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[インタビュー]「感染・隔離の不安より『歩き回った』と後ろ指さされるのが苦痛」

登録:2020-03-06 10:48 修正:2020-03-06 13:31
新型コロナウイルス感染者の家族へのインタビュー 
治療のため病院で家族に感染 
周りの人のためにと動線を公開したが 
「新天地の信者だ」「むやみに歩き回った」 
一部の根拠のない非難に苦しめられ 
「他人事ではないと考えてほしい」
感染者の家族のPさんが自宅隔離された家から眺めた3月初めの外の風景。家族がCOVID-19の陽性判定を受け、Pさんの生活は一変した//ハンギョレ新聞社

 不安な気持ちよりもっとつらいのは、周りの人の根拠のない非難だった。Pさんの家族の一部は2月末、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性判定を受けて病院に移送された。家族は陽性判定を受けた後、区役所の要請によってここ2週間の動線を詳しく書いて出した。感染者とその家族としては当然の義務であり、このような情報公開が周りの人々の安全に役立つと考えていた。

 しかし、動線が公開されると予想しなかった反応が続いた。動線情報を見た一部の近隣の人が、ネット上のコミュニティで、Pさんの家族が新天地の信者であり陽性判定を受けた後もむやみに歩き回ったと非難したのだ。事実無根だった。Pさんは「私たちはほかの治療を受けるために病院へ行き、たまたま感染した。根拠のない非難は感染者や家族をひどく傷つけるという点を考えてほしい」と訴えた。

 家族がCOVID-19の陽性判定を受けたことで、Pさんの生活は一変した。Pさんは5日現在、自宅隔離されてから丸一週間になる。Pさんは1次検査で「陰性」判定を受けたが、感染者の家族という理由でもう一週間さらに自宅隔離されなければならない。不安はたびたび押し寄せる。「病院に運ばれた家族の健康が悪化しないか、私も感染したのではないかと、いつも不安です」。Pさんは特に症状がないにもかかわらず風邪薬を飲むようになると話した。一週間以上会社に出られず、仕事への負担も大きい。「私の仕事を他の人が代わりにしていて、私のせいで会社が被害を被ったという思いがずっとあります。一日でも早く職場に戻らないといけないのに…」

自宅隔離されたPさんの昼食メニュー。ジャージャー麺にキムチと質素だ//ハンギョレ新聞社

 COVID-19の陽性判定者などに対する差別的待遇と嫌悪の視線も、感染者とその家族に苦痛を与える要素だ。今回の事件でPさんの家族のうち一人は職を失った。インターンとして勤めていた会社に家族の状況を報告して自宅隔離に入ったが、数日後、会社から「もう来なくてもいい」という通知が来たという。会社は「COVID-19のためではなく、業務のため」というが、当事者と家族はCOVID-19と関連した解雇という疑いを消せずにいる。

 Pさんは周りに申し訳ない気持ちが大きいと話した。Pさんの家族が勤めていた会社の事務所は閉鎖され、一緒に運動をした同好会の会員もみな自宅隔離された。家族が訪問した店や議員などは、町内で避けられる対象となった。Pさんは「申し訳ないことだ。私たちが訪問した場所はすでに消毒して安全だというから、政府が人々にきちんと知らせてほしい。私たち家族による被害が減ってほしい」と語った。

 いまPさんにとって最も胸が痛むのは、病気の母をたびたび訪ねてきた知人が家族とともに陽性判定を受け、体調も良くないという点だ。「その方が母の世話をしてくれために感染したことも申し訳ないし、現在具合が良くないみたいで、心配です」

 Pさんは母親が入院した病院で初めて感染者が出た時、家族がすぐに検査を受けられなかったことが一番残念だと話した。当該病院は最初の感染者が発生したとき、期間・動線が重なる400人余りに連絡したというが、Pさん家族は連絡を受けなかった。不安な気持ちでその病院に数回確認したが、病院側はPさん家族はCOVID-19の検査対象ではないとした。保健所にも行ったが、特に症状がなかったため、検査を受けられなかった。後で区役所から届いた「検査を受けるように」というショートメールを確認した後、ようやく検査を受けることができた。すでに5日ほど経った後だった。

自宅隔離されたPさんの居間に区から提供された生活用品が置かれている。Pさんは政府の支援に満足していると話した//ハンギョレ新聞社

 現在、政府の対処をめぐって論争が起きているが、彼は「満足している」と述べた。「陽性診断の結果が出た後、感染した家族はすぐに病院に運ばれました。防疫消毒もすぐその場で行われました。自宅隔離されてからは生活必需品のサポート、毎日の健康状態の点検、出したゴミの掃除などのサービスを受けています。困難に直面してみると、福祉・医療サービスのレベルが高くなったことが実感できます」

 Pさんは一週間後に再び検査を受ける。そのとき陰性判定を受ければ自宅隔離から外れる。しかし、家族は3~4週間と予想される治療後もしばらく自宅隔離など注意を傾けなければならない。「普段は想像もできないことが私に起きたし、このようなことは他の人にも起こり得ます。みんなが困難に直面した人を根拠なく非難したりせず、自分も当事者になり得ると一度は考えてみてほしいと思います」

文/キム・ギュウォン記者、写真/Pさん提供 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/area_general/931381.html韓国語原文入力:2020-03-06 09:21
訳C.M

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