ドナルド・トランプ大統領の米国が振るう横暴に対抗するため、「ミドルパワー(中堅国)が連帯しなければならない」と訴えるカナダのマーク・カーニー首相の先月20日の世界経済フォーラムでの演説を、目を潤ませながら読んだ。だが、筆者の心を打ったこの「大胆かつ偉大な」演説に繰り返し目を通した末に、カーニー首相の構想を「短期的」に実現するのは、残念ながら「不可能だ」という結論に至った。
カーニー首相はこう述べた。「中堅国は共に行動しなければなりません。テーブルに座ることができなければ、メニューに載ることになるからです。(中略) 私たちが覇権国(hegemon)と単独で交渉すれば、弱者の立場で交渉することになります。彼らが提示する通りに受け入れるしかなく、誰がより従順なのかをめぐり競い合うことになります」
昨年の春に「トランプの米国」と関税交渉が始まって以来、韓米日3カ国間で何が起こったのかをこれ以上正確に説明する言葉は聞いたことがない。この交渉が始まった当初、韓国では「韓国と日本は意思疎通をし、互いに相談しながら準備をする必要がある」(パク・チョルヒ駐日大使、昨年4月23日付日本経済新聞とのインタビュー)、「米国と韓日、台湾などで協議体をつくり、リスクを分担しながら長期間で進めるのが妥当だ。韓日間で緊密に協議をする必要がある」(ヨ・ハング通商交渉本部長、昨年6月12日付日本経済新聞とのインタビュー。インタビューは任命前に行われた)という意見が多かった。両国が団結しないかぎり、「巨大」な米国を相手に有利な交渉結果を引き出すのは難しいからだ。
しかし、韓国よりも経済規模が大きく、耐えられる体力も備えている日本はこれに関心を示さなかった。もともと韓日協力の必要性についての言及自体がなかったが、唯一見つけた例外は「韓日両国が対米関税交渉に共同で対応することはトランプ大統領をさらに刺激する可能性がある」(西野純也慶応大学教授、昨年7月16日付の朝鮮日報とのインタビュー)というものだった。この冷酷な「現実論」の通り、韓日間の交渉は別々に行われ、結局先に合意に達した日本に対して、キム・ヨンボム大統領府政策室長は「少し冷たい面もあった」(昨年10月29日の会見)という言葉を吐露した。
弱者の連帯はなぜ難しいのか、いや不可能なのか。これを説明する「囚人のジレンマ」という非常に古典的な理論がある。牢屋にいる囚人には二つの選択肢がある。一つ目は「罪を自白すること」、二つ目は「沈黙を守ること」だ。囚人たちにとって最良の選択は、同時に沈黙を守り、「証拠不十分」で釈放されることだが、結局は「自白」を選ぶことになる。自分は沈黙を守ったのに相手が裏切れば、一人で厳しい「加重処罰」を受けることになるからだ。結局、互いが互いを信頼できず、最終的には「トランプの米国」がいつも簡単に勝利を手にすることになる。
トランプ大統領による先月27日の「関税引き上げの脅し」から始まった現在の危機がなぜ起きたのかも、この理論の枠組みで説明することができる。米国はなぜ韓国の対応が遅いと判断したのだろうか。比較対象があったからだ。日本は昨年10月29日、米国に投資可能な合計21件の事業(総額4000億ドル)を「ファクトシート」の形でまとめて公開し、米日覚書(MOU)に基づいて設置することにした「協議委員会」をすでに4回開催した。この結果を踏まえ、来月19日に予定されている高市早苗首相の訪米に合わせて、投資事業第1号を発表する予定だ。さらに、日本経済新聞は7日付1面のトップ記事で、1号事業に人工知能(AI)データセンターへの電力供給のためのガス火力発電(約400億ドル) ▽大型タンカーが接岸可能な原油積み出し港(約20億ドル) ▽人工ダイヤモンド生産工場(約5億ドル)の建設などの事業が含まれると報じた。素直に言うことを聞く日本が気に入ったのか、トランプ大統領は5日、ソーシャルメディアへの投稿で、高市首相の勝利を願う露骨な「内政干渉」に乗り出した。
トランプ大統領の期待通り、日本の戦後政治史に記録される驚くべき圧勝を収めた「高市の日本」は、より積極的に対米全賭け外交の道を突き進むだろう。米国が求める通り、第一列島線(台湾と沖縄)の「拒否的抑止(Deterrence by Denial)に関連する集団的安全保障のため」、つまり中国を抑止するために、まもなく平和憲法の制約を外す可能性がある。誰がより米国の横暴に従順なのかをめぐり、韓国と日本が競い合う残酷な競争構図が展開された。彼らが作った道に黙々と従うことが、私たちの生きる道なのだろうか。息が詰まり、気が遠くなる。