「ここからが竹島(日本側の主張する独島の名称)です」
18日、東京都心の千代田区に再オープンした「領土・主権展示館」1階の職員は、イマーシブ・シアター(没入型劇場)の映像が流れる中、そう案内した。5つの面すべてを用いた映像資料「島々の記憶」は独島(ドクト)を「竹島」と呼び、当然のように日本の領土だと紹介した。映像は独島だけでなく、周辺の海底に実際に潜っているような感覚になるように精巧に作られている。4分あまりの映像の中で、独島に関する部分は、日本が領有権を主張するクリル列島の南部の島々(日本の名称は北方領土)、尖閣諸島(中国の名称は釣魚島)の間に挟まっている。
この日、展示館で配布されていたパンフレットにも、独島は日本領土だとの勝手な主張が露骨に展開されていた。内閣官房の領土・主権対策企画調整室の名で作成された資料「竹島」には、「竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本固有の領土」、「韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であり、韓国がこのような不法占拠に基づいて竹島に対して行ういかなる措置も法的な正当性を有するものではありません」との内容が記されていた。
外務省名義で作成された資料「竹島問題10のポイント」では、「韓国側からは、我が国(日本)が竹島を実効的に支配し、領有権を再確認した1905年より前に、韓国が同島を実効的に支配していたことを示す明確な根拠は提示されていません」、「サンフランシスコ平和条約発効直前の1952(昭和27)年1月、韓国は、いわゆる『李承晩ライン』を一方的に設定し、そのライン内に竹島を取り込みました」と主張されている。
日本政府は、独島などの領有権を主張し、世論を拡散することを目的とする領土・主権展示館の内部を新たに構成し、18日に再オープンした。領土・主権展示館はウェブサイトで「日本の領土・主権をめぐる情勢について理解を深めていただくため、イマーシブ(没入)技術などの最新の映像技術を活用し、従来の『読む展示』から『体感する展示』へと生まれ変わりました」としている。領土・主権展示館は当初、「自国内の領土・主権問題をめぐる状況にどのように対応すべきか考える」との趣旨で設置された。しかし、独島領有権問題を含め、歴史的事実を歪曲する一方的な主張を含んでおり、物議を醸してきた。
内閣官房の領土・主権対策企画調整室が運営する領土・主権展示館は、「展示の目的」の案内文で「日本領土でありながら、このような権利(主権)の一部を事実上行使できない場所が二つあります。北方領土と竹島です」と述べている。また、中国と紛争がある尖閣列島については、「日本の領土であり、現に日本はこれを有効に支配しており、解決すべき領有権の問題は存在しませんが、周辺海域における情勢が複雑化しています」と記している。
展示館は「日本は、領土・主権をめぐる情勢について、日本の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの方針に基づき、毅然としてかつ冷静に対応しつつ国際社会の法と秩序を尊重しながら、それぞれの事案の性質に応じて、適切な対応をとっていきます」と主張している。
展示館は2018年に東京の日比谷地域で開館。狭さなどを理由に、日本の国会、裁判所、省庁などが密集する霞が関地域に2020年に移転した。規模は当初の7倍に拡大し、展示内容も、独島と尖閣諸島の他、南クリル列島に関するものも加えられた。
特に最近は、独島問題などに関する自国の一方的な主張を、学校に通う年齢層に宣伝することに熱をあげている。実際に展示館は「(学校などで)副教材や学習指導案が少なく指導が難しいとされる領域・海洋に関する教育」、「領土・主権展示館では学習指導要領に応じて日本の領域や海域について学ぶことができます」などと説明している。
展示館は、日本政府が2018年3月に告示した高校学習指導要領などによって、独島が日本固有の領土であること、領有権問題の平和的解決に努めていることを教科書で扱うようにしたことと、同じ脈絡上にある。リニューアルオープンの部分の説明では「北方領土、竹島、尖閣諸島の紹介中心」と書かれている。また若い層の来訪を意識して、デジタル日本地図、地球型映像装置、3面スクリーンシアターなどを設置した。韓国内の歴史専門家や独島関連の諸団体は、領土・主権展示館に対して「歴史的事実を無視して自国に有利になるよう脚色した内容ばかりを展示することは、韓日関係はもちろん、日本国民にとっても不幸なこと」だとして、閉館を要求している。