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狡猾かつ緻密な「クーパン・プレー」【コラム】

クーパン韓国法人のハロルド・ロジャース臨時代表が23日(現地時間)、米国ワシントンのレイバーン下院議員会館で開かれた下院司法委員会行政・規制改革・反独占小委員会主催の非公開証言に出席した=ワシントン/キム・ウォンチョル特派員//ハンギョレ新聞社

 クーパン韓国法人のハロルド・ロジャース臨時代表が23日(現地時間)、久しぶりにメディアの前に姿をみせた。今度は米国下院司法委員会に出席したのだ。非公開証言であるため、何を話したのかについては確認されていない。ただし、韓国で記者団に写真を撮られた際には険しい表情をしていたのとは違い、長い証言を終えて出てくるときの顔には、安堵の表情を浮かべていた。

 下院司法委員会は今月5日、クーパン関連の調査を「米国企業に対する韓国の差別」と位置付けた。ロジャース代表の召喚状には、司法委員会は「韓国の政府機関が米国のIT企業を標的に、差別的な規制を強化しており、米国市民に対する刑事処罰の脅しまで示唆している」と記している。クーパン側の主張をそのまま取り入れ、「韓国の差別的措置」だと規定した。

 司法委員会の関心事ではないようだが、この事件は顧客の個人情報の大規模流出が本質だ。5160万人が住む国で、名前やメールアドレス3367万件をはじめ、配送先住所や共同玄関のパスワードなど、約1億4800万件が流出、または照会された。韓国で発生した史上最大の情報流出事故だ。米下院がロジャース代表の召喚状に書いたような「約3000人の顧客に対する限定的で機微ではない情報が一時的に保存された後、すでに回収された事件にすぎない」のではない。韓国政府の「事実関係の訂正説明」に対しても、「韓国は国内の競合企業に利益を与えようとして、クーパンを処罰している」というのが、下院司法委員会の報道官室の回答だったという。

 クーパンは、事件の規模を矮小化しただけでなく、24時間以内の報告規定にも違反した。韓国政府が流出原因の分析のために資料の保全を命じたが、5カ月分のウェブサイトのアクセス記録などが失われた。先月25日には、「流出しなかった」としていた台湾の顧客20万人分の情報も奪われていたことが判明した。ロジャース代表は、国会の聴聞会で「国家情報院の指示」を強調したが、国家情報院は否定し、国会から偽証疑惑で告発された。何が真実かを明らかにすべき状況にある。

 納得しがたい困難な展開が続くため、クーパンの米国政界へのロビー活動が注目を集めた。クーパンは5年間に少なくとも1075万ドル(約17億円)をロビー活動に費やした。ロビー活動が合法な国ではあるが、連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に指名されている人物が社外重役を務め、行政府の「水面下の経済実力者」にもクーパンとの利害関係が絡んでいる。クーパンは巧みに味方を配置し、彼らは「金銭的な価値」を正確に発揮している。さらには、クーパンの主要投資会社も、「差別」を理由に米通商代表部(USTR)に調査を要請したうえ、李在明(イ・ジェミョン)大統領と与党を反米・親中だとして攻撃した。

 では、クーパンに対する韓国政府の差別は実体があるのだろうか。個人情報保護法や情報通信網法の課徴金の上限や刑事処罰などの法律の規定は、企業の国籍とは関係なく適用される。情報流出の規模や内容には違いはあるが、過去には、インターパークやSKテレコムなどの韓国企業も、同じ法律に基づき処分された。クーパン側は、国会聴聞会は過激であり、政界の対応と反応も過剰だったと主張している。しかしこれは、ロジャース代表やクーパンの対応、同社のキム・ボムソク議長による労働者死亡事件の隠蔽疑惑などが複合的に作用したものであり、自業自得だ。

 本末転倒しているこの事件の被害者は、米国企業ではなく韓国の顧客だ。韓国の成人の10人のうち6~7人の情報が奪われても、逆に米国の圧力を受けている状況には、あきれざるを得ない。

//ハンギョレ新聞社

キム・ジウン|国際ニュースチーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1246760.html韓国語原文入力:2026-02-26 18:40
訳M.S