米国とイスラエルがイランに対し「壮大な怒り」と名付けられた軍事攻撃を実施し、最高指導者ハメネイ師(86)を殺害したことが確認された。しかし米国の期待とは裏腹に、半世紀近く続いてきたイランの神政体制が崩壊し、短期間で民意を反映する「民主政権」が成立することは期待しがたいと思われる。さらに大きな問題は、1月のベネズエラ事態と同様、今回も米国の残酷な「軍事作戦」を正当化する国際法的根拠が見出せないということだ。米国は外交を否定する無責任な攻撃で世界をより大きな混乱のただ中に引きずり込んでいるのではないか。懸念せざるを得ない。
米国のトランプ大統領は28日に公開した映像声明で、「米国はイランで大規模な戦闘作戦を開始した。我々の目標はイラン政権の差し迫った脅威を除去し、米国人を守ることだ」と述べた。続いてイラン国民に対し、「我々が攻撃を終えたら、あなた方の政府を接収せよ」と呼びかけた。米国とイスラエルが軍事攻撃によってイラン・イスラム共和国の首脳部を除去したから、今度はイラン人が自身の手で新たな政府を作れと迫ったのだ。
西欧の長年の経済制裁に疲弊したイラン人たちが現体制に不満を抱いているのは明らかにみえるが、彼らが一気に「市民革命」によって政権を倒す可能性は高くないと思われる。逆に団結して決死の抗戦に立ち上がれば、事態は長期化し、世界経済はさらに大きな混乱に陥らざるを得ない。ハメネイ師が後継者に指名したとされる最高国家安全保障評議会(SNSC)のアリ・ラリジャニ事務局長(67)は米国に対し、「後悔させてやる」と述べた。イスラム革命防衛隊(IRGC)はホルムズ海峡の封鎖を開始した。韓国は原油の70.7%、液化天然ガス(LNG)の20.4%を中東から輸入している。事態が長引けば大きな打撃を受けることになる。
国連憲章によると、ある国の武力行使が正当化されるのは、国連安全保障理事会の決議を経た場合、先制攻撃を受けた後に「自衛権」を行使する場合のみ。さらに米国は、イランと「核問題」の解決のために2月だけで3度も対面するなど、交渉を進めていた。そのようなさ中に相手の指導部を除去する「斬首攻撃」を加えるというのは、相手を安心させるための「餌」として外交を利用したということに他ならない。トランプ大統領は1月のニューヨーク・タイムズのインタビューで「私に国際法は必要ない」と述べているが、その言葉を繰り返し実行に移しているのをみると恐れを抱かざるを得ない。