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大統領の不正を庇う“私設機関”に転落した大統領府

登録:2016-11-21 23:50 修正:2016-11-22 06:23
弁護人の“捜査反論”ワープロファイル 
作成者のIDが民政首席室行政官 
チェ・ジェギョン主席秘書官が 
ユ弁護人に水面下で弁論支援 
実定法違反論議にチェ主席「正常業務」と強弁
朴槿恵大統領が今月18日、大統領府で行われた新任政務職任命状授与式で、チェ・ジェギョン民政首席と記念撮影をしている。その後、大統領府民政首席室は、被疑者と規定された朴大統領個人のために「不法弁論支援」を行ったとして問題になっている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が「チェ・スンシル国政壟断」事件捜査と関連して弁護人に選任したユ・ヨンハ弁護士が、検察の中間捜査結果発表に対する反論資料を作成する際に、大統領府民政首席室の支援を受けた事実が明らかになった。公的機関である大統領府の参謀組織が、検察によって被疑者と規定された朴大統領個人のために「不法弁論支援」をしたという論議が一層拡大するものと見られる。

 ユ弁護士は20日、検察の中間捜査結果発表後に「朴槿恵大統領弁護人の立場」という反論資料を出した。ワープロファイルで配布されたA4用紙24頁の資料には、朴大統領の疑惑に積極的に反論する内容が詳細に書かれていた。しかし、ユ弁護士が記者たちに配布したこのワープロファイルに大統領府民政首席室の痕跡が捉えられた。ワープロファイルに文書作成者として登録された“js****”というIDは、2014年8月検察に辞表を出して民政首席室へ席を移したJ行政官の検事時代のIDと一致したためだ。J行政官は2008年、ソウル中央地検金融租税調査2部長だったウ・ビョンウ前民政首席秘書官と共に働き、李明博(イ・ミョンバク)政権末期にチェ・ジェギョン現民政首席秘書官が最高検察庁中央捜査部長だった時期に中央捜査部3課の検事を務めた。J行政官は在野だったウ・ビョンウ前首席秘書官が2014年に民政秘書官として大統領府に入ってから、彼に誘われた。J行政官は現在民政首席室に勤める元検事4人のうち唯一チェ・ジェギョン民政首席秘書官と一緒に勤務した経歴の持ち主でもある。

 チェ・ジェギョン民政首席秘書官は、ユ・ヨンハ弁護士の反論資料の作成支援行為を民政首席室の「正常な範囲の業務」と主張した。チェ主席秘書官は21日、ハンギョレとの電話インタビューで「大統領に対する調査問題でユ弁護士が週末に来て面談し、整理するのにここ(民政首席室)で作業して、私たちも色々な資料が必要ならば助けた」とし「民政で弁論業務をみな担当したとしても、業務分担上どのみち大統領の法律補佐をするので問題になるとは思わないが、それでも気を付けようと一線を画している」と話した。

 しかし、大統領府民政首席室が検察の捜査線上に上がった大統領の弁護人の役割をすることは、実定法違反になる。大統領秘書室の業務は「大統領の職務を補佐」(政府組織法)することであり、大統領個人の不法行為を弁論することではないからだ。検事長出身のある弁護士は「大統領の業務とは見られない行為に対して、大統領が弁論行為をさせたとすれば、これは職権を乱用して、義務ではないことをさせた職権乱用に当たる」と指摘した。

 チェ主席秘書官は弁論業務の正当性を主張して「盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領に対する弾劾の時も弁護団が大々的に構成された。それを総括したのは民政首席室だったし、会議・運営もみな大統領府で行われた」と主張した。しかし、これは事実ではない。当時大統領府で勤めたある関係者は「その時、弁護団の事務室は大統領府の外にあったし、大統領府と議論しながら確認したり、資料を受け渡しすることは一切なかった。民政首席室が先頭に立って弁論を準備したとは話にもならない」と反論した。

 すべての論議の根源は、自身の犯罪事実を全く認識できない朴大統領の態度に起因するものと指摘されている。ある検察幹部は「会長の弁護士費用を会社の金庫から支出する時、それが会社のための業務過程で起きた犯罪か否かにより、裁判所の横領罪適用判断が変わる」として「朴大統領がチョン・ユラ氏の小学校の友達の両親が経営する会社の製品を現代自動車に納品させたことは明確に個人の不正だ。こうした部分まですべて適法行為だと主張する朴大統領と大統領府参謀の認識こそが問題」と批判した。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/771352.html 韓国語原文入力:2016-11-21 21:31
訳J.S(1853字)

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