10日に政府が発表した複数住宅所有者に対する増税および実需要者住宅購入支援策は、6・17不動産対策によっても住宅価格の上昇が収まらず、むしろ政府の不動産政策に対する不信が高まったため、急遽まとめられた補完対策だ。政府は、複数住宅所有者に対して住宅購入(取得税)-保有(総合不動産税)-売却(譲渡所得税)の全過程で増税し、住宅投機を根絶するという意志を示した。
まず、複数住宅所有者が住宅を購入する段階で納める取得税は、2倍以上引き上げられる。現在は3住宅所有者までは住宅価格の1~3%、4住宅以上は4%を課している。今回の対策は、2住宅所有は取得税を8%に、3住宅以上は12%に引き上げる。法人に対しても従来の1~3%から12%に引き上げる。
保有税に当たる総合不動産税(総不税)の税率も、複数住宅所有者は現行の約2倍となる。3住宅以上(調整対象地域は2住宅)は課税標準区間ごとに現行の0.6~3.2%から1.2~6%に引き上げられる。上がった税率を反映して総不税額を計算すると、相場価格での合計額が20億ウォン(約1億7800万円、課税標準7億2千万ウォン(約6400万円))なら、今年の総不税は568万ウォン(約50万5000円)だが、来年は1487万ウォン(約132万円)となる。相場価格での合計が50億ウォン(約4億4400万円、課税標準28億4千万ウォン(約2億5200万円))では、今年の総不税は4253万ウォン(約378万円)だが、来年は1億497万ウォン(約1330万円)に引き上げられる。時価100億ウォン(約8億8900万円、課税標準66億6千万ウォン(約5億9200万円))なら、総不税は今年の1億2811万ウォン(約1140万円)から来年は3億1945万ウォン(約2840万円)に上がる。増える税負担は上限300%が適用され、3倍を超える引き上げ額は払わなくてもよい。
複数の住宅を所有する法人も、個人と同様に最高6%の税率が課せられ、個人に適用される基本控除6億ウォン(約5330万円)と税負担上限は適用されない。1住宅所有者と調整対象地域外の2住宅所有者の総不税率は、12・16対策のものがそのまま適用され、現行の0.5~2.7%から0.6~3%に引き上げられる。総不税改正案が今月中に国会で処理されても、改正された税率は2021年の納付分(6月1日基準)から適用される。
売却差益にかかる譲渡所得税は、複数住宅所有者と2年未満の短期取引が増税となる。1年未満の住宅(入居権を含む)の譲渡税率は現行の40%から70%に引き上げられ、1年以上2年未満は現行の基本税率(6~42%)から60%に引き上げられる。
複数住宅所有者が調整対象地域内の住宅を売る際に基本税率に加える重課税率は、現在より10%ポイント引き上げ、2住宅所有者は20%ポイント、3住宅所有者は30%ポイント重課する。政府は制度施行前に複数住宅所有者が家を売るための出口を設けるため、譲渡税の引き上げは来年6月1日から施行する方針だ。ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官はこの日のブリーフィングで「住宅を売却せよとのサインとして受け止めてほしい」と述べた。
しかし、譲渡所得税が増税されても、複数住宅所有者たちは家を売らず、家族に贈与して税負担を減らす可能性がある。現行の不動産贈与税は最大50%であるため、増税される譲渡所得税率より低い。この場合、政府の意図に反して売り物が出回らない可能性もある。ホン副首相は「こうした問題点については政府が別途点検しており、検討が終われば追加対策を発表する」と述べた。
複数住宅所有者が税負担を賃借人に転嫁し、賃貸価格が値上がりする可能性があるとの懸念も出ている。これについて政府は、賃貸市場の安定と賃借人保護のための賃貸借3法の立法を通じて、賃借人の住居不安定を解決できるという立場だ。
複数住宅所有者に家を売却させて住宅市場を落ち着かせ、住宅投機を根絶するという政府の計画が、市場に通じるかどうかは未知数だ。世宗大学のイム・ジェマン教授は「税率の引き上げ幅自体は大きいが、政策の時期はやや遅れた。現政権の任期があと2年しか残されていない中で、複数住宅所有者たちが家を売らずに耐える可能性も排除できない」と述べた。