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韓国進歩政権の「住宅価格暴騰シーズン3」を防ぐには(2)【コラム】

登録:2026-02-12 01:26 修正:2026-02-12 18:25
パク・ヒョン|論説委員 
李在明大統領が10日、大統領府で行われた国務会議で発言している/聯合ニュース

 李在明(イ・ジェミョン)大統領の複数住宅所有者への圧力の影響で、ソウル江南(カンナム)圏でもマンションの売り物件が出回っているという報道が相次いでいる。李大統領は事実を巧妙にゆがめる保守・経済紙の不動産に関する報道にSNSで自ら反論しつつ、複数住宅所有者に売却を迫っている。まだ判断するには早いが、政府の政策が少しずつ効果を上げる兆しが見えるようで幸いだ。

 ただし、李大統領が複数住宅所有者に対する売却誘導ばかりに注力しているようにみえるのは、やや残念だ。複数住宅所有問題は、江南のマンション価格の高騰の最大の要因である「賢い1戸(価値の高い物件1戸のみ所有)」現象とコインの表裏の関係にあるからだ。この現象は文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に複数住宅所有者を圧迫する過程で本格化した。複数住宅所有者に増税する代わりに、1住宅所有者に対しては非課税特典を多く与えたものだから、「むしろ高価な住宅を1戸買おう」というインセンティブが働いたのだ。その後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は複数住宅所有者への規制を大幅に緩和したが、売り誘導にも失敗し、マンション価格をさらに引き上げただけだった。江南の中心地にある84平米のマンションが50億~60億ウォン(約5億3200万~6億3800万円)に達し、さらに広いと100億ウォンを超えるという近ごろの現実は、このような両極端な政策とゆがんだ誘引システムが生んだものだ。5月9日の複数住宅所有者に対する増税猶予の終了が、賢い1戸現象を深刻化させるきっかけになる可能性があることに警戒すべきだ。

 人間は経済的インセンティブに敏感に反応する「経済的動物」だ。受益の機会が見えればそこへの集中現象が生じる。政府が税を主な政策手段として利用するのもそのためだ。1世帯1住宅に対して譲渡益を12億ウォンまで非課税とするほか、最大80%まで控除(長期保有特別控除)する制度が代表的な例だ。長特控除はすでに李明博(イ・ミョンバク)政権が最大控除率を45%から80%に引き上げていた。1住宅の非課税と長特控除は、国民の住居の安定を図るとともに、長期保有を誘導して投機を抑制することを趣旨としている。趣旨には共感が得られたが、恩恵が大き過ぎた。とりわけ問題だったのは、同じ1住宅でも、高価であればあるほどより大きな差益が得られる構造だ。住宅価格や譲渡益の規模に関係なく同じ優遇を与えるというやり方は、逆に高額マンション投機をあおる方向に働いた。マンション価格が高騰したことで、その恩恵は雪だるまのように膨れ上がった。過度な税制優遇が高額マンション投機を刺激し、上昇したマンション価格が再び税制上の優遇を拡大するという悪循環が形成されたわけだ。

 江南区狎鴎亭洞(アプクジョンドン)の専有面積183平米のHマンションの例をみてみよう。このマンションは2016年1月には25億ウォンだったが、今年1月には105億ウォンにまで跳ね上がっている。今売却すれば譲渡益は80億ウォンになる。1住宅所有者として10年間保有し、10年間居住したとすると、譲渡税はいくらになるだろうか。国税庁ホームタックスでの税金シミュレーションの結果、約5億6000万ウォンだった。これには1住宅の譲渡所得税非課税と長特控除という「魔法」が隠れている。特に長特控除の恩恵は、課税対象となる譲渡益の80%(保有40%+居住40%)にあたる56億ウォンにのぼる。そのため、課税の基準となる課税標準は約14億ウォンに縮む。名目税率は45%だが、実効税率は7%に過ぎない。特典が大き過ぎて現実味が感じられないなら、別の例をみてみよう。ソウル市松坡区蚕室洞(ソンパグ・チャムシルドン)の84平米のTマンションは、2016年1月は9億ウォンだったが、今年1月には31億ウォンにまで上昇。譲渡益は22億ウォンだが、1住宅の非課税特典と長特控除(約10億ウォン)を適用すると、課税標準は約2億6700万ウォンにとどまる。ここに名目税率38%を適用すると、最終的な税額は約8100万ウォン、実効税率は3.7%。25億ウォンを投じて10年間で70億ウォンの差益、9億ウォンで20億ウォンの差益が得られるなら、誰がこのようなチャンスを拒むだろう。このような機会も、享受できるのは、かなりの資金と信用力を持つ富裕層だけだ。

 「そもそも資本主義とはそういうものではないか」という反論もありうる。しかし、制度が誘因システムをゆがめて過度な不動産への偏りと資産の二極化を生んでいるのなら、もはや放置できない問題だ。米国、日本、英国なども1住宅所有者を実際の居住期間と保有期間に応じて優遇している。しかし、これらの国と比較しても、韓国の1住宅優遇は異常だ。国会予算政策処の委託報告書によると、1住宅所有者が10億ウォンで購入した住宅を10年間保有し、10年間居住してから30億ウォンで売却した場合、韓国の譲渡税負担は米日英の3分の1から6分の1程度にとどまる。米国は3億4370万ウォン、日本は2億4580万ウォン、英国は4億7880万ウォンだが、韓国は7900万ウォンだ。

 李大統領の「不動産との戦争」は確かに印象的だ。しかし、複数住宅所有者に圧力をかけるだけでは限界がある。「賢い1戸」現象と正面から向き合うべきだ。そのためには、ゆがんだ誘因システムを機能させている税制に手を入れなければならない。その手始めは1住宅の長特控除だ。控除に上限を設けるなどの方法で過度な特典を減らすべきだ。それによって江南の住宅価格を抑えることはできないだろうが、できることから始めるべきだ。

//ハンギョレ新聞社

パク・ヒョン|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1244537.html韓国語原文入力:2026-02-11 17:16
訳D.K

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