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「ILO協約」めぐる政労使の協議、明日に時限迫っているのに空転続く

登録:2019-04-08 09:18 修正:2019-04-08 10:14
経総が要求した代替労働の許容など、意見の隔たりあまりにも大きく 
政労使合意ではなく、国会立法めぐる論議に移るもよう
民主労総の組合員らが去年10月12日午前、政労使代表者会議が開かれるソウルセムンアン路のSタワー前で、「ILO核心協約の批准と7大立法課題の年内処理を促す記者会見」を行っている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 欧州連合(EU)が韓・欧州連合自由貿易協定(FTA)で約束した国際労働機構(ILO)核心協約の批准を韓国政府に求め、韓国が肯定的な立場を示さない場合、専門家パネルに付託する可能性を示唆した期限の9日が迫ってきた。核心協約の批准と関連法の改正の問題などをめぐって、政労使の対話が行われている経済社会労働委員会労使関係制度・慣行改善委員会では、政労使の副代表級3人が8日に再度会って詰めの協議を繰り広げる予定だ。しかし、意見の隔たりがあまりにも大きく、それを埋めるのは容易ではなさそうだ。合意に至らない場合、経社労委はこれまでの論議の経過だけを整理し、国会に案件を移すと明らかにしており、関連論議は“立法戦争”の局面に入ったものとみられる。

■政労使が協議急いだにもかかわらず空転

 イ・ソンギョン韓国労総事務総長とキム・ヨングン韓国経営者総協会(経総)副会長、イム・ソジョン雇用労働部次官は今月1日と5日、2回にわたり政労使副代表級の会議を開いたが、接点を見出せなかった。“障害”となったのは、核心協約の批准として労働者の団結権を保障する代わりに、企業の防御権も保障してほしいと、経総の出した5大要求事項のうち、ストの際、代替労働を無制限に認めることと不当労働行為に対する刑事処罰の廃止の二つだ。経総のキム・ヨングン副会長は「代替労働の制限も、不当労働行為処罰も、韓国だけにある制度」だとし、「この課題を解決しなければ、(論議を)進めない」と述べた。一方、韓国労総のイ・ソンギョン事務総長は、「いくら合意しようとしても、経総が頑強で、進展が見られない。この二つは受け入れられる要求ではない」と線を引いた。彼らは8日に再び交渉を行うことにしたが、双方とも突然態度を変える可能性は低い。

 この案件を取り上げる労使関係制度・慣行改善委員会の公益委員らは6日、政労使の副代表級の交渉結果を検討し、近いうちに最終的な意見を整理する案を協議したという。経社労委関係者は「敏感時期なので慎重だが、労使が合意する意志がなければ無理強いするわけにはいかないのではないかという話が交わされたようだ」と伝えた。“どんでん返し”でもない限り、先月、パク・スグン労使関係制度・慣行改善委員会委員長が明らかにした通り、合意案なしでこれまでの論議経過だけをまとめて国会に送る公算が高くなった。

■欧州連合、直ちに圧迫を強めることはない見込み

9日に開かれる第8回韓-欧州連合貿易委員会では韓・欧州連合自由貿易協定の履行評価や通商分野における協力の強化策などと共に、重要な協約の批准問題も取り上げる予定だ。しかし、この日まで労使政が合意案を出すことができなくても、欧州連合が直ちに専門家パネルを回付するなど、強力な紛争解決の手続きは踏まないものとみられる。

 在韓欧州連合代表部の関係者は、「貿易委に欧州連合首席代表として出席するセシリア・マルムストローム欧州委員(貿易担当)が会議後に国会を訪問し、キム・ハクヨン環境労働委員長に会う予定だ。その場で、国会がいつまで核心協約を批准すると(具体的な日程と意志を)確約するなら、紛争手続きには入らない」と述べた。国会が核心協約の批准に積極的に乗り出せば、紛争解決の手続きを踏む代わりに、もう少し待つということだ。もし韓国・欧州連合・第3国の専門家で構成される専門家パネルに回付された場合、韓国の「自由貿易協定違反」問題が公式化され、国家的評判に影響を与える恐れがある。

 結局、核心協約の批准は政労使合意という“望ましい形”ではなく、国会の立法過程で議論されるものとみられる。現在国会には環境労働委員会の与党幹事のハン・ジョンエ共に民主党議員が代表発議した労働組合法や教員労組法、公務員労組法の改正案などが上程されている。しかし労働界は、これらの法案が結社の自由をさらに侵害すると反発しており、国会処理の過程でも難航が予想される。

チョ・ヘジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/889079.html韓国語原文入力:2019-04-07 21:26
訳H.J

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