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総選挙控え「住宅価格上昇」に危機感…投機需要の「源を断つ」強化対策を発表

登録:2019-12-17 02:42 修正:2019-12-17 07:46
[12・16住宅市場安定化対策発表の背景] 
「自信ある」文大統領の豪語にも 
24週上昇の勢いが弱まる気配なし 
盧武鉉政権のトラウマも重なり 

「需要者の供給不足への不安感に 
過剰流動性や低金利はそのまま 
政策効果あげるのは容易でない」
ウン・ソンス金融委員長、ホン・ナムギ経済副首相兼企画財政部長官とキム・ヒョンミ国土交通部長官、キム・ヒョンジュン国税庁長(左から)が16日午後、政府ソウル庁舎で住宅市場安定化対策関係省庁合同ブリーフィングを行っている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 16日に政府が発表した「住宅市場安定化対策(12・16対策)」は、融資規制や税制強化、分譲価格規制などの「全方位対策」によって、異常な過熱の続いている住宅市場を落ち着かせることを目標としている。これは投機需要を抑制して実需要中心へと市場を誘導するという文在寅(ムン・ジェイン)政権の政策基調を維持・強化するものだ。しかし、ソウルの住宅価格が24週連続で上昇している状況の中、対策が遅きに失したという批判があるうえ、流動性過剰や低金利が維持されている環境であり、今回の対策の効果に対する見通しも一致していない。

 不動産政策オフシーズンの年末に電撃的に発表された今回の12・16対策には、住宅価格の上昇に対する政府の危機意識が込められている。融資規制や保有税強化などが盛り込まれた昨年の9・13対策以降、ソウルの住宅価格は今年上半期までは安定が維持されていた。しかし7月からは上昇に転じ、下半期中には安定する兆しが見えない状況だ。政府は異常加熱の震源を「江南発の建て替え」と見て、民間宅地分譲価格上限制の施行を発表したが、新築マンションだけでなく中古マンションまで価格が上昇する「風船効果」により、住宅価格はなかなか安定しなかった。家主のさらなる上昇への期待が重なって売り惜しみ現象まで起こり、取引がなくても呼び値は上がり続けている。先月19日、文在寅大統領は国民との対話で「不動産問題には自信がある」「不動産は景気浮揚の手段として用いない」などの政策意志を表明したが、ソウルの住宅価格はずっと上昇傾向にある。来年4月に総選挙を控えた文在寅政権にとって、不動産問題は「アキレス腱」となる可能性もある。住宅価格上昇を止めることができず、支持率に打撃を受けた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の経験から、文在寅政権は住宅価格の安定に総力戦で臨まなければならないと判断したものとみられる。

 今回の「住宅市場安定化対策」は、効果の落ちたこれまでの対策をさらに強化したものと見ることができる。2017年の6・19対策、2018年の8・2および9・13対策に続き、総合対策としては今回が4つ目だ。また、分譲価格上限制や住居福祉・家計負債対策などを含めれば、今回の12・16対策は、文在寅政権発足後に発表された住宅市場関連の18個目の対策だ。

 しかし、政府の意志が込められたこのような対策の意図とは違い、ソウルの住宅市場の過熱は数値でも確認できる。政府は昨年の9・13対策、伝貰(チョンセ。一定の額を家主に預ける賃貸方式。月々の家賃は発生しない)で賃貸中の住宅を購入する(伝貰保証金の分だけ安く購入できる)ギャップ投資比率の減少を「実需要者中心の市場の確立」の指標として提示したが、ソウル地域のギャップ投資比率は、今年7月の49.8%から11月には56.1%に上昇した。分譲価格上限制の指定を免れたソウル陽川区(ヤンチョング)と銅雀区(トンジャック)、京畿道果川市(クァチョンシ)、光明市(クァンミョンシ)、河南市(ハナムシ)の住宅価格の上昇も急激であり、上限制の「ピンポイント指定」による「風船効果」が現実化したと指摘される。そのため上限制地域の追加指定を行ったわけだ。

 政府はまた、時価9億ウォン(約8400万円)を超える住宅に対する担保認定比率(LTV)を部分的に40%から20%に下方修正し、時価15億ウォン(約1億4000万円)を超えるマンションの住宅担保融資を全面禁止するなど、住宅価格のけん引地域を中心に強力な需要統制に乗り出した。

 しかし、今回の対策は住宅価格の大幅上昇後に打ち出されたため、市場でまともに効果を発揮するかどうかについては確信できない状況だ。KB国民銀行のパク・ウォンガプ不動産首席専門委員は、「政府の強力な対策の発表で、ソウルと首都圏の住宅市場はいったん落ち着くものと予想される」とし、「(すでに)ソウルと一部の首都圏の住宅市場は非理性的な過熱の様相を呈しており、(住宅を購入しようとする人は)冷徹な対応が必要だ」と述べた。しかし、NH投資証券のキム・ギュジョン不動産研究委員は、「政府が一貫して規制をしているにもかかわらず、市場は違う方向に動いている」とし、「需要者の供給不足に対する不安、不動産投資収益に対する期待心理、低金利などが変わらないため、政策が効果を発揮するのは容易ではなさそうだ」と見通した。世宗大学のイム・ジェマン教授は、「住宅担保融資の禁止や保有税の強化は肯定的に受け止められるが、多住宅所有者の住宅購入封鎖ではなく規制対象は限られている。総合不動産税の最高税率も0.8%で、それで実効税率がどれほど上がるかは疑問」と話した。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/property/921066.html韓国語原文入力:2019-12-16 21:30
訳D.K

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