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総合不動産税上がるも売り物件なし…「家主が粘ろうとする心理が強い」

登録:2019-12-13 04:03 修正:2019-12-13 12:40
マンション価格急騰するソウル 
 
24週連続の価格上昇の中で取引萎縮 
1カ月で1万350件→3656件に 

「住宅価格上がりすぎ」警戒心理拡大に 
家主「もっと上がる」売り控え 
供給不足で新築中心の上昇を期待
グラフィック=コ・ユンギョル//ハンギョレ新聞社

 「住宅価格が上がり過ぎたせいか、売るという家主も買おうとする人もぐっと減りました」。

 11日午前、ソウル市麻浦区阿ヒョン洞(マポグ・アヒョンドン)麻浦来美安(レミアン)プルジオ団地の前にある店のドアを開け放ち、掃除をしていた公認仲介士(不動産仲介業の資格)のAさんはこう語った。Aさんは「売り急ぐ人はもうみんな売り払った。大学修学能力試験を境に売買が大幅に減り、今月初めからさらに減少した」と語った。国土交通部の実取引価格公開システムによると、この団地の33坪型(専用面積84平米)の中層階の物件は、今年3月には11億8千万ウォン(約1億800万円)で取り引きされていたが、8月に16億5千万ウォン(約1億5000万円)を記録したのに続き、10~11月にも14億8千万~15億8千万ウォン(約1億3500万~1億4400万円)で取引された。Aさんは「24坪型も今年2~3月には10億8千万ウォン(約9860万円)程で取引されていたが、今は12億~13億ウォン(約1億1000万~1億1900万円)まで上がっている。もうここのマンションを購入する人は、総不税(総合不動産税)を覚悟しなければならない状況」と話した。

 ソウルのマンション価格が6カ月にわたって急騰を続ける中、最近になって取引量が急減しており、今後の住宅価格の動向が注目される。12日の韓国鑑定院の「週間マンション価格動向」によると、9日現在でソウルのマンション売買価格は前週比0.17%上昇した。24週連続で上昇傾向にあり、昨年の政府による「9・13住宅市場安定対策」発表以降、最大の上げ幅だ。

最近のソウルのマンション売買価格の週間変動率の推移//ハンギョレ新聞社

 価格は主に言い値で上がるが、先月から取引は極度に萎縮している。ソウル市不動産情報広場のマンション売買取引の現状によると、ソウル市全体のマンションの売買件数は10月には1万350件と、今年初めて1万件を超えたが、11月にはおよそ3分の1(3656件)に急減した。区ごとに見ると、松坡区(ソンパグ)が10月の788件から11月には164件(前月比20.8%)と、江南(カンナム)3区のうち減少幅が最も大きく、江南区も568件から129件(22.7%)、瑞草区(ソチョグ)も386件から118件(30.6%)に減少した。麻浦区(374→135件)、龍山区(ヨンサング、176→67件)、城東区(ソンドング、480→159件)も同様だった。12月に入ってからも、12日現在でソウルのマンション取引量は349件に止まっている。

 このように取引量が減り、買いが弱まったのは、最近「いくらなんでも上がりすぎ」という警戒心理が広がっているためだ。インターネット上の不動産関連コミュニティーでは、追撃買いの危険性を指摘する書き込みが多くなっている。「高価で家を買い誤れば身代をつぶす」「需要がないのに一人で最高値で買ってしまえば、その値段では誰も買わない」というのだ。もちろん、「2年前にもバブルだと言われていた。実際に住むのが目的なら、今からでも買うべきだ」という反論もあるが、ほぼピークに達しており、下手に手を出せば大損害を被りかねないという恐怖が市場に広がっている。

