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[ニュース分析]朴大統領、「不通」続けるか、1線からの後退か、早期の大統領選挙か

登録:2016-11-07 01:42 修正:2016-11-07 07:54
-政局シナリオ- 
今月5日午後、ソウル光化門広場で開かれた「集まろう! 怒りましょう! 降りてこい朴槿恵!第2次汎国民行動」行事が終わった後、市民がろうそくで「下野」の文字を作っている=カン・チャングヮン記者//ハンギョレ新聞社

朴大統領の第1線からの後退論 
内閣に権限移譲し挙国内閣を構成 
朴大統領が収拾後に復帰する余地大きい 
 
即刻辞任論 
60日内に大統領選行うべき 
選挙運動などに現実的困難伴う 
 
早期大統領選挙論 
権力移譲を準備し暫定の中立内閣構成してから 
12月より前倒しで大統領選挙 
 
実現可能性は? 
朴大統領が不通続ける場合は 
第1線からの後退や早期の大統領選挙も困難

 朴槿恵(パク・クネ)大統領の「2回目の謝罪」以降も、怒った民心は鎮まらず、朴大統領を国政運営から事実上排除することを前提とした政局シナリオが政界で具体的に論議されている。

 最も「穏健な」シナリオは、朴大統領の「第1線からの後退」と共に「挙国中立内閣」を構成する案だ。朴大統領が外交儀典のような国家元首としての象徴的な役割のみを担当し、残りの実権をすべて内閣に渡して、残りの任期を全うする案だ。共に民主党の現在の立場がこれに当たる。共に民主党は朴大統領に対して、金秉準(キム・ビョンジュン)首相候補者の指名を撤回し、与野党が合意する首相を指名し直して、挙国中立内閣を構成することを求めている。

 問題は、朴大統領がこうした要求を受け入れ、第1線からの後退を宣言したとしても、いつでもそれを覆すことができるという点だ。憲法は首相をはじめ、公務員の任免権を大統領に付与しているからだ。怒った民心がある程度鎮まったら、朴大統領は挙国一致内閣の首相を解任し、国政の前面に復帰することも理論的には可能だ。さらに大きな混乱を防ぐためにも、大統領の「辞任」を要求しなければならないという声が上がっているのも、そのためだ。

 朴大統領の辞任シナリオの中には、来年12月に予定された大統領選挙を繰り上げる「早期大統領選挙」の構想につながるものが多い。具体的には、「即刻辞任」と「暫定内閣の構成後、早期に大統領選挙」に分かれる。

 「即刻辞任」の場合、憲法によって60日以内に新しい大統領を選ばなければならない。これをめぐり、セヌリ党のチョン・ジンソク院内代表は今月5日、フェイスブックに「地方自治団体長は、選挙出馬90日前に辞任しなければならない」という公職選挙法第53条1項の規定を挙げて「(大統領が)下野すれば、文在寅(ムン・ジェイン)元代表や安哲秀(アン・チョルス)前代表しか出馬できない」と主張した。朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長とナム・ギョンピル京畿道知事、アン・ヒジョン忠清南道知事、ウォン・ヒリョン済州道知事、イ・ジェミョン城南(ソンナム)市長など、多くの与野党の有力大統領候補らが大統領選挙に出馬できなくなるということだ。しかし、法曹界では、朴大統領の辞任で行われる大統領選挙は「補欠選挙」であるため、選挙法第53条2項に則って、自治体首長らが選挙の30日前までに辞退すればいいという反論もある。

今月5日午後、「チェ・スンシル国政壟断疑惑を糾弾する第2次汎国民行動! これが国か、朴槿惠退陣せよ!」大規模集会が、光化門広場で開かれている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 直ちに辞任した後、60日以内に大統領選挙を実施するのは、各党の大統領選候補党内選挙期間と公式選挙運動(23日)などの政治日程を考慮すると、現実的には難しいという意見もある。この意見に賛同する人たちは、朴大統領は辞任しなければならないが、政治的混乱を最小化し、次期政権に権力を委譲するためには、「暫定中立内閣」を構成した後、大統領選挙を前倒しで実施する必要があると主張している。シム・サンジョン正義党代表が4日に記者会見を開き、大統領の下野宣言後、与野党4党が国会議長の主宰する協議機構で「暫定中立内閣」の性格と任務を決定し、与野党が合意して新内閣の首相を内定しようと主張したのが代表的である。シム代表は「この暫定中立内閣に権力委譲の日程管理、現政権の憲政蹂躙事犯の断罪、経済・安保など国政危機要因の管理などの任務を任せるものの、選挙事務が円滑に進められるように来年4月12日に予定された補欠選挙日に早期大統領選挙を同時に行う案を優先的に検討しよう」と提案した。共に民主党のミン・ビョンドゥ議員も6日、「6カ月後に早期の大統領選挙を行うように準備しよう」との主張をフェイスブックに掲載した。「暫定挙国内閣」を構成して6カ月後に行われる大統領選挙の管理と崔順實(チェ・スンシル)国政壟断事態に対する聖域のない捜査、検察改革などの任務を遂行する一方で、朴大統領にはこの構想に合わせて適切な時点で辞任するという合意を取り付けておくということだ。

 しかし、これまでの朴大統領の態度からして、第1線からの後退、早期大統領選挙、即刻退陣などの主張に応じない可能性が高いとみられる。朴大統領の「不通」が続き、退陣を要求する声がさらに高まる場合は、「最後の手段」として弾劾が推進されることもあり得る。現在政界ではイ・ジェミョン城南市長のほかにはこれに言及する人がほとんどいない。弾劾訴追案を憲法裁判所に提出するためには、国会在籍議員の3分の2(国会議員300人のうち200人)以上を確保しなければならず、親朴槿恵系を除いたセヌリ党議員たちとの連帯が必要なためだ。まともな捜査が行われなければ、憲法裁判所で明白な違法事由を立証するのも難しいのではないかいう指摘もある。

 政界では今月12日に予定された「第3次キャンドル集会」まで状況を見守ってから、このようなシナリオに関する議論が具体化されるものとみられる。

イ・ジョンエ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/769047.html 韓国語原文入力:2016-11-06 20:57
訳H.J(2367字)

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