文在寅(ムン・ジェイン)大統領の16日の第21代国会開会での演説は「不動産」と「ニューディール」、「協治」に要約される。
文大統領は同日「いま一番の民生立法課題は不動産対策」だとし、「不動産投機ではもう金儲けができないという点を明確にする。政府は投機抑制と住宅価格の安定のために必要なあらゆる手段を講じる」と述べた。野党が主張してきた住宅供給の拡大要求に関しても「耳を傾けながら、必要な方策を積極的に講じる」と約束した。また「政府の不動産対策を国会が立法で後押ししなければ、政府の対策はいつまでたっても中途半端なものになってしまう」とし、賃貸借申告制や契約更新請求権、伝貰・月貰(保証金賃貸と家賃月払い)の上限制などを含めた賃貸借3法の速やかな議決を求めた。しかし、6・17不動産対策を発表してから1カ月も経たないうちに、再び7・10対策を出さなければならないほど、“市場の信頼”を得られなかった不動産政策の失敗について、謝罪や遺憾を表明することはなかった。
文大統領は同日、「国会」という言葉を57回も言及し、与野党間の「協治」を強調した。第20代国会を振り返り、「最も大きな失敗は“協治の失敗”だった」とし、「“協治”も相手が応じてこそ可能になる。誰のせいでもなく、私を含む私たち全員の共同責任」だと認めた。「第21代国会は対決と敵対の政治を清算し、必ず新たな“協治の時代”を開かなければならない」とし、中断されていた与野党と政府による国政常設協議体の再稼働などを通じて、多様なコミュニケーションを図ろうと提案した。
また、「韓国版ニューディール」の成功に向けた国会の協力を要請し、規制改革の意志を示した。文大統領は「韓国版ニューディールを国家発展戦略とし、世界を先導する国に跳躍する道を共に歩むことを希望する」とし、「新しい時代を開くのに障害になる規制の廃止に力を結集してほしい。変化した環境に合った制度改善を加速化しよう」と呼びかけた。「韓国版ニューディールを地域に広げる良いアイデアを国会で提案してもらえれば、与野党を超えて全面的に支援する」とも約束した。
最近の南北関係の悪化局面にもかかわらず、「平和に向けた歩みを決して止めてはならない」と繰り返し強調した。国会には「南北平和の不可逆性を担保してほしい」として、板門店宣言と9・19平壌共同宣言の批准同意を求めた。しかし最近の冷え切った南北・朝米関係を考慮したのか、南北接触や交流協力案などの新たな解決策は示さなかった。
文大統領は検察の改革も求めた。「国会が法律で定めた高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の発足日(7月15日)がすでに過ぎた」とし、「今会期中に(公捜処長候補者の)推薦を完了してほしい。第21代国会が権力機関の改革を果たすことを望んでいる」と述べた。
文大統領が「協治」をキーワードとして掲げたが、野党の反応は冷ややかだった。未来統合党のペ・ジュンヨン報道担当は、「不動産や北朝鮮政策の失敗と相次ぐ広域自治体首長の性犯罪疑惑に対する率直な謝罪を期待していたが、国民の期待には及ばなかった」と論評した。