文在寅(ムン・ジェイン)大統領が14日の年頭記者会見で、南北関係の進展の意志を明らかにし北朝鮮行き“個別観光”を話題に掲げたところ、政府高位関係者たちの後続の動きが続いている。
キム・サンジョ大統領府政策室長は15日、「韓国放送」(KBS)に出演して「国連の制裁対象でない個別観光の活性化」を「現段階でもできること」として挙げた。キム・ヨンチョル統一部長官は「政府はさまざまな分野のうち(個別観光など)南北観光協力の可能性に注目している」と明らかにした。
キム・ウンハン統一部副報道官は、もう一歩踏み出してこの日の定例ブリーフィングで「韓国国民に対する身辺安全保障措置さえ確保されれば、個別観光は積極的に検討可能だ」として「多様な形式で可能性を検討している」と明らかにした。
統一部は昨年4月、キム・ヨンチョル長官の就任以後、訪朝“個別観光”の可能性を内部検討してきており、最近は“離散家族故郷訪問”と“個別観光”の結合案を具体化している。これに先立って統一部は昨年12月31日、民間レベルの離散家族交流活性化案の一つとして「故郷訪問など新しい方式の推進」を明らかにしたが、中国の旅行会社など第3国を活用した離散家族の北側故郷訪問事業を念頭に置いた発表だ(ハンギョレ 1月1日付12面)。
解決を要する課題は多い。まず、「査証」(ビザ)発給など北朝鮮当局の呼応がなければならない。次に、国内世論の支持と法令整備が必要だ。三つ目に、「対北朝鮮制裁国際共助」を強調する米国の協力を引き出さなければならない。
政府の「離散家族+個別観光」結合推進には理由がある。観光は国連の制裁対象ではないが、人道的事案である“離散家族”とセットにすれば米国政府の「制裁共助からの離脱の憂慮」を乗り越える名分が確実になり、国内世論の強い支持も得られる。
カギは北側からの呼応があるかどうかだ。北側は「招請状」なしで第3国を経て北朝鮮を訪問しようとする南側の市民に「観光ビザ」を出した先例がない。個別観光が活性化するには、訪朝招請状がなくてもビザが発給されなければならない。ビザは身辺安全保障を前提にしたもので、ビザの発給さえなされれば身辺安全保障問題は解決できる。
現行法令は、南側市民が北朝鮮を訪問するには「北朝鮮当局や団体などの招請意思を確認できる書類」(南北交流協力法施行令12条2項)を添えれば統一部長官の承認を受けられるよう規定している。
つまり、招請状なしでビザだけで離散家族の北側故郷訪問や個別観光を実現するには、南北当局の水面下または公開の協議、国内法令の整備が必要になる。