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EU「韓国のILO核心条約の批准、夏前に行われるべき」事実上の最後通牒

登録:2019-04-10 05:58 修正:2019-04-10 07:58
キム・ハギョン環境労働委員長との面会で再び圧迫 
キム委員長「国内法の整備が必要…批准の時期確言できない」
イ・ジェガプ雇用労働部長官(右)が今月9日午前、ソウル中区のロッテホテルでセシリア・マルムストローム欧州委員とともに会談場所に向かっている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 欧州連合(EU)が国際労働機関(ILO)の核心条約の批准期限を定め、韓国への圧迫を強めた。セシリア・マルムストローム欧州委員(貿易担当)は9日午後、国会でキム・ハギョン環境労働委員長(自由韓国党)と面会し、韓・欧州連合自由貿易協定(FTA)で約束したILO協約の批准と関連し、「夏前に実現できるか、批准が完了できるかどうかを知りたい」と述べた。

 同日、マルムストローム執行委員は、キム委員長のほかにも、イ・ジェガプ雇用労働部長官との面会や、第8回韓・欧州連合貿易委員会、記者懇談会など、目まぐるしい日程をこなし、韓国政府と国会が速やかにILOの核心協約を批准するよう求めた。マルムストローム委員はキム・ハギョン委員長との面会で、「(ここに来る前に)韓国政府が何を行ってきたかについて説明を聞いたが、批准期限についてはキム委員長に直接会って話したいと思った」とし、「夏前」を期限として提示した。

 これに対し、キム委員長は「夏前に批准できればいいが、韓国の特殊性があり、協約批准の前に国内法を整備しなければならないなど、問題が多い。夏前に通過できると確言するのは難しい」と一線を引いた。これで関連労働法の改正が遅れたり、改正案がILOの基準に反すれば、欧州連合が紛争手続きの専門家パネルに韓国のケースを付託する可能性が高くなった。

 続いて行われた非公開面会で、キム委員長は「社会的対話が必要で、議論を十分行うべきであり、欧州の基準を韓国に(そのまま)適用してはならない」と述べたという。それに対し、マルムストローム委員は「どの国にも欧州の基準を強要したことはない。核心協約を批准した国は企業競争力が高まり、評判も良くなったことを、韓国も考慮してほしい」と答えたという。欧州連合の具体的な対応は、マルムストローム委員一行が、ベルギーのブリュッセルにある欧州連合本部に帰ってから決まるものとみられる。雇用部によると、マルムストローム委員は同日、イ・ジェガプ長官との面会で、「早いうちに批准のための可視的な進展が見られない場合、(紛争解決手続きの第2段階である)専門家パネルの開始は避けられないだろう」と述べた。

 専門家パネルに付託されれば、韓国は自由貿易協定で初めて労働権関連紛争に見舞われた国になる。専門家パネルは、韓国の労働権の状況を評価して報告書を発表し、それをもとに韓国政府に是正を勧告することができる。この場合、欧州連合は直接貿易報復措置を取ることはできないが、今後、韓国が欧州市場のさらなる開放を求めるたびに、欧州連合が核心協約の批准を前提条件に掲げて圧迫する可能性もある。欧州企業にはデュー・デリジェンス(Due Diligence:人権点検の実践義務)があるため、核心協約を批准していない韓国の企業と取引する欧州の企業が、それを問題にすることもあり得る。欧州連合代表団の法律担当スタッフらと非公開面会を行った民主労総関係者は「欧州連合側がこうした部分を説明し、韓国企業が不利益を被ると説明した」と伝えた。

 ただし、マルムストローム委員はその後の記者懇話会で、「我々は紛争を避けたいという基本的な立場を持っている」と強調し、「専門家パネルが招集され、勧告事項が発表されれば、各国に拘束力を持つことになる。紛争解決の手続きに移れば、該当国の評判も大きく傷つくため、その前に(批准問題の)解決を目指したいと思っている」と述べた。

チョ・ヘジョン、キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/889410.html韓国語原文入力:2019-04-09 21:27
訳H.J

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