米圏の観光客もかなり増えた」と語った。

■「黄金の卵を産むガチョウ」は昔の話

 一時は「黄金の卵を産むガチョウ」と呼ばれ、財閥グループ間の激しい神経戦が繰り広げられた大型免税店は、もはや悩みの種となった。2017年、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備にともなう中国の報復で、「上客」だった中国人観光客が急減したうえ、新型コロナウイルス感染症の大流行という悪材料に続き、外国人観光パターンが「個人旅行」に変化し、10年近く氷河期に陥っている。韓国免税店協会の資料によると、1月の顧客1人当たりの購入額は41万7100ウォンで、昨年1月(70万5743ウォン)に比べて40.9%減少した。ロッテ・新羅・新世界・現代免税店など主要免税店4社の昨年の営業損失は計2776億ウォンに達する。これを受け、大型免税店を運営する企業は政府などにテナント料と特許手数料の引き下げを求め、事業そのものを相次いで縮小している。一例として現代百貨店グループの現代DF(現代免税店)は1日、東大門(トンデムン)店を閉店し、貿易センター店を縮小する決断を下した。先立って新世界免税店は今年1月に釜山店の閉店を決め、ロッテ免税店は昨年8月に希望退職を募った。大信証券のアナリストのユ・ジョンヒョン氏は「国内の免税店産業は中国の転売屋を誘致するための出血競争から抜け出し、本格的な構造調整に突入した」と診断した。

パク・ジヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1192559.html韓国語原文入力:2025-04-15 19:26
訳H.J

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