朴槿恵(パク・クネ)政権の国定歴史教科書の使用を希望する学校が、慶尚北道のムンミョン高校、慶尚北道航空高校、オサン高校など、ごく一部の学校に過ぎなかったものと集計された。政府が申請期限を当初の計画より5日延長してまで国定教科書を使う「研究学校」の申請を募ったが、教育現場で徹底的に無視されたことで、国定教科書は事実上“植物状態の教科書”に転落したものと見られる。
15日、ハンギョレが全国17の市道教育庁を全数調査した結果、同日午後8時基準で、研究学校を申請した学校は、慶尚北道栄州市(ヨンジュシ)の慶北航空高校、慶尚北道慶山市(キョンサンシ)のムンミョン高校、慶尚北道亀尾市(クミシ)のオサン高校など3校に過ぎなかった。慶尚北道を除いた残りの地域では研究学校を申請した学校が1校もなかった。大邱(テグ)地域の一部の学校でも研究学校の申請を検討したが、教師など内部の反対を受け、結局申請しなかった。教育部は今月9日まで研究学校の申請がなかったことを受け、当初10日までだった研究学校の申請期限を15日までに5日間延長した。
ムンミョン高校は14日午後5時に学校運営委員会を開き、研究学校の申請を決定した。教師らは最後まで反対したが、校長が保護者らを説得し、5:4で案件を議決した。慶北航空高校は学校運営委員会を開かず、研究学校の申請を行った。教育部の研究学校運営指針では「教員80%未満の同意を得た学校は、研究学校を申請できない」ことになっているが、慶尚北道教育庁はこれを破って、研究学校の申請にいかなる制限も設けなかった。
このような国定教科書の拒否は予期された結果だというのが、大方の評価だ。国民の大多数が反対する国定教科書を政府が無理に推進しており、学界、教師、保護者、生徒など批判世論が高まった上、国定化政策を推進した核心的な主体である朴槿恵大統領が「朴槿惠-チェ・スンシルゲート」で弾劾審判を受けるなど、国定教科書推進のための最小限の動力さえ消えたからだ。これに、国定教科書公開の結果、朴正煕(パク・チョンヒ)政権の美化、親日賦役者の行跡の縮小などで、偏向的な叙述という批判が高まると共に、数百件に達する事実関係の誤りが明らかになり、国定教科書の質をめぐる攻防も激しさを増して、“不良品の教科書”を使用できないという認識が急速に広がった。さらに、教育部所属の国立高校すら国定教科書の使用を拒否した。
教育部は、研究学校に指定されなくても、希望する学校があれば授業補助教材の形で国定歴史教科書を配布するとし、国定教科書に対する未練を捨てなかった。教育部関係者は「17の市道教育庁が研究学校の申請の現況を集計して17日まで教育部に報告したら、20日に研究学校指定現況を正式にマスコミなどに公開する計画」だとし、「研究学校の申請学校がごく少数に止まっても、研究学校を運営し、研究学校ではなくても希望する学校に限って補助教材の形で国定教科書を無償で配布する」と話した。
全国歴史教師の会のチョ・ハンギョン教科書研究チーム長は「国定教科書を使用するという学校が片手で数えるほどというのは、教育現場で事実上死亡宣告を受けたことに他ならない」としたうえで、「政府が補助教材の形で国定教科書を配布するというのは国民を欺瞞する行為」だと批判した。