 逆に、家主たちの住宅価格のさらなる上昇への期待が依然として残っているのも、取引が静まった理由の一つだ。蚕室(チャムシル)の公認仲介士Bさんは、この地域に長く住んでいるという「お年寄りの言葉」を次のように伝えた。「1986年に建てられたアジア選手村マンションは、その当時は狎鴎亭(アプクジョン)のマンションより高かったが、今はそうではない。大峙洞(テチドン)や開浦洞(ケポドン)のマンションは比べものにもならなかったが、今は同じようなもの。だからうちのマンションはこれからもっと上がるだろう」。アジア選手村マンションの64坪(213平米)タイプは、今年5月には28億ウォン(約2億2600万円、5階)で取引されたが、6月の33億7千万ウォン(約3億800万円、12階)を経て11月には36億ウォン(約3億2900億円13階)を記録した。アジア選手村マンションより4年前に建てられた押鴎亭の第10次現代マンションの50坪(164平米)タイプの物件は5月にすでに30億ウォン(約2億7400万円)を超え(30億9千万ウォン(約2億8200万円)、5階)、10月には37億ウォン(約3億3800万円、11階)で取引された。瑞草区蚕院(チャムウォン)や盤浦洞(パンポドン)など、江南地区で最高値を更新しているほかの地域と「足並みを揃える」期待が高まっているのだ。

 上限制などの分譲価格規制によって江南の建て替えマンション市場は萎縮したが、需要に比べて供給が不足しているため、既存の新築マンション価格は上がり続けるだろうという期待も存在する。盤浦洞の公認仲介士Cさんは「来美安ファースティジような人気団地の場合、1カ月に出物が2、3件は必ずあり、需要も同じ。3年前も、いま買ったらババを引くと言われたが上がり続けた。坪当たり1億ウォン(約913万円)は行くだろう」と主張した。来美安ファースティジ34坪(114平米)タイプの最近の実取引価格は、11月現在で30億2千万ウォン(約2億7600万円)だ。

 今年、総合不動産税の税率は引き上げられたが、市場には大きな影響を与えていない。引き上げられた総不税が告知されれば、住宅を複数所有する家主が売りに出すだろうという期待は実現しなかった。蚕室のBさんは「複数の家の所有者が家を売る時に納める譲渡所得税は数億ウォンだ。総合不動産税の引き上げより譲渡税の方が負担が大きい。譲渡税を引き下げなければ取引が活性化しない」と述べた。盤浦洞のCさんも「売り手の立場からすると、譲渡税を払えば手もとに残るものがない。『この政権はいつまでも続かない。とりあえず粘ろう』という心理が強い」と述べた。

 市場では、需要を抑制すると同時に供給不足を解消する対策が必要だという指摘が出ている。世宗大学のイム・ジェマン教授(不動産学科)は、「総合不動産税より譲渡税をはるかに恐れる状況において需要を抑制するためには、公示価格の現実化率引き上げなどを通じて保有税をさらに強化すべき。同時に、超過利益の回収を前提として、ソウル市内の建て替えや再開発の際に容積率を高め、駅周辺、低層住宅地域、都市再生住宅がどれだけどのように供給されるといった具合に、供給に対する懸念を解消する必要がある」と述べた。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )


「保有税を画期的に高め、実需要者に売る時は譲渡税一時引き下げ考慮に値」

専門家たちが語る「取引促進」案
家主ら、譲渡税の負担が大きくなると
売りの代わりに「贈与」など迂回を選択
「賃貸業税制の恩恵縮小も必要」

 国税庁による2019年度総合不動産税の賦課以降、最近は高価住宅を中心に買い心理が多少萎縮してはいるが、ソウルのマンション市場は依然として非常に危険な状況だ。7月から5カ月連続でソウルのマンション価格を押し上げた過剰流動性、供給不足を心配する需要者の不安心理等が簡単に解消される気配が見えないというのが、不動産業界の診断だ。

 最近のソウルのマンション価格の上昇は不動産市場に集中した過剰流動性が原因で、当分の間このような流れは容易には変わりそうにないというのが大方の見方だ。株式市場の見通しは依然として不確実性が高く、これといった代替投資先も浮かび上がっていないためだ。

