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[ニュース分析]韓国地方選挙、与党圧勝…反省のない保守野党への審判

登録:2018-06-14 06:02 修正:2018-06-14 11:29
与党圧勝の背景 
70%上回る文大統領の支持率 
「暖かいリーダーシップに高い評価」 
南北・朝米首脳会談への歓迎ムード 
旧態の保守野党に背を向けた
グラフィック=チョン・ヒヨン//ハンギョレ新聞社

 異変はなかった。

 14日午前1時現在、地方選挙の開票結果で、共に民主党が広域自治体長は17カ所のうち14の選挙区で当選を確定したことが分かった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領政権発足から1年たって行われた“中間評価”の選挙で、与党は安定的な国政運営の動力を確保した。保守政権9年の間、凍りついていた朝鮮半島に吹いてきた暖かい風は「共に民主党号」の前進を後押しした。何よりも李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)両元大統領が拘束された後も、反省と刷新がなかった保守野党こそが、与党に圧勝をもたらした“隠れた功労者”と評価されている。

 同日、与党の圧勝を予測した放送3社の広域自治体長の出口調査結果を受け、政界の内外の関係者らは「文大統領の力」だと口を揃えた。朴槿恵前大統領の弾劾後に行われた昨年の5・9大統領選挙で、大統領職引継ぎ委員会もなく発足した文大統領が、就任後70%を上回る国政支持率を記録し続けたことがもたらした結果という評価だ。イ・グァンフ西江大学グローバル韓国政治思想研究所研究員は「今回の地方選挙は大統領中間評価の性格を帯びるが、文大統領が昨年一年間“暖かいリーダーシップ”を示しながら、期待以上に国政運営をうまくやってきたという判断が作用したもの」だとし、「現在の政治地形は、朴前大統領弾劾前に行われた選挙で作られただけに、今回の選挙を通じて歪曲された政治地形を“正常化”しなければならないという判断も影響を及ぼしたと思われる」と話した。ソウル地域のある与党議員も「選挙運動期間中、わが党(共に民主党)が良くやっているという評価よりも、『野党に足を引っ張られないよう、大統領に力を添えなければならない』、『今回は1番(与党)だ』という雰囲気が強かった」と伝えた。

共に民主党の秋美愛代表が今月13日夕方、国会議員会館に設けられた選挙状況室を訪れ、選挙開票総合状況版に広域団体長当選のシールを貼っている/聯合ニュース

 与党も地方選挙を控えて「ミートゥー(#MeToo)運動」や「ドゥルキング(コメント推薦数操作)事件」など、数回にわたって悪材料に見舞われたが、比較的に速やかに危機を管理してきたと評価される。アン・ヒジョン前忠南知事や、チョン・ボンジュ元議員などの性的暴行疑惑が持ち上がった際、共に民主党指導部は直ちにアン前知事の除名を決定するなど、事態の拡散を防いだ。野党の「ドゥルキング特検」要求にキム・ギョンス慶南知事候補は「一点の曇りもなくすべて明らかにする」と、真っ向対決に乗り出した。

 4・27南北首脳会談と12日の朝米首脳会談など、文在寅政権が主導した朝鮮半島の雪解けムードが与党に有利な状況を作り上げた点も、“圧勝”の背景に挙げられる。「選挙終盤のイ・ジェミョン京畿道知事候補の『キム・ブソン(女優)スキャンダル』などが浮き彫りになったが、すでに“平和”に対する熱望という流れを逆転させることは困難だった」と、与党関係者は評価した。

 しかし、与党の勝利は何より代案のない政治の現実に大きく影響されたと言わざるを得ない。朴前大統領が弾劾された後、事実上、保守陣営が“壊滅”状態に追い込まれたにもかかわらず、洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表率いる自由韓国党は、人的刷新や前向きな方向キーの調整もなく、支離滅裂な「色分け論」や“大統領への横やり”にばかり没頭したという批判を受けた。政界の一部では「洪代表が共に民主党の選挙対策委員長」とあざ笑う声も聞こえたほどだ。洪代表は、選挙期間中の極端な暴言で、自由韓国党の内部でも反発を買った。選挙終盤にはチョン・テオク報道官の「離富亡川」(離婚したら富川(プチョン)に、失敗したら仁川に行く)という妄言まで加わり、首都圏の怒りを誘った。

 議題と戦略グループ「ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は「野党はすでに審判を受けた二人の前職大統領とのつながりを断ち切れない状態で、朝鮮半島平和の局面でも色分け論を持ち出し、『未だ反省していない』という国民の怒りを煽った」と評価した。野党の色分け論が選挙の局面で有権者の「安保不安心理」を刺激できず、むしろ「野党審判論」に火をつけたということだ。イ・グァンフ研究員も「朝鮮半島平和ムードという好材料にもかかわらず、暗い経済展望など、政府与党にも弱点があった。野党が南北関係については肯定的に評価し、経済政策を批判したなら、今よりは結果が出ただろう」とし、野党の戦略の不在を指摘した。保守候補でもキム・テホ自由韓国党慶尚南道知事候補や無所属のウォン・ヒリョン済州知事候補が善戦したことから、「公認を革新すれば、体面は保ったのに」という指摘もあった。

オム・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/848964.html韓国語原文入力:2018-06-14 02:16
訳H.J

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