映画『マイノリティ・リポート』のように、犯罪を予測して未然に防ぎ、オンラインや仮想現実で裁判を受けて、「アルファ碁判事」が判決を言い渡す日が現実になるだろうか?
大法院(最高裁判所)は18日、「第4次産業革命の挑戦と応戦:司法の未来」をテーマにしたシンポジウムを開いた。最も注目を集めた発表者は「レックス・マキナ(Lex Machina)」の設立者であるジョシュア・ウォーカー氏だった。レックス・マキナは特許分野判決などの訴訟資料をもとにビッグデータのアルゴリズムを作り、判決結果を予測し提供する米国の人工知能法律情報サービス会社だ。しかし、誰よりも「バラ色の未来」を描いているはずのウォーカー氏は「人工知能が判事の代わりになれるだろうか」という質問に、「ノー(No)」と言い切った。「人工知能は人間の判断を代わりに行うのではなく、弁護士や裁判官がより価値のある判断ができる基盤を整える役割を果たせると考えている」というのが、その理由だ。ウォーカー氏は「人工知能は人間の能力を代替することはできず、そうするのは望ましくもない」として、(人工知能のような)技術に法律家が集中してしまうと、公正性や司法正義のような価値を見逃しかねないと付け加えた。
シンポジウムに出席した米国のアレン人工知能研究所のオレン・エチオ二ー所長と、米国ルイビル大学のローマン・ヤンポルスキー教授も、人工知能については正反対の視角を持っているが、「人工知能判事」については、共に懐疑的な反応を示した。人工知能が映画『ターミネーター』のようなディストピアをもたらすと予想するヤンポルスキー教授は、「地縁や学縁の問題は減るかもしれないが、間違ったデータが入力されると、別の問題が発生する可能性もある」としたうえで、「機械が客観的に判断できる場合もあるかもしれないが、人間だけが人間に対する最終的な判決を下すことができると思う」と話した。人工知能を肯定的にとらえるエチオ二―所長も、「人工知能の発展で費用が安くなって、裁判のスピードがあがるなど、効率が向上する可能性はある」としながらも、「判事は状況そのものに対する哀れみと共感、社会的合意を基に判決を下すため、技術的には可能であっても、判決を人工知能に任せるのは望ましくない」と指摘した。
人工知能の発展に対応し、法曹界がもっと「人間化」しなければならないという声もあがった。カンボジア特別裁判所裁判官のペク・カジン判事は「第4次産業革命で生き残る道は、人間だけができることをよりうまくやることだ。法律家は創造性と感性をさらに磨かなければならない」として、「韓国の法律家がこれまで創造的かつ人間的な文書を作成してきたのか自問してみる必要がある」と話した。