本文に移動

「帝国の慰安婦」の著者、損害賠償控訴審で逆転勝訴…裁判所「学問的主張に過ぎず」

登録:2025-01-23 06:30 修正:2025-01-23 07:45
民事裁判所「虚偽事実の摘示と認めるには不十分…名誉毀損ではない」
朴裕河教授/聯合ニュース

 日本軍「慰安婦」被害者が『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河(パク・ユハ)世宗大学名誉教授に対して起こした損害賠償控訴審で、韓国裁判所が「学問の自由」を認め、一審の判断を覆し原告敗訴の判決を言い渡した。歴史的真実を否定する行為を過度に免責したという批判の声があがっている。

 ソウル高裁民事12-1部(チャン・ソクチョ裁判長)は22日、日本軍「慰安婦」被害者など13人が朴教授を相手取って起こした損害賠償訴訟の控訴審で、原告敗訴の判決を下した。

 朴教授は2013年に出版した著書『帝国の慰安婦』で、日本軍慰安婦が「売春」であり「日本軍と同志的関係」にあり、日本帝国による強制連行はなかったと記述した。これに対しイ・オクソンさんなど慰安婦被害者と家族など9人は「虚偽事実の摘示で原告らの名誉を傷つけており、これを意見表明に過ぎないとみたとしても、原告らなどの人格権を侵害した」として、朴教授を相手取り損害賠償を請求した。一審裁判所は2016年、該当の表現が学問の自由を越え原告らの名誉と人格権を侵害したとし、朴教授に対し「被害者に1人当り1千万ウォン(約108万円)、計9千万ウォンを賠償」するよう判決を下した。

 ところが、9年ぶりに出た控訴審判決で、裁判所は「問題の本は学問的表現物であり、学問的に容認される範囲を深刻に超えた不正行為をしたわけではない」とし、「学問的主張ないし意見の表明とみるべきだ」と述べた。

 これに対し、イ・ジュヒ梨花女子大学教授(社会学)は、「国家共同体が基本的に共有する真実を否定することまで学問の自由と認める必要があるのかは疑問だ」とし、「学問の自由という名でこのような事実を覆い隠すのは、社会にとってもプラスにならない」と述べた。慶北大学法科大学院のキム・チャンロク教授も「教授という肩書きを持つ人が本に書いた表現ということだけで、学問的主張になるわけではない」とし、「学界の常識とかけ離れた主張に対し、人格権侵害が認められなかったのは非常に遺憾だ」と語った。

チャン・ヒョヌン記者mix@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1179251.html韓国語原文入力:2025-01-22 20:28
訳H.J

関連記事