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国定教科書使用する「研究学校」申請が低迷…教育庁・全教組叩きに出た教育部

登録:2017-02-10 22:16 修正:2017-02-11 06:44
多くの学校が自発的に研究学校指定を拒否したにも関わらず 
イ・ジュンシク副首相、国民向け談話文発表し 
「教育庁・全教組・市民団体が研究学校申請を妨害」主張 
“国定教科書導入失敗責任”押しつける意図
1月31日に公開された国定歴史教科書最終版は李明博政権発足後の10年間、持続的に計画された歴史壟断の決定版だ。国定教科書最終版(右)と公開当日に会見を行うイ・ヨン教育部次官=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権が国定歴史教科書の使用を希望する「研究学校」の申請が低迷しているとみるや、市・道教育庁と全国教職員労働組合(全教組)叩きに乗り出した。偏向的な歴史記述と間違いだらけのために国定教科書が学校現場から背を向けられているという現実は無視して、研究学校の申請が行われていない原因を市・道教育庁と全教組のせいにしているという指摘が提起されている。

 イ・ジュンシク社会副首相兼教育部長官は10日午前、政府ソウル庁舎で発表した国民向け談話文を通じて、「ソウル市・京畿道など一部の市・道教育庁と全教組を始めとする一部の市民団体が、一線学校の研究学校申請を妨害している」とし、「政府はすべての可能な法的措置を講じる」と明らかにした。イ副首相は具体的な法的制裁案として「学校に無断で侵入したり、市民団体が学校に圧迫を加える行為があったとき、学校の正常運営の妨害になるため、住居侵入罪や業務妨害罪など刑事責任が成立する場合がある」と話した。彼は「当初、国定教科書を採択する学校が中学・高校の20%に達するだろうと予想したが、今は申請が1校だけだったとしても研究学校を運営する」と述べた。

 イ副首相は先月31日の(国定教科書)最終版の公開以降、学界と教育・市民団体が島山・安昌浩(トサン・アン・チャンホ)に関連する記述など、国定教科書に表れた明らかな事実の誤りを指摘したことについても「烙印押し」だと非難した。彼は「一部の市民団体が学界内ですら整理されていない内容を根拠に、国定教科書をずさんな教科書だと烙印を押そうとする行為を続けている」とし、「学校の教科書選択の自主性を侵害する行動を直ちに中止せよ」と強く述べた。この日の国民向け談話には、イ副首相の他にホン・ユンシク行政自治部長官とイ・チャンジェ法務部長官職務代行も出席した。国定教科書問題に汎政府レベルで共同対応するという意志をほのめかしたといえる。

 しかし、イ副首相のこの日の談話内容には説得力がないという指摘が支配的だ。教育庁と全教組などが研究学校の申請を妨害しているとイ副首相は主張しているが、大半の学校が内部の自主的な意思決定を通じて国定教科書を拒否しているからだ。一例として共に民主党のキム・ビョンウク議員が公開した資料によると、韓国教員大学付属高校や忠北大学付属高校など教育部傘下の国立高校でさえ、今月初めの学校運営委員会を通じて満場一致で研究学校の申請をしないことを決定した。大邱(テグ)の国立高校である慶北大師範学部付属高校も、9日に学校運営委を開き、自発的に研究学校の申請を拒否した。

 このような状況にも関わらず、政府が乗り出して「世論戦」を広げているのは、教育庁と全教組、教育・市民団体に「国定教科書導入失敗」の責任を押しつけようとする意図が隠れているという指摘が出ている。国会教育文化体育観光委員会所属の共に民主党と国民の党の議員らは、この日国会政論館で記者会見を開き、「学校が研究学校を申請しない理由は、学校の構成員らが朴槿恵教科書、親日教科書、独裁教科書を拒否したためであり、教育庁が協力をしないからでもなく全教組など市民団体が妨害しているからでもない」と指摘した。全国485の教育・市民団体で構成された韓国史教科書国定化阻止ネットワークとソウル市教育庁、全教組なども、相次いで記者会見を行ったり、声明を出すなどして「国定教科書が選択されなかった理由は偏向的で間違いだらけの『不良教科書』だからだ」とし、「政府は研究学校の申請が徹底的に背を向けられている現実を隠蔽し、突拍子もなく教育庁と全教組、市民団体を攻撃している」と批判した。

キム・ギョンウク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/782169.html 韓国語原文入力:2017-02-10 17:11
訳M.C(1765字)

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