労組の目を避けナンバー2の常任監査に就任
国土部・国家情報院出身「官フィア」
不良企業の要職奪い損失を拡大
4・13総選挙に国民の注目が集まっていた今春、公共機関の主要役員の地位に音もなく舞い降りた天下りが10人を超えることが確認された。 大宇造船海洋など政策金融機関の管理を受けている不良企業に相次いで選任された天下りの社長が、専門性不足、責任回避により損失を膨らませたという指摘が出ている中で行われた大規模な天下り人事だ。 任期末の権力周辺での天下り先の確保により、国家経済が蝕まれるとの批判が起きている。
9日、社会公共研究院のキム・チョル研究室長が公共機関経営情報公開システム「アルリオ(知らせます)」を通じて分析した資料によれば、今年に入って16人の天下りが主要公企業の機関長・常任監査といった主要役員の地位を奪っていたことが明らかになった。 特に大統領選挙の過程で朴槿恵(パククネ)大統領と近かったり、朴槿恵政権やセヌリ党で要職を務めた幹部11人は、公企業のナンバー2となる常任監査に任命された。 報道機関や労働組合などが注目する機関長の代わりに、人目を避け要職を占めていたことになる。
キム・チョル室長は「今回の資料は公企業を主な対象に分析したもの」として「準政府機関、その他の公共機関まで分析対象に含めれば、天下りの規模は大幅に増えると見られる」と話した。 2016年度基準で公共機関は計323カ所で、そのうち公企業は30カ所だ。
天下りに分類された公企業の常任監査は、業務特性とは関係ない経歴を経た人々が大部分だった。 今年3月に任命された韓国鉱物資源公社のキム・ヒョンジャン監査は、第18代大統領選挙当時にセヌリ党の国民大統合委員会光州(クァンジュ)全羅南道本部長を経て朴槿恵大統領の大統領職引き継ぎ委員会委員を歴任した。 韓国電力公社には今月2日、イ・ソンハン前警察庁長官が監査として任命され、韓国電力の発電子会社のうち3社には今年3月、セヌリ党の党幹部だったキム・オヨン、パク・テソン、キム・ソンウ監査がそれぞれ任命された。
今年97の機関長に「政フィア」の天下りが露骨化
また、韓国貿易保険公社と国立公園管理公団にも、セヌリ党国民大統合委員会委員出身のイ・デヨン監査とセヌリ党副報道担当者出身のイ・ジンファ監査が降り立った。 韓国造幣公社のアン・グァンボク監査は国家情報院企画調整室長出身だった。
セウォル号事故後に弱まった「官フィア」も再び頭をもたげているようだ。 今年2月に任命された仁川国際空港公社のチョン・イリョン社長は、国土海洋部航空政策室長出身だ。 総選挙出馬のために機関長を辞退したキム・ソクキ元ソウル地方警察庁長官の地位を得たソン・イルファン韓国空港公社社長は、空軍参謀総長出身の退役将軍だ。 韓国土地住宅公社の社長も国土交通部企画調整室長を歴任したパク・サンウ社長が選任された。
最近構造調整の対象になった造船・海運業種の不良企業でも、政界と金融圏の人々が地位を得ていたことがわかった。 大宇造船海洋の場合、産業銀行、防衛事業庁、海軍、国家情報院などの出身者が顧問、諮問役、相談役などに就いた。 産業銀行の場合、2011~2015年に役職員43人が退職した後に子会社などに就職した。 このように公企業、金融圏、不良企業などの余り目立たない席を占めるという点で「ステルス天下り」が横行しているという話まで出ている。
問題はこのように固定化した天下りの慣行が、国家経済全般に悪影響を及ぼすということだ。 ただでさえ困難な韓国経済に、新たな負担を抱かせている造船・海運などの不良企業問題が代表的事例だ。 該当業種に精通している専門経営者でさえも不良企業の再生が難しいところに、専門性の不足した人々が経営正常化を試みることは不可能に近いと指摘される。
しかも政権末期に至って天下りはさらに激しくなる可能性が高い。 キム・チョル室長は「今春なされた天下り人事はその前兆」と評価した。 公共機関全体で今年末までに何と97カ所の機関長人事が予定されている。