韓米首脳会談の翌日に当惑
通知も大統領府ではなく駐米大使館に
文大統領、NSC緊急会議開き
「当事者たちの心は変わっていない」
朝米の参謀ら強硬発言が原因であることを示唆
大統領府「かすかな希望でもあきらめない」
南北関係の改善通じて朝米対話を促す
チョン・ウィヨン、ソ・フン、訪米・訪朝の可能性も
大統領府は25日、朝米首脳の直接疎通を求め、対話の火種を再び起こすという意志を示した。朝鮮半島の平和を牽引する「運転者」になることを掲げてきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、あらゆる手段を活用して朝米首脳会談の基調を維持する意向を明らかにした。
大統領府関係者は同日、記者団に「状況が難しいだけに、両首脳が直接疎通する方法を講じて緊密に対話を続けてほしいというのが、大統領の考え」だと伝えた。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とドナルド・トランプ米大統領が「直接対話」を通じて、誤解や歪曲を取り除き、「真意」を確認すべきということだ。文大統領は前日、国家安全保障会議(NSC)常任委員の緊急会議を開いた後、「朝鮮半島の非核化と恒久的平和は、放棄することも、先送りにすることもできない歴史的課題」だとし、「問題解決に向けて努力してきた当事者たちの心は変わっていない」と強調した。
同日午後開かれたチョン・ウィヨン国家安保室長主宰の国家安全保障会議常任委員会では「4・27板門店(パンムンジョム)宣言によって、南北関係の改善努力を継続していくことが重要であり、このような努力が朝米関係改善と朝鮮半島の完全な非核化を成し遂げるのに貢献するだろうという点で意見が一致した」と、ユン・ヨンチャン国民疎通秘書官が伝えた。南北関係の進展を朝米双方が“変化”するテコに活用するという判断と見られる。大統領府関係者は「かすかな希望も(朝米首脳会談の実現を)諦めず進めていく」と話した。
当初、大統領府は24日夜のドナルド・トランプ米大統領の突発的な朝米首脳会談中止の発表後、大きな衝撃に陥ったという。前日、文大統領とトランプ大統領が韓米首脳会談で、朝米首脳会談の成功的な開催に向けて努力することで意見を合わせた翌日に出た“悲報”だったため、当惑感はさらに大きかった。ホワイトハウス側は朝米首脳会談中止の決定を韓国に予め知らせどころか、マスコミ発表と同時に駐米韓国大使館に通知した。大統領府に公式通知された視点はマスコミ発表後だった。大統領府関係者は「トランプ大統領が『文大統領に早く知らせるよう』チョ・ユンジェ駐米大使に言った」と伝えたが、大統領府の中では「本当にもどかしい」という声もあがったという。
にもかかわらず、大統領府は朝米を仲裁する努力を続けていく方針を固めた。これまで朝米首脳会談の準備過程で、非核化範囲などの議題をめぐり双方の参謀たちの間で強硬発言が続き、両首脳の意向が屈折し、不信の壁が高まったということが、文大統領の問題意識だ。文大統領が「今の疎通方式では敏感で複雑な外交問題を解決するのは難しい」と指摘したのもこのためだ。大統領府関係者は「朝米対話が膠着した状態で、首脳間の直接的でオープンな対話が必要だという点を強調したもの」だと説明した。ただし、大統領府は、朝米首脳間の直接意思疎通の方法に関しては言及しなかった。チョン・セヒョン元統一部長官は「現在、朝米首脳間には直接繋がるホットラインはない」とし、「直接疎通する方法は公開書簡になるだろう」と話した。
文大統領は今回の膠着局面を解消するため、朝米首脳の直接対話を促すほかにも、多角度からの努力を傾けるものと見られる。文大統領はこれまで朝米対話で中核的な役割を果してきたチョン・ウィヨン室長やソ・フン国家情報院長を活用し、朝米間の仲裁の役割を続ける見込みだ。必要な場合は2人が訪朝あるいは訪米する案も排除できない。南北首脳間の直通電話(ホットライン)の連結も試みられる見られるが、ひとまず大統領府は「ホットラインは検討していない」と線を引いた。文大統領が直接トランプ大統領と電話会談をするか、金正恩委員長の2回の訪中で影響力が大きくなった中国の習近平国家主席との電話会談を行う案も考えられる。