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[社説]「労働を誇りに思える国」を作るためには

登録:2019-05-02 06:10 修正:2019-05-02 09:43
メーデーの今月1日午後、ソウル中区ソウル市庁前広場で、全国民主労働組合総連盟の主催で「2019世界メーデー大会」が開かれている=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 メーデー第129周年を迎えた1日、ソウル市庁前広場など全国各地で、労働界が主催する記念集会が開かれた。メーデーは1886年5月、米シカゴで行われた「8時間労働制」を求めるゼネストの過程で、警察の発砲で労働者4人が死亡した「ヘイマーケット事件」を記念するために制定された。労働基本権を得るため、労働者たちが血を流さねばならなかった歴史を記憶し、韓国社会における労働の現状を真剣に考えるべき日と言える。

 こうした点で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が同日、「労働尊重社会」に対する意志を力説するメッセージを発表したのは、それなりに意味のあることだ。文大統領は、最低賃金の引き上げや公共部門における非正規労働者の正社員化、週52時間労働制などを、労働者の生活の質と労働の質を高めるための政策として挙げた。また、KTX女性乗務員やファインテック、コルテック楽器など、長期復職闘争事業場の問題が解決されたのも、労働尊重政策の成果として掲げた。

 しかし、文大統領のこのような認識は、労働界の認識とはかけ離れていると言わざるを得ない。これまで社会的対話機構の「経済社会労働委員会」(経社労委)に参加しなかった民主労総だけでなく、政府政策に相対的に協力的だった韓国労総でさえ、同日「反労働政策の中止」を強く求めた。政府は、労働界のこのような主張を、メーデーには毎年登場するレトリックとして片付けてはならない。これまで推進してきた労働政策の趣旨や効果に対して批判の声が上がっている現実を、重く受け止めなければならない。

 最低賃金だけでも、算入範囲の変更で実質的な引き上げ効果が薄れたにもかかわらず、「速度調節論」が政府の公式立場になってしまった。週52時間制が施行される前に弾力労働制の拡大を推進したことも、やっとのことで改正された産業安全保健法を、施行令の段階で大きく後退させたことも、労働界の不満を呼んだ。鈍化した経済成長率を引き上げ、革新成長を推進するためという点を踏まえても、与えたふりをして結局は奪い取る政策という批判を免れない。

 韓国は依然として低賃金労働者の割合や非正規労働者の割合、労働時間、労働災害、労組組織率、性別賃金格差などで、経済協力開発機構(OECD)の最下位グループにとどまっている。「国際労働機関(ILO)機構核心協約」は単なる駆け引きの材料に転落した。文大統領は同日のメッセージで、「労働を誇りに思える国を作りたい」と述べた。様々な統計が示す現実を直視することが、その目標を推し進める出発点になるべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/892285.html韓国語原文入力:2019-05-01 19:00
訳H.J

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