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「食堂の売り上げ、50日間ゼロ」…成長率下がった中国の「封鎖ジレンマ」

登録:2022-04-27 10:27 修正:2022-04-27 14:06
うめく「ゼロコロナ」 
第1四半期、4.8%で今年の目標値に達せず 
封鎖の影響で第2四半期はさらに下落の見通し 
卸・小売り販売は3.9%に急落 
 
当局、経済かゼロコロナかで苦心 
封鎖解除、病院が劣悪なため難しく 
金利引き下げれば人民元の下落が大きくなる 
「秋の3連任のために景気浮揚に乗り出すだろう」
今月23日、封鎖中の中国・上海のある通りで、防疫要員が座って休憩を取っている=上海/ロイター・聯合ニュース

 4.8%。

 18日、中国国家統計局が発表した今年第1四半期(1~3月)に中国が達成した国内総生産(GDP)成長率だ。当初の市場予想よりは高かったが、先月初めに中国当局が提示した今年の成長率目標値5.5%には及ばなかった。中国当局は「堅調な成長ぶり」と自認するが、外部からは懸念の視線が多い。特に上海、浙江省、吉林省などの新型コロナ封鎖の影響が今月から本格的に現れる予定で、第2四半期(4~6月)の成長率はさらに低くなる見通しだ。封鎖によるショックは食堂など自営業と低所得層にさらに敏感に伝わる可能性が高く、彼らの相次ぐ不満の声も高まるものとみられる。

中国の消費財小売販売の増加率推移//ハンギョレ新聞社

第1四半期は善戦?3月の小売販売、21カ月ぶりにマイナス

 人口900万人の吉林省長春市の長春青年路で食堂を経営するトゥンさんは、1カ月半も食堂を開いていない。先月11日から全面封鎖に入った長春市は、今月に入って一部封鎖を解除したが、まだほとんどの地域が封鎖されている。トゥンさんは、「封鎖前は1日の売上が2万元(約40万円)ほどだったが、今は50日近く売上がゼロ」だとし、「封鎖が終わるのを待っている」と話した。人口2500万人の上海の状況はさらに深刻だ。先月28日に始まった封鎖が25日現在まで続き、事実上、全都市がまひしている状態だ。住民は飲食料品などを配達してもらえるが、欲しい物を十分に買えず、共同購入に頼らざるを得ない。

 封鎖による打撃は、中国国家統計局が18日に発表した第1四半期の成長率統計にそのまま表れている。農業と工業分野などが6%以上成長するなど善戦したが、卸・小売販売が3.9%と平均以下であり、宿泊および飲食店業はマイナス成長(-0.3%)となった。特に、3月に入って小売販売が3.5%減少し、具体的には飲食店と衣類、化粧品販売がそれぞれ16.4%、12.7%、6.3%急減した。中国で月別小売販売が減少したのは、コロナ禍初期の2020年6月以来。小売業種の特性上、零細自営業者らが封鎖による衝撃を受けたものとみられる。

今月24日、中国の北京で新型コロナ感染者が22人発生したと発表されると、市民が封鎖を心配し食料品の買いだめに乗り出した=北京/ロイター・聯合ニュース

封鎖の影響本格化…第2四半期はさらに深刻

 問題は第2四半期(4~6月)だ。上海は今月から封鎖が本格化し、吉林省も先月初旬から1カ月以上封鎖が続いている。江蘇省の蘇州や陝西省の西安などの主要都市もここのところ封鎖と解除を繰り返している。今月に入り、中国の人口のうち1億人以上が封鎖されたり封鎖を経験したりした。

 封鎖までは至っていない所でも、防疫が強化され、地域間の移動が急減した。今月20日、天津から高速列車で北京入りしたチェンさんは、「普段なら鉄道駅は混み合っていたはずだが、この日は数人しか人がいなかった」と話した。中国当局は3大連休の一つである5月1日のメーデーに移動を自制するよう住民に勧告している。ハナ金融投資資料によると、貨物の運送も急減し、今月17日現在で1週間の貨物車の運送量は中国全体では前年の72%水準で、上海は16.2%に過ぎなかった。

 内需が全体の経済に占める割合が70%にのぼる中国で、消費の減少は成長率の減少に直結する。このため、国際通貨基金(IMF)は19日に発表した「世界経済見通し」で、今年の中国の成長率を4.8%から4.4%へと0.4%ポイント引き下げた。JPモルガンやUBSなどの投資銀行も、今年の中国の経済成長率を0.3~0.8ポイント引き下げ、4%台前半と予想した。韓国銀行も24日に発表した「海外経済フォーカス」で、中国の経済成長率を4%台半ばと予測した。

今月25日、中国の北京で住民たちが新型コロナの検査を受けるために並んでいる=北京/ロイター・聯合ニュース

景気浮揚に乗り出すが…方法は厳しい

 これまで経済成長に関して緩い態度だった中国当局は、緊張しはじめた様子だ。中国経済のコントロールタワーである国家発展改革委員会(発改委)は、成長率が発表された翌日の19日、記者会見を開き、消費促進に総力を傾けると明らかにした。発改委のモン・ウェイ報道担当は同日、第1四半期の成長率についての記者の質問に、「国内外の環境が複雑で厳しい」とし、「本当に容易ではない状況だ」と述べた。共産党機関紙「人民日報」19日付には、経済関連高官とみられる「権威ある人物」が登場し、中国が直面している10の経済問題について答え、成長率達成の難しさを打ち明けた。

 中国経済専門家のチ・マンス韓国金融研究院先任研究委員は、本紙の電話取材に対し「中国はこれまで成長率について真剣に悩んだことがほとんどなかった」とし、「しかし今回は違って見える。中国当局は成長率達成について非常に真剣に考えているようだ」と述べた。

 封鎖緩和、金利引下げ、財政支出などの方法があるが、容易ではない。特に封鎖緩和は、中国当局が最も選択しがたい代案だ。中国は2020年初めに強力な封鎖で事実上の「コロナ清浄」状態を作り、2年近くその効果を享受してきた。さらに2020年にも中国は成長率2.3%を達成し、主要国の中でほぼ唯一プラス成長した。オミクロン株を迎え、中国のゼロコロナ政策が限界にぶつかったかたちだが、成功したコロナ対応を民主主義国家に対する体制勝利と宣伝してきた中国が、これを緩和する可能性は非常に低い。現在も中国官営メディアは、ゼロコロナ政策が命を守り、経済的にもより効果的だという内容の宣伝記事を続けている。中国ワクチンの効果が低く、病院施設が劣悪であるため、封鎖を緩和したくてもできないという分析も出ている。

 景気浮揚のための金利引下げも容易ではない。米国、欧州など中国を除いた大半の国が金利引き上げモードであるため、金利差による外貨流出の可能性が高い。実際、中国中央銀行の人民銀行は20日、基準金利を据え置くなど慎重な姿勢を示しているが、外国人投資資金が急速に流出し、今月22日には人民元の価値が8カ月ぶりに最低水準に落ち込んだ。国が直接投資に乗り出す方法が残っているが、封鎖政策により、その効果が十分に伝わるのは難しいとみられる。

 チ・マンス委員は「今秋、習近平主席は3連任を確定させなければならず、何とか景気浮揚に乗り出すだろう」とし「過去と違って、中国政府が成長にこだわる政策を数多く打ち出すと思われる」と述べた。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/1040407.html韓国語原文入力:2022-04-2611:13
訳C.M

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