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KDI、「急速な高齢化…定年制廃止など高齢労働の定着を」

登録:2019-04-19 08:42 修正:2019-04-21 18:05
高齢化社会の対応方向に関する報告書  
「先進国より高齢化が急速に進む」 
「若者・女性の経済活動の向上対策では不十分」 
「高齢労働活性化のための制度が必要」
韓国開発研究院(KDI)のイ・ジェジュン先任研究委員の報告書「高齢化社会の経済成長の展望と対応方向」の一部//ハンギョレ新聞社

 国策研究機関の韓国開発研究院(KDI)が、経済協力開発機構(OECD)のうち最も早く進んでいる韓国の高齢化に対応するためには、定年制の廃止などを通じて高齢労働を積極的に活用する方向に政策を転換すべきだと提案した。

 KDIのイ・ジェジュン先任研究委員は、18日に出した報告書「高齢化社会の経済成長の展望と対応方向」で、韓国の高齢化現象は世界主要国家の中で最も早く進んでおり、経済に及ぼす否定的な影響が深刻になるものと予想した。報告書によると、韓国の高齢人口の扶養比(65歳以上の人口/15~64歳の生産可能人口)は2017年に20%に上昇し、2050年には73%に達するものと予想される。これはOECDの平均(約50%)より20%以上高い数値だ。イ研究委員は、特に高齢化現象が深刻化する時期はいまから2050年までの今後30年あまりの間とみて、2050年には人口の36%に過ぎない就業者が、全体人口が消費する財貨とサービス生産を担わなければならないと予測した。このような経済構造では、全般的な生活水準が停滞したり、資源配分をめぐる世代葛藤が増幅する恐れがあると懸念した。

 イ研究委員が「成長会計」という方法を通じて将来の成長率を推定した結果、韓国の生産可能人口の経済活動参加率が先進国(G7)レベルに近接しても、2021~2030年の平均経済成長率は1.7%、2041~2050年は0.6%まで下がることが分かった。彼は「高齢化によって退出する労働者が急速に増える一方、生産可能人口の絶対規模は減少するため」だとし、「65歳以上の高齢人口の経済活動参加率が上がらない限り、総量水準の労働供給は多くは増えない」と説明した。

 したがって、女性や若者の経済活動参加率を高める方式の従来の対応は、高齢化による否定的な影響を相殺するのに十分でないというのが、イ研究委員の問題意識だ。出産率向上のための政策が成功するとしても、将来生まれた子どもたちが中心となる労働階層に到達するまで約30年を要するため、現在進行中の高齢化の対応としては適切でないということだ。

 イ研究委員は、結局、高齢世代の労働参加を活性化させ、生産性を高める方向に政策の焦点を合わせなければならないと提案した。同時に、現在韓国の高齢者の雇用率は高い方だが、雇用の質の面では劣悪なレベルであり、高齢労働環境の改善が伴わなければならないと指摘した。特に、ベビーブーム後の世代はかつての高齢労働者らに比べ学歴レベルが高く、雇用の可能性が高く、生産性も向上するだろうと見込んだ。

 イ研究委員は「一定の年齢になれば労働市場から退出する定年制度は、もはや社会経済的発展に有効な役割を果たせない古い制度だ。定年制廃止を考慮する必要がある」とし、「65歳以上を高齢者とみなす社会的な慣行および諸制度を変えなければならない」と提案した。彼はまた、高齢化によって全体的な生産性が低下しないよう、高齢労働者の力量を向上させ、年齢差別の禁止、年功序列型の賃金体系の変化などの方策を示した。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/890525.html韓国語原文入力:2019-04-18 19:15
訳M.C

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