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チェ・ドンウク元検察総長「検察よ、権力の犬として残るのか決断しなさい」

登録:2016-11-22 06:21 修正:2016-11-22 07:43
17日、退任後3年ぶりに初のラジオインタビュー 
「検察は世の塩ではなく砂糖になってしまった」 
「大きな事であるほど黒白を取り替えてはいけない」 
「命をかけて捜査しなさい。検察を信じています」
2013年9月30日午前、ソウル瑞草洞の最高検察庁で退任式を行い退任式場の別館に歩いてくるチェ・ドンウク検察総長=キム・ポンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 チェ・ドンウク元検察総長が退任後初めてラジオインタビューに応じ、「検察が国民の検察として残るのか、権力の犬として残るのか、決断しなければならない」と発言した。

 チェ元総長は17日、CBSラジオ「キム・ヒョンジョンのニュースショー」に出演し、国政壟断事態について「解放後国民が血を流して作り上げた憲法と民主主義を、一握りにもならない既得権者たちが踏み躪ってしまった、憲法と民主主義の基本秩序破壊事件と見る」と言った。さらに「国政壟断事件に関わった大統領とか、政治家とか、関連者は全員、犯罪の疑いがあれば明らかにし厳しく処罰して憲政秩序を正す契機としなければならない。さもなければ既得権者はまた別のチェ・スンシルを作って民主主義を踏み躪る可能性が大きい」と言った。彼は2013年9月、国家情報院の大統領選介入事件を捜査する中で、政権次元の全方位的な査察を受け、さらに朝鮮日報の婚外子疑惑報道により辞任した。

 大企業がミル財団とKスポーツ財団に「対価ではなく自発的に金を出した」と陳述し、朴大統領が「国家のためにした」と言えば、処罰は難しいのではないかという質問に対しチェ元総長は、「全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)秘密資金事件の時も『すべて統治資金として受け取った』と言った。当時は政治資金法もなかった。結局、包括的賄賂授受という法理を開発することによって断罪が可能になった。断罪の必要性があると判断した時は、新たな法理を構成する努力もしてみなければならない」と反駁した。

 自身の退任後に検察が見せた姿については「非常に失望を感じ憂慮される」と言った。彼は「チョン・ユンフェ文件事件のような場合には『チラシ』だとガイドラインを提示してまともに捜査できないまま終わらせたし、ソン・ワンジョンリスト事件も親朴系の議員全員に兔罪符を与えた。またユン・サンヒョン、チェ・ギョンファンなど親朴系議員の選挙法違反事件も、選管委の告発事件であるにも拘らず無嫌疑処分にしてしまった。国家情報院の組織的書き込み事件は、私が捜査していて追い出されたが、結局無罪になったじゃないか。ユ・ウソン・スパイ証拠捏造事件の時も、トカゲの尻尾切りのような捜査で終わった」と批判した。

 彼は朴槿惠-チェ・スンシルゲートとウ・ビョンウ前大統領府民政首席秘書官に対する捜査が最初から間違っていたと指摘した。彼は「チェ・スンシル事件が初めて持ち上がった時、刑事8部に割り当てた。検事一人でそれをどうしろというのか。その事件をじっと抱えていろという話ではないか。捜査は事実上不可能だ」と言い、「国民が激しく立ち上がりマスコミでも集中砲火を加えたので、あとになって遅ればせながら捜査チームを拡大して捜査に入った結果、結局関連者たちに証拠隠滅の時間を与えた格好になってしまった」と指摘した。また、「捜査の方向を職権乱用に定めているので、後で不法収益もすべて還収し追徴しなければならないのに、できないことになる。収賄罪で処断されてこそ還収が可能になるのに、そうした部分が実に残念だ」と述べた。彼は朴槿惠-チェ・スンシルゲートとウ・ビョンウの捜査にも「ガイドラインがなくはないだろう。事態を最小化させて収拾しようとする政権次元の努力があるのだろう」と言った。

 特別検事の要請に対しては「私的な感情を持たずに歴史の前で私の召命をすべて尽くすべきではないか?」と言って受諾の意志を示した。12日に開かれた第3次汎国民行動ロウソク集会には家族と一緒に参加したと言い、「金と力を持った人々は自分勝手に法を無視し、それでも善良な国民は国を、正義を、正しく立て直そうと血を流してきた大韓民国の悲しい現代史が再び繰り返されるのだなと、5・18事態や 6・10事態の場面がしきりに浮かんできた。それを通してこのような民主憲政秩序が確立されたのに、これがまた崩れて、また国民が街頭に出てあんな苦労をしていると思うと、涙が出て仕方がなかった。国民はやはり偉大だと思った」と語った。

 彼は「私の一身上の問題によって5,6カ月で結局途中下車してしまった自分自身を大変恥ずかしく思った。私の問題のために『国がこんなことになったのかもしれない』という自責の念に駆られた。とても恥ずかしくまた国民に申し訳なく思い、よけいに涙が出たようだ」と話した。そして「光と塩の機能をしてくれるのが検察本然の機能なのに、光も失くし砂糖になってしまった」とした上で、「国民が任せて下さるなら、私には私的な感情はない。私は3年間に全てを下ろした人間だ。『公正に最善をつくして、何であれ、責任は果たすべきではないか、本当にそうしなければならない』と考えるようになった」と言った。

 自身が検察総長だった当時に政権と妥協しなかった理由についても説明した。彼は「私だって、妥協というそんな考えが全くなかったとは言えない。しかし『大きなことであればあるほど、黒と白を取り替えることはすまい。白黒を取り替えようとする気流に対しては体を張って阻もう』 そんなふうに考えた」として「私があの時妥協をしていたら、多分私はこの国で暮らすことが困難だったろう。『あなたが妥協をしたから、あなたがまともな対処ができなかったから、その後社会がこのようになったという非難の矢が私にすべて向けられただろう』と言った。

 彼は後輩の検事たちに対し、「命をかけて捜査しろ」とも注文した。「後輩たちにも是非お願いする。大型の権力不正関連捜査は政治権力、経済権力、そのような権力者たちとの戦争だ。勇気と献身がなければ絶対に負ける。上部が命じる通りにしたからといって、検事ひとりひとりの職務遺棄が赦されるものでは絶対にない。このような非常時局においてさえ検察が権力者とまともに戦って正義を打ち立てることができないならば、国民はまたしても街頭で血の涙をこぼさなければならないことになる。大韓民国の検察が国民の検察として残るのか、それとも権力の犬として残るのか、決断しなければならない」。彼は「困難であるほど正道を行くのが後悔がない。そのためには命をかけて捜査しろ」と言い 「私はまだ検察を信じている。皆さんを愛している」という言葉でインタビューを終えた。

キム・ジフン記者  (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/770704.html 韓国語原文入力: :2016-11-17 11:13
訳A.K

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