本文に移動

支持率1%…「ヘル朝鮮」若者たちはなぜ朴大統領に背を向けたのか

登録:2016-11-07 02:11 修正:2016-11-07 21:51
「国政壟断事態」これが民心だ 
大統領選挙で20代と30代の得票率30%→「崔順實波紋」で支持率「ゼロ」に 
絶望的社会を経験してきた若者たちが語る「朴大統領下野」の民心
朴槿恵大統領が4日午前、大統領府の記者会見場で「崔順實氏関連事件で名状しがたい大きな失望と懸念をおかけしたことをもう一度心からおわび申し上げます」として頭を下げている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 午前5時、ソウル冠岳区(クァンアクク)のあるコンビニエンスストアに山のような新聞の束が配達される。アルバイトのOさん(25)の手が忙しなく動き始める。全ての新聞を名前がちゃんと見えるように新聞の棚に並べる。Oさんがこれまで目もくれなかった新聞記事を本格的に読むようになったのは、2、3カ月前から新聞を買い求める客が増えたからだ。Oさんは「『崔順實(チェ・スンシル)・朴槿恵(パク・クネ)波紋』のため、これまでとは違って、新聞が飛ぶように売れました。それで私も何事かと思って1面に掲載された記事を読むようになったんです」と話した。

 平日の午前零時から朝8時までコンビニで働く彼は、就職の準備に追われて政治・社会問題に無関心だった。しかし、「国政壟断」の主犯である朴大統領と崔氏関連報道を読むうちに、衝撃を通り越して虚脱感に陥ったという。Oさんは「出勤するお客さんの中には、コンビニに慌てて入ってきて、おにぎりや少しでもお金を節約しようと2+1商品を購入する人も多い。ところが、崔氏が不正な方法で財産を数十億ウォンに増やしたのを見ると、こんなに一生懸命働いている国民が不憫に思えてきた」と話した。

2日午後、ソウル光化門広場で57大学の学生会所属の学生たちが「朴槿恵政権退陣!全国大学生時局会議」の発足を宣言している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「ヘル(Hell)朝鮮」と呼ばれる絶望的な社会を生きてきた若者たちが、急速に朴槿恵大統領に背を向けている。今月4日、世論調査専門機関の韓国ギャラップが発表した大統領支持率は、歴代大統領のうちで最低値の5%まで下がった。そのうち20・30代の支持率は1%だった。事実上「ゼロ」という意味だ。2012年の大統領選挙で、20・30代における朴槿恵候補の得票率は約30%だった。今月5日、全国99大学の学生たちは「朴槿恵政権退陣!全国大学生時局会議」の旗の下に集まって、「朴槿恵大統領退陣」を要求し、全国的なデモの先頭に立っている。

 Oさんが仕事を終える朝8時には、京畿道水原市(スウォンシ)に住むイ・ジヨンさん(29)が京畿道華城市(ファソンシ)に向かうバスに乗る。イさんは、高校卒業後、家計を支えるために早くから就職活動を始めた。今は中小企業で事務を任されている。国政壟断の事態は、イさんと同僚たちが昼休みに交わす会話のネタを変えた。イさんは「社会がどこで間違ったのか、崔順實氏一人だけの問題ではないような気がする」と話した。イさんからすると、ミル・Kスポーツ財団の募金に参加した企業も(崔順實氏と)同じように見える。彼女は崔氏に小銭を握らせて、政府から便宜を図ってもらおうとした企業に苦言を呈した。イさんは「一人や二人処罰したとして、こんな事が繰り返されないという保障もない。このような事態をもたらしたのは、結局朴槿恵大統領であり、朴大統領を選んだ国民だ。(彼らが)恨めしい」と語った。

6日午後、ソウル鍾路区仁寺洞で第87回学生の日を迎えて開かれた青少年歴史再現パレードのイベントで、参加者たちが言いたいことを書いた手立札を持っている//ハンギョレ新聞社

 朴大統領が今月4日に2回目の国民向け談話を発表し、「検察捜査も受ける」と明らかにしたが、法科大学院に通っているユク・イウンさん(34)は離れてしまった若者の心を取り戻すには、不十分だと評価した。ユクさん「法律を勉強する立場からすると、脱法が法の上に立ち、私的権力が現実を牛耳っていた現実に直面し、『法律を勉強しても意味がないのでは』と思った」と打ち明けた。ユクさんは「これ以上遅くならない内に多くの疑惑が世に知られて改善されるなら、せめてもの救い」としながらも、「検察に対する不信感が大きい」と指摘した。彼は「韓国の検察はまるで政界に一定の株でも保有しているかのように、政治家の服に着替える。これまで一部の政治勢力と検察が崔順實氏に便宜を図ったのではないか」と指摘した。

 今回の事態はアスリートを夢見る受験生たちにも深い傷を残した。3年間体育大学の受験生を教えてきたパク・スヒョンさん(32)は、夕方疲れた顔で体育館のドアを開ける高3の受験生たちを迎える。今月17日に修学能力試験(韓国版センター試験)を控えた受験生たちは、昼は修学能力試験の勉強に、夜は運動に励んでいる。パクさん「試験を控えた生徒たちが敏感になっているので、深い話はできなかったが、崔順實氏の娘、チョン・ユラ氏が公正でない方法で梨花女子大学に入学したということを受験生たちもよく知っている」と話した。パクさんも体育大学入試を準備した経験があり、受験生たちが感じる虚脱感を理解できると言った。

 彼は「韓国社会で入試と兵役問題は触れてはならない。生徒たちが『勉強して何になる?運動して何になる?』と冗談交じりで訊くたびに、どう答えたらいいのか悩んでしまう」と話した。生徒たちを指導することとは別に、パクさんにとって今回の事態は通貨危機の時と同じくらい衝撃的だった。彼は「親の世代が血と汗で成し遂げた民主主義が一瞬で崩れ、共に崩れ落ちる朴大統領を見ながら、このままで大丈夫なのかと思った」として、「このような状況まできたのに、野党の国会議員たちにもこれといった解決策がないようだ。国民が声を出して国会が動かなければならないと思う」と話した。

パク・スジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/768988.html 韓国語原文入力:2016-11-06 15:30
訳H.J(2587字)

関連記事