本文に移動

韓国政府の「国際機関通じた対北朝鮮支援」、2カ月も漂流中

登録:2017-11-20 04:18 修正:2017-11-21 21:51
対北朝鮮人道支援が急がれると発表したのに 
統一部、保守世論を意識し先送りに
2013年5月、平壌で北朝鮮の子どもたちが国連児童基金ユニセフが支援する食糧の配給を受けている=資料写真//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権時代に中断された「国際機関を通じた対北朝鮮人道支援」を再開すると発表した政府が、2カ月が過ぎた今もこれを履行していない。当初、政府は今年9月に対北朝鮮支援再開の方針を明らかにし、子どもや女性など北朝鮮の脆弱階層への支援の緊急性を強調したことから、理解しがたい行動だという声が上がっている。

 政府が、国際機関を通じた対北朝鮮人道支援の再開方針を初めて明らかにしたのは9月14日だ。当時、統一部当局者は「ユニセフと世界食糧計画(WFP)など国連機関の要請を受け、合わせて800万ドルを支援する案について、南北交流協力推進協議会(交推協)で協議する」と話した。北朝鮮の6回目の核実験(9月3日)にもかかわらず、「人道支援は政治的状況と切り離して推進すべき」というは原則を守ったのだ。

 実際、発表翌日の9月15日、北朝鮮が中距離弾道ミサイル(IRBM)「火星-12」型を試験発射したにもかかわらず、政府は1週間後の同月21日、予定通り交推協を開き、国際機関を通じた対北朝鮮人道支援の再開方針を確定した。当時、チョ・ミョンギュン統一部長官は「政府は北朝鮮住民、特に乳幼児や妊婦ら脆弱階層の劣悪な状況を考慮し、人道支援は政治的状況と分離して推進するという方針を一貫して明らかにしてきた」とし、「北朝鮮政権に対する制裁と北朝鮮住民に対する人道支援は分離して対処していくというのが、国際社会が共有する普遍的原則であり、価値」だと強調した。

 政府が支援することにした対北朝鮮人道支援事業は、北朝鮮の託児施設や小児病院、妊婦などを対象とした世界食糧計画の栄養支援事業(450万ドル)と、子どもや妊婦を対象にユニセフが進めているワクチン接種や下痢・呼吸器感染病などに対する一般医薬品支援、栄養失調の治療剤事業(350万ドル)などだ。北朝鮮に常駐する6つの国連機関が今年3月に公開した今年の事業計画書によると、北朝鮮住民2490万人のうち、食糧不足と栄養欠乏などで支援が必要な人口は約1800万人に達する。また、1千人当たり25人(韓国3人)にのぼる北朝鮮の5歳以下の子どもの死亡原因のうち、約22%が医薬品があれば治療が可能な下痢と急性呼吸器疾患だ。政府が対北朝鮮人道支援の“緊急性”を強調したのも、そのためだ。

 しかし、政府は「支援の時期や規模は南北関係など全般的な環境を総合的に考慮しながら推進することにした」という説明だけを繰り返し、2カ月も実際の支援を先送りしている。同期間、北朝鮮は核・ミサイル挑発を止めた状態にもかかわらず、対北朝鮮人道支援に否定的な保守世論を意識したためとみられる。統一部当局者は19日にも「国際機関と実務協議を継続しており、全般的な環境を総合的に考慮して、適切な時期に供与を推進していく予定」だと話した。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)が昨年9日に発行した「人道主義基金募金の現況」最新資料によると、今年、国連各機関の対北朝鮮人道支援活動に必要な資金は1億1350万ドルに達する。このうち、今年10月末まで実際に募金された資金は全体の29.9%の3390万ドルに止まった。国連側は資料で「厳しい資金不足により、脆弱階層1300万人に対する支援が深刻な困難にさらされている」とし、「一部の重要な人道支援プログラムが中断されるかもしれない状況」だと警告した。

 仁済大学のキム・ヨンチョル教授は「人道支援は国連制裁に該当せず、米国も人道支援を行っている」としたうえで、「政府が躊躇する理由もないし、少なくとも原則を定めて執行すべき問題」だと話した。

チョン・イナン、キム・ジウン記者(お問い合わせjapan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/819747.html韓国語原文入力:2017-11-19 22:00
訳H.J(1685字)

関連記事