新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡散の影響で、在宅勤務が新しい働き方として注目されている。先月末からSKグループなどの主要企業を中心に、自宅がオフィスになった職員たちは少なくない。昨年末の雇用労働部の調査結果によると、在宅勤務制の導入率は4.5%で、フレックス勤務制の中でも選好度が非常に低い勤務形態だった。在宅勤務は、オフィス勤務と同程度の生産性を発揮することができるのだろうか。ハンギョレは、情報技術(IT)、リサーチ、物流、流通、金融、製造業の従事者約20人の日常を通じて、その可能性を探ってみた。
リサーチおよびヘッドハンティング業に従事するPさん(28)は最近5日間、毎日深夜1時に退社した。ノートパソコンで随時働いており、「仕事と休息の境界がなくなったため」という。Pさんは2日前には入社以来最大の業務成果を出したという。「誰かにやらされているわけではないが、仕事ばかりするようになる。普段は日に2回だった会議が、在宅勤務後は(テレビ会議で)4回に増えたことから、毎回報告することを探すために、より多く働くようになっている面もある」。情報通信技術(ICT)業界の従事者のWさん(40)も「在宅勤務だから遊んでいるという印象を与えないように、より多く働いている。部署メンバーの全般的な業務フィードバックもより早くなった」と話す。
気が散るため業務に障害が出ていると吐露する人もいる。今年IT企業に入社したJさん(28)は「ただでさえ新人だからすることがないのに一人でいるので、より不安で退屈だ。やたらに他のことをしてサボるようになる」と告白する。戦略企画業務に従事するKさん(27)も「ウェブマンガを見るのをやめられない。業務速度も全般的に遅くなった」と述べる。
新事業を率いていたり、普段から部署のメンバーとの会話が頻繁だったりした管理者は「対面コミュニケーション」を好む。情報通信技術の大手企業の中間管理職のPさん(37)は「上司たちは、普段手足のように使っていた人間が目の前に見えないと不便さを感じる。対面報告が多いチーム長たちはそれを察して出勤することが多い」と話す。インターネット業界のCさん(36)も、「ちょうど新しい事業を構想中だった。テレビ会議では深い対話が難しいので、みんなで出勤することにした」と語る。製造大手企業の役員Jさん(55)は「在宅勤務の社員に一度電話しようと思っても、自分を監視していると誤解されるんじゃないか、通話内容を誰がに盗み聞きされるんじゃないかと慎重になっている。資料もプリントアウトして下線を引けば済むのに、クラウドにつないで文書をアップしなければならないため、不便でイライラする」という。
共働き家庭は意見が分かれた。通信企業のマーケティングに従事するIさん(38)は「子どもが仕事をじゃませず、横で本を読んだりして一人でよく遊んでいる」と在宅勤務に満足を示した。一方、公共機関で働くJさん(34)は「子どもがいたらパソコンのキーボードを手で叩いたり、電話中に話しかけてきたりする。子どもの目が覚める前の明け方と真夜中、昼寝の時間に業務を集中的に処理する」という。急な電話の時は、テレビをつけたり、アイスクリームを与えたりしているという。
在宅勤務に満足している人が挙げる長所の一つは、断然「通勤がない」こと。別名「パンツコーディング(下着姿でコンピューターコーディング)」、「パジャマ会議(パジャマのズボンのままでテレビ会議に出席)」が可能だという。苦手な上司に会わなくて済み、好きな時に自由に休めるという点も長所として挙げられる。
在宅勤務をしたくてもできない業種や職務もある。物流仲介(フォワーディング)業に従事するIさん(29)は4日に在宅勤務を指示されたが、自ら出勤した。「特異事項を表示し、他の社員に伝達し保管するという主な業務過程は、デジタルファイルではなく紙の書類で行っている。在宅は事実上不可能だ」と述べる。建物の設計関連業務を担当するPさん(38)も「普段からコンピューター支援設計(CAD)などの容量が大きなプログラムを使っており、モニターも2台使うため、在宅は最初から期待もしていなかった」と話す。
セキュリティーやシステムの安定性が重要な金融業も、100%の在宅転換ではなくオフィス分離とローテーション勤務を選んでいる。4つの市中銀行と一部の資産運用会社が1カ所以上の代替オフィスを設置しており、金融専用のコンピューターを使う職員たちも交代で通勤している。製造業の工場の生産職と、彼らと共に働く事務職も出勤は必須だ。製造業の品質管理チームで働くLさん(29)は「毎日工場に入って作業者の状況を見なければならず、上にも報告しなければならない。工場が閉鎖されない限り在宅勤務はない」と述べた。