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[インタビュー]朝鮮戦争参戦したエチオピア人「死ぬ前に南北統一を見るのが夢」

登録:2018-06-02 07:06 修正:2018-06-02 08:27
元朝鮮戦争参戦軍人のバシリオス・ニコラ氏 
 
84歳の二コラ氏、朝鮮半島への関心は変わらず 
韓国報勲処が「平和の使徒」に任命 
文大統領と金委員長を評価し 
「平和は結局、政治…良くやっている」
韓国戦争参戦軍人のバシリオス・二コラ氏が先月25日午後、エチオピアのアディスアベバの自宅で朝鮮戦争参戦当時の写真を見せている=アディスアベバ/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 バシリオス・二コラ氏(85)は、エチオピアの首都アディスアベバで最も賑わう繁華街のアフリカアベニューの中心街にある6階建てのマンションで、独り暮らしをしている。散歩をしたり友達と映画を見るのが楽しみという彼は、残りの時間は自宅のテレビの前で過ごす。CNNやBBCによくチャンネルを合わせている。先月25日午後、自宅で会ったニコラ氏の顔には平穏と余裕が溢れていた。

 「戦争をしてでも、平和を守らなければならないという人もいるが、それはとんでもない話ですよ。戦争がどれほど恐ろしいか知らない人たちに限って、そういうことを言います。平和は結局、政治であり、政治を通じてのみ担保できまるものです。その点からすると、最近韓国と北朝鮮はうまくやっていますね」

 彼は前日、ドナルド・トランプ米大統領が朝米首脳会談を行わないと爆弾宣言をしたのも、ニュースを見て知っていた。彼は朝鮮半島情勢をめぐる南北米の指導者をこう評価した。

 「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は平和政治をうまくやっているし、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(彼は「金正恩大統領」と呼んだ)も多くの態度変化を示しています。問題はトランプだが、彼はあまりにも断定的で子どもじみた冗談ばかり言っています。しきりにあっちに行ったりこっちに行ったりするのが問題です。トランプは、平和のためにはひとまず共に座らねばならないということ、そして対話を通じて交渉せねばならないということをよく理解すべきです」

 ニコラ氏の生涯を知れば、彼の該博さにも納得がいく。何より彼は知韓派だ。66年前、韓国に来て銃を構えた朝鮮戦争の参戦勇士だ。2014年7月にはソウルで国家報勲処長が与える「平和の使徒」の任命状を受け取った。

 「韓国の自由と平和を守ろう」。1951年、ラジオや新聞を通じて接したハイレ・セラシエ・エチオピア皇帝の言葉に心を動かされた。王室の衛兵隊の「カンニュ部隊」に志願入隊し、6カ月間の基礎軍事訓練を受けた。1952年初め、国連軍の一員として派兵された19歳のアフリカ青年の目にはじめて映った韓国の風景は、雪に覆われた釜山(プサン)だった。彼は偵察兵として勤務した。戦友たちが交戦中に戦死し、祖国に送還される姿も何度も目撃した。

 戦友121人の命を捧げ、セラシエ皇帝の二つの命令のうち一つ目の命令を守った。「韓国の自由」だった。しかし、「平和」という二つ目の命令は完遂できなかった。1953年夏に休戦協定が結ばれ、彼も帰国した。

エチオピアのアディスアベバで会った朝鮮戦争参戦軍人のバシリオス・二コラ氏が自分の考える平和の意味を書いた「一枚の平和」を見せている。ニコラ氏は平和とは「自由」(Freedom)を意味すると書いた=アディスアベバ/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 ニコラ氏は帰国後、アディスアベバにある米国大使館で約30年にわたり施設管理業務に携わった。1986年には米国務省が授けるアフリカ支部代表職員として表彰された。妻と死別し、大使館をやめる際、上司が米国の永住権を得られるように手伝ってくれた。米国で子どもたちと5年以上暮らしながら市民権も獲得したが、二コラ氏は「米国よりエチオピアが好きで、子どもたちを残して帰ってきた」と話した。

 朝鮮戦争参戦軍人がまだ200人ほど生存しており、彼はおよそ2カ月に1回開かれる会議に出て、年老いた戦友たちに会う。ニコラ氏は「韓国は私にとってエチオピアに続き、第二の国」だと話しながら、にっこりと笑った。

 「まだ韓国と北朝鮮の戦争は終わっていないのです。死ぬ前に韓国と北朝鮮が統一する姿を見るのが夢です」

アディスアベバ/チョン・ジョンフィ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/847378.html韓国語原文入力:2018-06-02 05:00
訳H.J

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