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韓日関係、こぼれたコップを満たすには【特派員コラム】

登録:2025-06-16 07:55 修正:2025-06-16 10:08
李在明大統領と日本の石破茂首相/聯合ニュース

 「李在明(イ・ジェミョン)大統領の就任を心よりお祝い申し上げます」

 韓国で6月3日の大統領選の結果が確定した翌日の4日、日本の石破茂首相は早朝にソーシャルメディアのX(旧ツイッター)にハングルで、このように投稿した。当選祝いの挨拶は機械で入力されたものだったが、まるで慣れない外国語を鉛筆で一文字一文字書いたような気持ちのこもった感じがあった。石破首相は「日韓関係の安定的な前進」を希望する意向も伝えた。

 現時点では直接顔を合わせることもできていない韓国と日本の首脳は、ガラスのコップに触れるかのように慎重な態度を示している。ちょうど22日に60周年を迎える韓日国交正常化が話題になっている。李大統領は9日の石破首相との初めての電話会談の後、「韓日関係正常化60周年、光復(解放)80周年となる意味のある年であるだけに、未来志向的な関係を作る」と明らかにした。石破首相も同様に4日、「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓関係の基盤に基づき、これをさらに発展させていけることを期待している」と述べた。

 しかし、両首脳が言及した韓日国交正常化の内情をみると、お祝いばかりの事案ではない。1965年6月22日、両国は韓日基本条約と請求権協定に署名し、国交を樹立した。日帝強占期(日本による植民地時代)の不法な植民地支配と被害を問いただすことが核心事項だったが、最終結果にはそのような内容は反映されなかった。請求権協定には、無償3億ドル、有償2億ドルの援助を受け取るかわりに「(日帝強占期の)請求権に関する問題が…完全かつ最終的に解決された」という文言が加えられた。いわゆる「1965年体制」以降の韓国と日本の過去の歴史問題の根源がここにある。

 こぼれた水をうまくふき取り、改めてコップを満たすことも重要だ。歴代の韓日政府が適切に解決できなかった問題を賢明に解決すれば、それによって、未来に進む堅固な道が開かれるという期待もある。李大統領の就任初期に、1965年に締結された基本条約と協定に関する韓日共同声明で、韓日関係の第一歩を踏むのが望ましいという意見が代表的だ。韓日関係が未来に進めない原因の一つが「1965年体制」であることを両首脳が認め、この問題を解決する意向を表明し、もつれた糸をほぐそうというものだ。

 韓日友好における大きな道しるべを作った金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相時代を教訓にしようという話にも関心が集まる。金大中大統領は、「慰安婦」問題(1991年)、独島(ドクト)問題(1996年)、韓日漁業協定の改正および破棄(1996年~1998年1月)など、韓日関係の相次ぐ悪材料のもとで就任した。国内的には1997年の外国為替危機(IMF危機)で経済が崩壊し、日本の助けが切実に必要な時期だった。金大統領は1998年、小渕首相とともに「21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ」で、日米同盟強化による朝鮮半島平和の実現、韓日安全保障協力、対北朝鮮政策の認識共有、首脳間交流の定例化などを約束した。日本政府の承認のもと、かなりの額の日本の金融資本が韓国に流入したことで、外国為替危機の克服を助けた。

 おりしも2002年に日本では韓国ドラマ「冬のソナタ」ブームが巻き起こり、その後の韓流ブームにつながるなど、波及効果は絶大だった。「過去の問題に代表される難題が、韓日関係全般を支配する枠組みにならないよう、政府レベルでの持続的な関心と管理が必要だ」(峨山政策研究院のチェ・ウンミ研究委員)の提言は傾聴に値する。

ホン・ソクジェ|東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1202586.html韓国語原文入力:2025-06-13 08:43
訳M.S

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