「人は私たちをタル配(タルベ)と呼びます。“タルタルタル”というバイクの音を出して配達するから。またある人は、チョル(鉄)のカバン(岡持ち)を持って配達するのでチョルカバンとも呼びます。配達が遅いといって顧客が私の顔にタバコの煙を吹きつけても、『勉強できないガキは配達でもしてろ』という悪口を書き込まれても、私たちはバランスを取りながら道路を駈け巡ります。どんな住所でも正確に把握して配達します」(パク・ジョンフン・ライダーユニオン委員長)
配達代行業者に所属する配達労働者の労働組合が誕生した。129周年メーデーの1日、40人余りの配達労働者がソウルの国会議事堂前に集まり、配達代行業者配達労働者労組「ライダーユニオン」発足総会を開いた。参加者たちは、マスクなどで顔を隠し、手にはヘルメットを持った。彼らは昨年9月からライダーユニオンの発足を準備し、現在41人が組合員に加入している。
「安全に仕事をしたい」 「配達保険料現実化」と書かれたプラカードを持った配達労働者たちは、配達用バイク保険料現実化▽配達料(手数料)現実化▽荒天とPM2.5に対する対策準備▽労働災害認定および有給休暇・休日手当の保障▽政府-企業-ライダーユニオンの3者団体交渉を要求した。この日、ライダーユニオンの初代委員長に選出されたパク・ジョンフン委員長は「配達料は、一件当たり4千ウォン(約400円)水準に引き上げ、バイク保険料現実化、失業給付保障などを通して安全に仕事をする権利がある」として「法律専門家たちと共に配達員の労災事件に対する法律相談を支援するなど、配達労働者の処遇改善に努める」と明らかにした。
この日総会に参加した配達労働者は、保険料の現実化を最大の課題に挙げた。京畿道九里(クリ)市で4年間配達労働者として働いているカン・ジョンハン氏(38)は「一日10~12時間程度仕事をするのに、それだけでは生計がギリギリで、コンピューター修理の仕事も併行している」として「1~2年に一度や二度は雨や雪の道で負傷するが、ライダーは零細事業者に分類されているため労災保険に加入できない。ライダーが安定的に仕事ができるよう、総合保険の保険料引き下げが絶対に必要だ」と話した。
先月、配達代行業者「プルン」江西区(カンソグ)禾谷(ファゴク)支店で働き、2カ月で不当解雇されたというパク・チソン氏(27)は「けがした時の病院費などの補償を受けられる総合保険の保険料が、年間400万ウォン(約40万円)を超える。配達手数料は1.5キロメートル当たり3千700ウォン(約360円)で、一カ月働いても100万ウォン(約10万円)程度にしかならない。ケガをして病院に入院するなど仕事ができなくなれば、生計に大きな打撃を受ける」と話した。続けて彼は「PM2.5による大気汚染が激しくても、自腹でマスクを買わなければならなかった。岡持ちまで自腹で買わなければならない」として「勤労環境があまりに劣悪だ」と明らかにした。
1時間ほどの総会が終わった後、配達労働者たちは特別な行進を始めた。配達労働者36人は「ライダーをリスペクトしよう」 「安全に仕事をしたい」 「配達保険料現実化」と書かれたベルトをバイクにつけて、大統領府まで行進した。彼らは西部勤労福祉公団・雇用労働庁・サムスン火災・マクドナルドなどを回り、「私たちは配達する機械ではない」 「ライダーの人権を保障せよ」などのスローガンを叫んだ。行進の途中、発言に立ったマクドナルド亀山(クサン)店の配達労働者キム・トギョン氏(43)は「配達労働者は配達業務だけでなく、包装、ハンバーガー生産など二重業務に苦しんでいる」として「配達労働者が休める休憩スペースもない。危険できつい仕事をするだけに、安全で豊かな対価を受けたい」と声を高めた。
一方、この日メーデーをむかえソウル都心の各地では多様な集会が続いた。民主労総は午後2時に市庁前のソウル広場で2019世界メーデー大会を開いた。主催側推算で2万7000人が集まった今回の集会で、参加者たちは、非正規職撤廃▽最低賃金1万ウォン(約1000円)▽財閥独占体制全面改革▽社会セーフティネット・社会公共性の拡大を要求した。