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訪韓した菅直人元首相 「原発事故による被害、考えただけでも背筋が凍る」

登録:2015-03-18 21:57 修正:2015-03-19 06:30
 菅直人元首相、蔚山で記者懇談会
 「原発の必要性を主張する本当の理由は
 企業・官僚・学者らの既得権維持」
菅直人元日本首相//ハンギョレ新聞社

 「原子力発電所(原発)は、安全でも、運用コストが安いわけもないことが、すでに明らかになりました。にもかかわらず、関連の専門家らが原発の必要性を主張する本当の理由は、原発を基盤とした企業、官僚、学者たちの既得権を守ろうとすることです」

 菅直人元首相(69・写真)は18日、蔚山(ウルサン)市役所プレスセンターで開かれた記者懇談会で、韓国と日本で行われている原発をめぐる賛否両論の核心をこのように指摘した。彼は2011年3月11日福島原発事故当時の内閣総理大臣だった。

 彼は古里(コリ)1号機と月城(ウォルソン)1号機など、老朽原発の寿命延長問題と関連して「原発は古いほど、安全性が低下せざるを得ない。福島の事故の時も、最も古い1号機で炉心が溶ける事故が起きた」と述べた。彼は続いて「福島原発も、重大事故は1億年に1度あるか否かというほど、安全だと断言されていたが、事故を免れなかった。その余波で、4年が経過した今でも12万の住民が故郷に帰れず避難生活を強いられている。 1億年はおろか、最近60年の間に地球上で発生した原発重大事故が3件にもなる」と説明した。

 彼は「今でも福島の事故を思い出すだけで、背筋が凍る。事故前には、安全を維持しながら、原発を有効に活用できると思っていたが、事故後に誤った判断だということに気がついた。原発から得られる利点もあるだろうが、事故発生時に被る被害を先に考えなければならない。その事故の規模や様子は、まるで大規模な戦争のようだ」と話した。

 2011年8月まで首相を務めた彼は、以来、福島原発事故の収拾を指揮した経験をもとに、原発関連の著書を出版し、米国、台湾、イギリス、フランスなどの原発反対運動団体から招かれて講演も行ってきた。韓国には昨年10月、生物多様性条約締約国会議の期間に訪問したのに続き、今回の環境運動連合などの招待で訪問し、釜山(プサン)、蔚山、慶州(キョンジュ)などで講演会を開き、19日にはソウルで文在寅(ムン・ジェイン)新政治民主連合代表と会う。

文・写真シン・ドンミョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.18 20:50

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/682930.html  訳H.J

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