 民間宅地分譲価格上限制の実施と共に住宅市場を襲った住宅供給量の減少や住宅価格上昇への懸念が解消できるかどうかも、住宅価格の行方を占うカギとなっている。政府は7月に、新築マンションの分譲価格と既存の住宅価格の上昇の悪循環を断ち切るため、分譲価格上限制の拡大方針を明らかにし、先月から施行した。しかし市場では政府の意図に反して「分譲価格上限制→供給減少→住宅価格上昇」につながるという期待心理が広がり、実需要者まで買いに走ったため、住宅価格が上昇した。このため、市場への新築マンションの供給が円滑になるという確実な信号が送られない限り、供給不足に対する需要者の不安を和らげるのは難しそうだという指摘が多い。

 ただ最近、江東区(カンドング)の「遁村(トゥンチョン)住公アパート」建て替え組合が総会を開き、来年初めに一般分譲を開始することを決め、このかん停滞していたソウルのマンションの新規供給の呼び水になる可能性があり、注目される。遁村住公は計1万2千世帯のうち、一般分譲量だけで約5千世帯あり、政府の分譲価格規制を逃れるため、一時、分譲を後回しにすることまで検討していた団地だ。このような象徴性がある遁村住公の早期分譲の決定によって、これまで一般分譲するかどうかで悩んでいた上限制適用地域であるソウル内の27地区の再開発・建て替え予定20団地あまりが、相次いで一般分譲に乗り出す可能性が高くなったというのが、不動産業界の診断だ。KB国民銀行WMスター諮問団のパク・ウォンガプ不動産専門委員は「今月からソウルの再開発・建て替えの分譲量が増えれば、実需要者たちの不安心理は多少やわらぐと見られる。しかし、需要に比べると非常に供給量が不足しているうえ、請約加点が高い中高年層以外の30代ら若年層の当選は事実上不可能なため、マンション価格の安定に直ちにつなげるには限界がある」と指摘した。

 最近の住宅価格の上昇と政府による公示価格の現実化率引き上げ政策によって来年の保有税負担が今年よりさらに増えれば、需要者の高価住宅の購入が慎重になるという見通しも出ている。NH投資証券のキム・ギュジョン不動産研究委員は「住宅需要者としては、来年度の公示価格を確認し、保有税負担まで考慮して買うかどうかを決定する可能性が大きく、保有税の賦課基準日である6月1日以降に購入を遅らせる可能性もある」と話す。

 しかし、保有税増加分より住宅価格の上昇幅の方がはるかに大きいうえ、複数の住宅を保有する家主は高い譲渡所得税(調整対象地域の最高税率は50~60%)を負担して住宅を処分するよりも、家族間の贈与を選択するのがすでに主流になっている、というのが不動産業界の診断だ。これに対し、最近専門家の間では、公示価格の現実化で保有税を画期的に引き上げる代わりに、譲渡税は期限付きで引き下げ、住宅市場に物件が出回るように誘導することが必要だという指摘が控えめながら出ている。ソウルベンチャー大学院大学のチェ・ミンソプ教授(不動産学科)は「2017年の『8・2対策』で譲渡税を強化した政府としては、複数保有者の退路を開くというのは容易でない選択だろうが、非常事態を打開するための一時的な処置としては検討に値するはず」とし、「すべての売り手に恩恵を与えるのではなく、住宅を保有していない人や引っ越し目的の1住宅保有者などの実需要者に売却する場合に限って減税の恩恵を与えるのもあり」だと話す。住宅の「死蔵」現象のもう一つの原因とされる賃貸住宅登録制については、賃貸事業者への税制優遇措置を縮小し、事業者の増加ペースを調節する必要があるとの指摘も出ている。複数の家の所有者たちが賃貸ししている住宅を賃貸住宅として登録すれば、賃貸借市場安定の効果があるいっぽう、賃貸義務期間の4~8年間は売りに出せなくなる。ソウルでは、住宅総数370万戸の12.7%にあたる47万戸が賃貸住宅として登録されている。

チェ・ジョンフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/property/920668.html韓国語原文入力:2019-12-12 19:49
訳D.K

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