李在明(イ・ジェミョン)大統領は23日(現地時間)、朝鮮半島の平和構築の過程で交流・協力の重要性を強調する「ENDイニシアチブ」を提示した。信頼回復の前提条件として「非核化」(denuclearization)だけを掲げるのではなく、「交流」(exchange)と「関係正常化」(normalization)をバランスよく推進し、「敵対と対決の時代を終わらせる(END)」という意志を込めた表現と解釈される。ところが、それぞれの概念が正確にどんな意味なのか、これと朝鮮半島非核化のための中断(凍結)・縮小・廃棄(非核化)の3段階アプローチはどんな関係なのかなどが明確ではなく、実効性のある対北朝鮮アプローチにしてはまだ不十分といえる。特に、北朝鮮が拒否する南北交流を始めるための「創意的アプローチ」作りに心血を注ぐ必要がある。
李大統領はこの日、国連総会の基調演説で「交流・関係正常化・非核化、すなわちENDを中心とした包括的な対話」を通じて「平和共存と共同成長の新しい時代を開いていかなければならない」と述べた。しかし、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がわずか2日前に「韓国と向き合うことはない」と宣言した状況で、交流をどのように始めるのか、関係正常化とはどういう意味なのかなどについて説明を求める声が相次いでいる。
特に「関係正常化」が、南北関係を「統一を指向する特殊関係」と定義した基本合意書(1991)に代わる新たな協定の締結などを暗示するのであれば、これまで推進してきた対北朝鮮政策の「根本的な変化」を予告したものと捉えざるを得ない。北朝鮮はすでに2023年末から統一の可能性を排除した敵対的な「二つの国家関係」を主張している。野党「国民の力」のキム・ゴン議員は「関係正常化というのが正確にどんな意味なのか分からない」とし、「政府は改めて説明する必要がある」と述べた。
ウィ・ソンラク国家安保室長は、ひとまずこれらの原則は「過去の南北合意と2018年の朝米シンガポール共同声明でも強調されたもの」で、「包括的アプローチを通じて朝鮮半島問題の解決と世界平和と繁栄に貢献する」という意味だと説明した。さらに「3つの要素それぞれは一つの過程であり、互いに優先順位と相互関係があるわけではない」とし、「南北対話と朝米対話を通じて」3つの要素が「互いを刺激し後押しする構造で進めていきたいと思う」と話した。
南北関係の改善と北朝鮮の核問題の解決という難題を解決するためには、現実的・合理的・多面的にアプローチするしかないという李大統領の苦心を十分に理解する。北朝鮮も新しいアプローチに関心を持つように、もう少し内容を整えて具体化することを望む。