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請託禁止法から1年…「面倒な礼儀」が消えた、断りやすくなった

登録:2017-09-26 06:59 修正:2017-09-26 07:58
[請託禁止法1年] 
高校教師「贈り物を渡そうとする保護者に 
『金英蘭法』を言えばたやすく納得」 
 
公企業職員「割り勘にするために 
酒の席減ってより良い」 
 
国民10人のうち9人が「法の効果ある」 
法施行の賛成の割合も1.8%ポイント増え
国民権益委員会の関係者が昨年8月18日、ソウル中区南大門路の大韓商工会議所国際会議場で行われた請託禁止法の施行と企業の対応課題の説明会で、法令の主な内容を説明している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 「金英蘭(キム・ヨンラン)法のためです」

 高校教師のYさん(31)が昨年10月以来よく口にする言葉だ。贈り物を持って自分を訪ねてくる保護者にこの一言だけ言えば、お互い恥をかかずに済む。Yさんは「保護者たちも学校に来るときに手ぶらで来ても負担がなく、贈り物を持ってきても『金英蘭法』に触れれば保護者らが簡単に納得する」と話した。

 昨年9月28日から施行された請託禁止法(不正請託および金品などの授受の禁止に関する法、いわゆる「金英蘭法」)が、相手の“好意”と“請託”の区分が曖昧な、そのためもっと頭の痛い小さな“誠意の証”を断るための“言い訳”になってくれたと、多くの公務員、教師などは評価した。

 断りにくい依頼そのものを退けることも、より楽になった。検察公務員のCさん(28)は「知人から困ったお願いをされる時、断るのに難儀したが、金英蘭法を言い訳にできるからいい。お互いにあげずもらわなければ不都合もない」と話した。保健福祉部のある課長は「病院の管理監督権限がある福祉部には、長官から末端まで病院の予約などのお願いが殺到したが、金英蘭法以降それがなくなって楽だ」と話した。

 「煩わしい礼儀」、「儀礼的な気づかい」も消えた。13年目になる公企業の職員は「政府機関の人々と会う時、贈り物を考えなくて済むので良い。割り勘にするから、酒の席がかなり減ってさらに良い」と話した。ある小学校の保健教師は「保護者からもらうもののを断りやすくなったばかりでなく、節日などに他の教師たちに贈り物をしなくてもよくなった」と話した。通常「円滑な職務遂行または社交・儀礼または扶助の目的」で5万ウォン(約5千円)以下の贈り物は問題にならないが、現場では誤解のもとをなくすために、贈り物をほとんどやり取りしないという。

 社会学者のチョン・スボク氏は請託禁止法について「縁故主義などに縛られた韓国人の『心の習慣』を崩すこと」だと話した。請託禁止法は美風良俗やまともな道理だと考えられてきた好意や誠意も断るよう設けられたシステムだからだ。20日、韓国社会学会が主催した「請託禁止法1年と韓国社会」学術大会で、彼は「『正義より義理』が先立つ社会で、多くの人々が親戚や同級生から依頼を受けた時、頼みを聞かなければならないような負担を感じる」とし、「請託禁止法をきっかけに義理よりも正義が重要だという考えが個々人の心の中に根づかなければならない」と強調した。熱く根強い前近代的関係の習性を、冷静ながらもすっきりした合理的な状態に変える転機として請託禁止法が作用しているということだ。

 公務員が市民らをもてなしたり、結婚式を知らせないことも増えている。ソウルのある警察署の苦情室で勤務するある警衛は「請託禁止法の広報がうまく行っていて何かを持って来る人は多くないが、市民が持ってきたとしても防犯カメラを指して『金英蘭法のため』と言い、栄養ドリンク1本も受け取っていない」と話した。彼は「私たちが仕事しながら食べるものでもあれば、むしろ市民たちと分けて一緒に食べている」とした。ある国会の公務員は「相手が食事をおごってくれれば、お茶でもおごらなければと心理的にじりじりしたのが消えた。最初からやり取りすることがなくなって楽だ」とし、「敏感な同僚たちは、本人の結婚も知らせない。むやみにご祝儀や花輪が届くと困るから」と話した。

 請託禁止法施行から1年、国民の10人のうち9人は法の効果が表れていると評価した。ソウル市立大学のイム・ドンギュン教授(都市社会学)が20日、韓国社会学会学術大会で発表した先月のアンケート調査の結果によると、回答者1202人のうち89.4%が「請託禁止法は効果がある」と答えた。「贈り物交換が減った」、「職務のお願いが減った」と答えた回答者もそれぞれ65.5%、65.9%だった。57.2%は割り勘が増えたと答えた。

 法施行に賛成する割合は83.6%(昨年11月、1566人の調査)から85.4%に上がった。この1年間、否定的な世論が少なからず紹介されたにもかかわらず、食事・贈り物・慶弔費などの制限に関して、規制を「さらに強化すべき」と回答した人も48%だった。公職者など請託禁止法の適用対象者の中でも36.6%が「規制を強化すべき」と答えた。イム教授は「全般的に請託禁止法は高い国民的支持を受けており、多くの人々がこの法が実質的に社会的慣習と文化的側面で変化を生んだと思っている」と分析した。

パク・スジ、シン・ジミン、パク・スジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/812409.html 韓国語原文入力:2017-09-25 22:01
訳M.C(2243字)

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