住む家以外は全部売れ。大統領府、政府、共に民主党の与党界隈が慌ただしい。ノ・ヨンミン大統領秘書室長も結局、ソウル盤浦(パンポ)のマンションの処分を約束した。民主党は、第21代国会議員選挙出馬者の「実際に居住する1つの住宅のみ所有する」誓約に従い、2年以内にその他の住宅を処分するとしていた約束を繰り上げると公言した。しかし実態調査を終えた9日、それぞれ事情が異なるため期限を一律に適用することはできないとし、「できるだけ早い処分」を勧告した。事情のない者がどこにいるのか。文在寅(ムン・ジェイン)政権樹立から3年、いつもこのように正攻法を回避してきたのではないかと疑問を抱かざるを得ない。
「6・17対策」で市民の怒りが爆発すると、文在寅大統領は「最高の民生課題は不動産対策」と力説した。当然すぎる発言だ。不動産対策が最大の民生でなかった時が果たしてあっただろうか。この3年間、国民は暴騰するソウルと首都圏の住宅価格に絶望し剥奪感を訴え、裏切られた気持ちから叫びをあげてきた。政府を信じて家を処分したり、買わずに耐えてきた人々だけが、世の中を知らぬ愚か者になった。「まだ、この政府を信じているのか?」 私の周りでは、他の道を進んだ者たちが胸を張って暮らしている。2017年に「8・2対策」が発表された時に賃貸活性化政策の盲点を発見し、マンション数戸をギャップ投資して賃貸事業者として登録した人々は、節税と財テクで大儲けした。
文大統領の本気度を疑ったことはない。この3年間、21の大小の政策を打ち出してきたのも、住宅価格を安定させたいという強い熱望の表れだろう。しかし、意志と実力は別物だ。保有税の強化。多くの人が根本的な処方として提示した。政府は脅すばかりでずるずると先送りした末に、ようやく昨年の「12・16対策」に「複数住宅所有者総合不動産税4%方策」を入れた。しかし、江南(カンナム)や盆唐(プンダン)地域で出馬した民主党候補があおり、総選挙の司令塔イ・ナギョン前首相が「総合不動産税緩和」を叫んだことで立法は頓挫した。与党は沈黙した。自ら約束した政策すら無力化することに異議を唱えなかった。
大統領府参謀の「複数住宅所有解消」の約束も空言だった。昨年12月、経済正義実践市民連合(経実連)は大統領府の元・現職参謀76人の不動産所有実態を告発した。江南、世宗(セジョン)、京畿道の建て替え団地などの価格急騰地域に不動産を所有する者たちの素顔に国民は憤った。ノ・ヨンミン秘書室長は6カ月以内の複数住宅所有の解消を勧告した。ところが、彼らは今まで複数住宅所有を維持し、「億」にのぼる資産価値上昇の恩恵を余すところなく享受してきた。与党民主党の複数住宅所有者は、売却せよとの圧力が強まると、売却せずに子どもに贈与(パク・ビョンソク国会議長、ユン・ホジュン民主党事務総長)した。国民の目には「両手に餅を持って貧乏人を脅しながら踊っている遊び人」のような姿にしか見えない。
もう変わらねばならない。大統領府参謀、高位公職者、与党議員のうち複数住宅所有者は、直ちに家を売らなければならない。何の弁解が必要なのか。国民を市場の敗北者と成し、自分たちはしっかり懐を温めたということが、すでに満天下に明らかになっている。この3年間、ソウルの中位マンション価格は52%上昇した。5年の任期中に12度の住宅価格安定対策を打ち出したにもかかわらず、ソウルのマンション価格が56.6%も上昇した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の失敗を繰り返さないとした文在寅政権。その3年間の成績表は惨憺たるものだ。
これ以上、複数住宅所有者が住宅政策を牛耳る立場に立ってはならない。国会の企画財政委、国土交通委の委員中、複数の住宅を所有する民主党議員は直ちに排除すべきだ。言行一致こそ大義名分のある政治だ。
それで済ましてはならない。そこで止まってしまうことは、政策の失敗を公職者個人の道徳性の問題にすり替え、状況を迂回するに過ぎない。厳しい自己反省は新たな出発の基本だ。総体としての責任は文大統領にある。未来統合党と守旧メディアの分別なき政治攻勢に乗る必要はない。しかし挫折感を訴え、政府に裏切られたという思いを吐露する現実を簡単にやり過ごしてはならない。政策失敗の責任を問い、必要とあらば文大統領が国民に対して謝罪すべきだ。でなければ政策は正されないだろう。
「風船効果」が繰り返し証明されたピンセット規制も止めるべきだ。根本的な処方は総合不動産税の強化だ。「税金爆弾論」にもたついている間に、国民は住宅価格という爆弾で死にそうになっている。保有税強化の約束、今回は必ず守らなければならない。議員、高位公職者不動産白紙信託制の導入、「高位公職者1住宅法」の導入に与党議員たちが全力で取り組んでくれることを願う。完璧な解決策ではないが、地位と資産利益のどちらを選ぶか、自ら頭を整理するのに役立だろう。
シン・スングン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )