「原子力ムラ(原発マフィア)の人々には当事者意識がない。 自分たちが被害を被るとは思っていないので(原発事故は発生しないと)平気で言う」
韓国と日本で原発の安全問題に対する市民の警戒意識は高まっているが、『老朽原発も再稼働しなければならない』という原発推進勢力の暴走が止まるとは思わない。 先月27日未明、老朽原発である月城1号機の寿命延長を決めた韓国原子力安全委員会の“闇討ち通過”はこれを象徴的に見せる。
日本の原発専門家である後藤政志 非営利法人APAST理事長(65、写真、工学博士)は、最近日本で原発の危険性について積極的に警告している代表的な反原発活動家だ。 彼は「原発の危険は“被害の大きさ”と“事故発生確率”の両方を同時に考慮しなければならないが、原子力ムラの人々は被害の大きさについては言わず、確率の話ばかりをしている。 事故が起きれば周辺の人々には壊滅的な被害をもたらすので、こうしたことを道義的に容認してはならない」と話した。
女川原発などを設計
「冷却以上が1時間続けば核燃料が漏出…
寿命をむやみに延長することは危険…
一回の事故で国が滅びることも」
後藤氏が原子力発電所の設計に参加することになったのは1989年に原発製造業者である東芝に入社してからだ。 彼は以後、柏崎刈羽、浜岡、女川原子力発電所などで原発の安全に最終的責任を負う格納容器の設計を担当した。 彼は「1980年代末までは日本ではチェルノブイリのような深刻な事故は発生しないという認識が支配的だった」と回想した。 しかし、その後はそのような事態に備えて安全基準を高めなければならないという認識が広がった。 後藤氏は原発で電力が完全喪失になる“ブラックアウト”事態が発生すれば、格納容器が内部圧力にどれくらい耐えられるかを計算と実験を通して算定する作業に従事した。 彼は「当時、圧力は設計基準の2倍、温度は200℃を超えれば格納容器が持ちこたえられなくなるとみて、その場合にはバルブを開いて放射能物質を外に放出する基準などを作った」と話した。
後藤氏は原子力発電所は核分裂の特性上、事故に非常に脆弱な構造だと強調した。 彼は「加圧型軽水炉の場合、冷却装置に異常が生した場合、(早ければ) 数十分で(核燃料が溶ける)炉心溶融が発生し、1時間程度では厚さ20センチの原子炉の鉄板を突き抜け核燃料が外に漏れ出す。原子炉内部から(最終冷却源である)外部の海水まで全ての冷却系統が作動しなければ原発は危険になる」と話した。
彼はまた、原発の老朽化問題に対しても「原発が古くなれば圧力容器の照射脆化(中性子に露出し弱くなった金属が一定温度で破損する)現象が発生し、他の部分でも材料が腐食し疲労現象や亀裂の問題が生ずるので、30~40年の寿命で設計された原発の稼動をむやみに延長することは危険だ」として「原発で事故が発生すれば誰も責任を負えないので、結局は全ての国民に責任を負わせることになる。 (韓国のように)国土が小さな国では、一度の事故で国が滅びることもありうる」と話した。