韓国政府が南北関係の進展に向けて努力している中、ハリー・ハリス駐韓米国大使は16日、「韓国が制裁を触発する可能性がある誤解を避けるためには、南北協力のためのいかなる計画も、米国との作業部会を通じて協議した方がいいと思う」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今年の新年の辞や年頭記者会見で明らかにした南北関係を進展させる構想に、制裁の物差しを突きつけたわけだ。
ハリス大使は同日、ソウルで開かれた外信記者懇談会で、北朝鮮への個別観光の推進についても「ワシントンとソウルが緊密に協議することが重要だ」と述べたと、ロイター通信が報じた。個別観光は制裁対象ではないという文大統領の認識とは明らかに異なる。ハリス大使は「韓国は主権国家であり、米国が韓国の決定を承認する立場ではない」と述べたが、韓国政府が南北関係関連事案を進展させるためには、韓米間協議体である作業部会での協議が必要だという点を強調したものと見られる。南北協力をめぐり、韓米間に意見の相違があるのではないかという見通しも示されている。
ハリス大使は、文大統領の南北関係進展構想を「楽観主義」と表現した。「文大統領の相次ぐ楽観主義は鼓舞的で、そのような楽観主義こそが希望を作り出す」としながらも、「その楽観主義による行動は米国と協議しなければならない」と述べた。ハリス大使は文大統領が7日に新年の辞を発表した直後、「韓国放送」(KBS)で行なったインタビューでも、「我々は南北関係の成功や進展とともに、非核化に向けた進展が見られることを望んでいる」とし、「金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の答礼訪問や非武装地帯(DMZ)のユネスコ世界遺産登録などのような事業は、すべて米国と協議して進めるべきだ」と強調した。
ハリス大使は、自分の発言が米国の公式立場ではないと述べた。にもかかわらず、韓米協議を繰り返し強調する彼の態度は、南北関係の進展を模索する文在寅政府の動きに米国が警戒心を持っていることを示唆するものと見られる。
一方、韓米間の北朝鮮核問題首席代表協議のために15日に米国を訪問したイ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長は、北朝鮮への個別観光問題を米国と話し合う計画だと述べた。イ本部長は同日、ワシントン近郊のダラス空港に到着し、「(北朝鮮への個別観光は)国連安全保障理事会の制裁自体によって禁止されたものではない」とし、「一度(米国と)話し合ってみようと思う」と述べた。