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韓国政府、AI応用産業に5年間で約1千億円投資

登録:2016-03-18 08:21 修正:2016-03-18 09:10
人工知能(AI)//ハンギョレ新聞社

大統領主宰の科学技術戦略会議を新設
知能情報技術研究所の設立も推進
サムスン、LG、KT、現代自動車など合流
基本技術の不備、情報人権侵害の恐れ

 政府は李世ドル(<イセドル>ドルは石の下に乙)九段とアルファ碁の囲碁対決で人工知能に関する社会的関心が一段と高まった雰囲気を利用し、「人工知能応用産業」の育成に乗り出す。人工知能(AI)の応用を「第4次産業革命」に挙げ、関連技術開発と商用化に今後5年間で1兆ウォン(約9千500億円)を投資することにした。しかし政府の政策が人工知能の応用産業に集中し、基本技術の人工知能アルゴリズムの開発が疎かになり、個人情報の保護のハードルがさらに低くなるのではないかとの懸念もされている。

 政府は17日、大統領府に人工知能とソフトウェアの関連企業家や専門家20人余りを招き「知能情報社会、官民合同懇談会」を開いた。人工知能を応用して産業の競争力を高める方案が話し合われた。チェ・ヤンヒ未来創造科学部長官は「知能情報産業発展戦略」の報告を通じ、「5年間で1兆ウォンを投資し、知能情報技術研究所の設立と知能情報技術試験事業などを推進する。これが呼び水となり企業サイドでも5年間で2兆5千億ウォン(約2千400億円)以上の技術開発と商用化投資が行われることを期待する」と明らかにした。

 朴槿恵(パククネ)大統領は冒頭発言で「韓国社会が今回の『アルファ碁ショック』をきっかけに、遅れをとる前に人工知能開発の重要性について大きな警戒心と刺激を受けたことは、逆説的に非常に幸運だったと思う」と話した。さらに朴大統領は「今は誰がいかに早く革新的技術を開発するかにより、一国の競争力が左右される時代だ。私たちも競争力を確保するためには、国家研究・開発システムの根本的革新が必要だ。研究・開発投資の生産性を画期的に高めるため、大統領が主宰する科学技術戦略会議を新設する」と明らかにした。

 未来部は当初、知能情報産業発展戦略を4月に発表する予定だったが、李九段とアルファ碁の対決で人工知能に対する関心が触発され、同日に繰り上げた。未来部は「知能情報技術」の概念について、「人工知能アルゴリズムに代表される知能、ビックデーター、モノのインターネット(IoT)、クラウドなどで収集された情報が結合した形で、人工知能よりも範囲が広い。韓国の人工知能の核心技術力は米国に2.4年くらい遅れているが、知能情報技術の観点から官民が力を集め、速やかに行動に移せばまだ遅くはない」と述べた。

 研究所を中心に、政府と企業の人工知能関連技術開発の力量とデータを集め、効率性を高める趣旨で設立される知能情報技術研究所には、すでにサムスン電子、LG電子、SKテレコム(SKT)、KT、ネイバー、現代自動車が合流することにした。未来部のキム・ヨンス情報通信政策室長は「他の企業にもドアは開かれている。どんな技術をどう開発するかは企業が決め、政府は制度的な裏付けをすることになる」と説明した。

 未来部は2019年まで世界1位の知能情報技術力確保を目指して様々なモデル事業を進め、これまで政府、企業、研究所などがそれぞれ蓄積したデータを共有して共同利用する案も推進する。このため、どのような種類のデータがどこでどう管理されているか教える「データ所在情報サービス」も用意されている。

 政府の対策について一部では、未来部が人工知能応用に焦点を当てており、基礎技術開発では積極的な投資を期待するのが難しいと指摘されている。また、未来部が知能情報産業の育成に投資することにした1兆ウォンのうちのかなりの額は、追加で予算が策定されるのではなく、既存の予算の中で使われる。結局、これまで推進中か予定された研究プロジェクトの一部が優先順位から押し出され、中断もしくは中止される可能性が高い。

 また知能情報産業の育成を理由に、情報人権保護体制がさらに疎かにされるのではないかと懸念もされる。政府はすでにビックデータの産業の活性化を理由に個人情報保護のハードルを大幅に引き下げる政策を発表して問題になっている。

キム・ジェソプ、チェ・ヘジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-17 21:49

https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/735523.html 訳Y.B

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