6・13地方選挙と国会議員再・補欠選挙の結果を一言で表現すると、どうなるだろうか。与党の圧勝、野党の惨敗、進歩改革勢力の勝利、保守の壊滅…。それなりに一理ある表現だ。しかし、それよりは「異常な政党の自滅」という言葉がより妥当ではないだろうか。
自由韓国党と正しい未来党は理念や政策、アイデンティティとリーダーシップなど、すべての面で正常な意味の政党とは言いがたい。特に自由韓国党は保守という名前ももったいないような政党だ。極右的安保理念が日用の糧であり、詭弁と暴言、極端な抑止が生存の武器である政党に、保守政党という呼称も身分不相応だ。そのため今度の選挙結果を保守の壊滅と表現するのは適切ではない。正常な民主社会でこのような極右政党が没落しなければ、それこそ真の民主主義の危機である。
正しい未来党は名前とは違って、「正しい」ことも「未来」も示せなかった。ルーツとアイデンティティが他の政治勢力の急づくりの結合だということからが異常だ。政党が自分の理念と哲学もしっかり定立させられまいまま「脱イデオロギー政党」を掲げたのも、正常な姿ではない。「一つ屋根の下の二家族」暮らしの不協和音と矛盾した歩みの中で、広域選挙と再・補欠選挙の全敗というみじめな成績表が出てきたのは、当然の帰結である。
今は巨大な地殻変動の時代だ。朝鮮半島に影を落としていた冷戦の暗雲が去り、東アジアの新しい国際秩序が早い速度で形成されている。韓国社会内部にもろうそく革命以降、構造的かつ根本的な変化の波が押し寄せている。自由韓国党と正しい未来党はこのような世界史的な流れに目を閉じ、韓国社会の巨大な変化の波を誠実に洞察しなかった。彼らの自滅はすでに予定されていた。
ある人は、与野党のバランス、保守と進歩のバランスが崩れた選挙結果を民主主義に対する深刻な挑戦だと心配するかもしれない。しかし、それは杞憂にすぎない。保守も保守らしければ保守といえる。まともな保守政党がない状況で保守-進歩のバランスを云々するのは無意味だ。非正常な政治勢力の没落は、それ自体で韓国民主主義の発展のための祝福だ。今回の選挙を通じて、長い間韓国社会に重くのしかかっていた地域イデオロギーも崩れ始めた。結果的にこの両野党は、韓国社会を一段階アップグレードさせるのに大きく貢献したわけだ。そのような点で、非常に有益な自滅だ。むしろ一部地域ではあるが極右政党が広域団体長と国会議員再・補欠選挙で勝利したのは、まだ道のりが遠いという傍証だ。
次の国会議員総選挙まで残った2年間、異常な政党は正常な軌道に乗るだろうか。そして保守は戦列を新しく整備することができるだろうか。決して容易ではなさそうだ。
韓国政治で伝統的な保守の特徴はおよそ三つに整理される。内容的に反共イデオロギー、地域的には慶尚道圏、世代では高齢層だ。保守が新しく生まれ変わるためには、この三つの輪から脱しなければならない。すでにその公式が崩れていることを6・13選挙結果は雄弁に語る。安保問題に対する保守層の認識変化がそれだ。伝統的な保守右翼団体ですら南北首脳会談、朝米会談などを積極的に支持したことについて、変節だの裏切りだのと言って青筋を立てる愚かな態度では、去っていく保守層有権者の心をつかむことはできない。「次の大統領は金正恩になるかも」などの暴言は、「代案のない政党」の没落を加速化するだけだ。
保守の再建は、単純な離合集散と組み合わせ方式では成されない。保守に今必要なのは、再編ではなく改革だ。遠くへ行く必要もなく、太極旗部隊との断絶がその出発点だ。しかし、そのような勇気さえもなさそうだ。「人」の問題に至ればいっそう深刻だ。手のつけようのない政治家の洪準杓(ホン・ジュンピョ)、存在感のない劉承ミン(ユ・スンミン)、アイデンティティ不明で左右にぶれる安哲秀(アン・チョルス)、この三人の能力とリーダーシップの実体は、今回の選挙結果で如実に確認された。古い人物は離れず新しい人物は浮かび上がらない現実、それが今の両野党が直面している現住所だ。そして、新しい保守の誕生は期待できない。
野党がひたすら期待するのは、政権与党の失敗だけかもしれない。相手の失敗で戦勢を挽回するのは、政治の世界の日常事でもある。だから与党は勝利感の陶酔、慢心を特に警戒することだ。異常な政党による異常な状態が続くのは、いずれにせよ韓国社会を根本から変えることができる絶好のチャンスではないか。