「私が50人分のチケットを購入して映画館を借り切りました。私を除いた49人分の空席ができました。私と一緒に映画を観る方はいませんか?」
コ・スンヨン氏(24)は4月1日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のインスタグラムにこう書き込んだ。日本軍「慰安婦」問題を扱った映画『アポロジー』のために上映館一つを借り切り、観客50人にチケットを無料であげますという内容だった。映画『アポロジー』は韓国のキル・ウォンオクおばあさん、中国のチャオおばあさん、フィリピンのアデラおばあさんなど日本軍「慰安婦」被害者の人生を追っていくティファニー・ション監督のドキュメンタリーだ。
「チケット無料配布」は3月末にインターネット検索をしていて偶然思いついた考えだった。コ氏は先月16日、映画封切りのニュースを聞いて「友達に映画のチケットをプレゼントしたい」と思い、ポータルサイトで『アポロジー』を検索した。しかし、マルチプレックス上映館が封切り後10日で映画を下ろしてしまい、観覧可能な上映館は殆どなかった。がっかりしたコ氏は、映画館を全部借り切る案を思いついた。コ氏の提案に応じた映画会社の代表が10万ウォンを加えてくれた。コ氏は50人あまりの残りのチケット代30~40万ウォン(3~4万円)を自ら負担することにした。コ氏は「米国で留学生活をして、韓国のニュースを読む中で日本軍「慰安婦」問題を知った。『韓国に帰ったら自分ができることを見つけて積極的に実践しなければならない』と誓った」として、上映推進の契機を明らかにした。
「映画チケット無料配布申請」は告知を上げてから3日目に締め切られた。コ氏は50人あまりの観客と共に8日午後、江南(カンナム)のある映画館で『アポロジー』を観覧する予定だ。コ氏は「おばあさんが被害に遭った当時の状況を映画で描くことも重要だが、その後におばあさんがどのように暮らしてこられたかを知ることも重要だ。私も他の人も、漠然としか知らなかった日本軍『慰安婦』問題を、映画を通じてより身近に感じられることを期待する」と話した。